《【書籍化】悪喰の最強賢者 ~兄のせいで『加護なしの無能は出て行け!』と実家を追放されたけど、最強の力が覚醒したので無雙します。危険度SSランクの魔なら、僕が食べ盡くしましたよ?~》ディオ君のおかげでまた救われた人が増えたな
レイラさんが目覚めてから數日が経ったある日。
僕らは、アリシアとレイラさんから食事會への招待をけ、レイラさんの部屋を訪問した。
見違えるほど綺麗に整頓された室は、どうやらアリシアが片づけたようだ。
ちなみにレイラさんは仮死狀態の後癥に苦しめられることもなく、見違えるほど元気になった。
「みんな、ごめんなさい。この部屋には椅子が二腳しかないから、床に座ってもらうことになっちゃうんだけど……」
作業用テーブルやベッドなどの家類はすべて壁際に寄せられ、真ん中の空いた空間にパッチワークキルトが敷かれている。
キルトの上には、クッションや飲みを冷やしたブリキのバケツがセッティングされていた。
「ピクニックみたいだ。こういうのも楽しくていいね」
「ほんと? そう言ってもらえてよかった……!」
笑顔でそう言ったアリシアに勧められ、僕らは車座になって座った。
フェン、僕、スライム、キャスパリーグ、ホランドさんの順番だ。
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僕の向かいにはアリシアとレイラさんの分の空間が空いている。
姉妹はキッチンで作った出來立ての料理を、次々、リビングへと運んできてくれた。
「なにか手伝おうか? 重いもあるだろうし」
「いいから座ってて。今日はお禮をしたくてお客様として呼んでるんだから!」
2人が用意してくれたご馳走達がどんどん並んでいく。
牛とチーズのパイ。菜のスープ。団子のトマトパスタ。フルーツなどなど。
「すごい料理だね! めちゃくちゃ味しそうだ」
『うむ……。久々のアリシアの料理だから楽しみだ……ごくり』
『にゃあああ、犬っころ! 涎で水溜まりができてるにゃよ! なんとかするにゃ!』
『すごーい! 見たことのない食べがいっぱいならんでるー! みんなと一緒に食べるのうれしいなあ』
睨み合うフェンとキャスパリーグのことなど気にもせず、マイペースなスライムが僕の頭の上でぴょんぴょんと喜ぶ。
「スライム、うれしそうだね。でも、下に降りてこないとご飯が食べられないよ」
『ほんとだ! たいへん!』
慌てて降りてくるスライムを見て、アリシアとレイラさんが笑い聲をあげる。
すべての支度を終えて席に著いたアリシアとレイラさんに、僕らはお禮を伝えた。
「二人とも、今日は招待してくれて本當にありがとう」
「こんなにおいしそうな料理まで用意してもらって、悪かったな」
「そんな、気にしないで。みんなが私たち姉妹のためにしてくれたことを考えたら……」
「ええ、アリシアの言うとおりです。みなさんがアリシアに協力してくれなかったら、私は助からなかったでしょう。謝してもしきれません……」
「レイラさんが無事で本當によかったです」
「まさか自らを仮死狀態にして命を守っているとは、さすがに予想できなかったな」
ホランドさんの言葉に僕も頷く。
レイラさんは研究者ならではの機転でを守ったということだ。
「そういえばコッパード夫人が留置所から監獄へ移されたって、昨日から街中で噂になっていたわ」
「ああ、これから裁判も始まるだろう。本人は否定しているらしいが、ディオ君がしっかりとした自供の証拠を提出しているし、貴族でも極刑を免れることは不可能だろうな。殺人や殺人未遂に関わったうえ、國の施設で行われていた研究を盜み出し、私利私のために利用しようとした。とんでもない大罪だ」
僕が提出した証拠以外にも、コッパード夫人の家からはレイラさんの研究を悪用したとする書類が発見されている。
レイラさんはもともと魔の質を穏やかにするための食べの開発をしていたのだけれど、その開発を行っていくうえで、副産として真逆の効果――つまり、魔を狂暴化させてしまう食べを発見してしまったらしい。
コッパード夫人はどうやら最初から、後者のほうをしていたようで、狂暴化させた魔を戦爭用の道に仕立て上げることまで計畫していたことが判明した。
「コッパード夫人の計畫を阻止できていなかったら、この國は大混に陥っていたでしょう。あなたたちは悲慘な運命からこの國を救ってくれたんです」
「俺たちというか、今回もまたほとんどがディオ君の手柄だ。な?」
ホランドさんが僕の肩に手を回し、もう片方の手でわしゃわしゃと髪をで回してくる。
「何言ってるんですか。みんなで協力し合ったじゃないですか。でも、とにかく犯人が捕まって、さらなる悪事を未然に防げたことはよかったです」
「はい。……きっと、これでジェイラスも浮かばれると思います……」
レイラさんの橫顔に影が差す。
どうしてレイラさんは、ジェイラスさんを警戒していながら、そのことを誰にも告げなかったのか。
どうしてレイラさんは、ジェイラスさんからのいを斷らなかったのか。
彼の想いの答えが、その表に現れている気がした。
多分、ホランドさんもアリシアも同じような推測をしたはずだ。
でも、レイラさんに気持ちを尋ねることはしなかった。
そんなことをしてもレイラさんを傷つけるだけだから。
室にしんみりとした雰囲気が流れる。
そんな中、アリシアが機転を利かせて、明るい聲を上げた。
「ほんっと、お姉ちゃんには心配をかけられてばっかりだわ! やっぱり私も最初の段階で王都にくっついてきちゃえばよかった!」
「アリシア……。手紙にも書いたけれど侯爵の仕事をよく考えずけてしまったのが間違いだったわ。心配かけてごめんね」
「でもそれは私や冒険者たちの未來を思ってのことだったんでしょう……?」
「それでも信頼できる人を選ぶべきだったのよ。研究を悪用しようとする人間に協力してしまうなんて……。今回のことを反省し、私は街に戻るつもりよ」
「え!? お姉ちゃんは本當にそれでいいの!?」
「ええ。研究は仲間に引き継いでもらうわ。私がいなくても彼らなら平気なはずだから。それに私、アリシアと離れているのはやっぱり寂しいもの」
「お姉ちゃん……」
レイラさんの言葉を聞き、アリシアは戸いながら視線を泳がせた。
本當は自分も同じ気持ちだったと伝えたいのだろう。
でも、照れくささが邪魔をして、なかなか本音を伝えられないようだ。
そんな中、アリシアと目が合った。
気持ちを伝えてみなよ。
そう思いを込めて頷いてみたら、アリシアはハッとした表になり、それからこくりと頭を振った。
「わたし本當は王都に連れて行ってしかった……。離れ離れで寂しかったんだから……!」
アリシアは拗ねたような涙目で、今まで溜め込んできた想いを姉に伝えた。
「ごめんね、一人ぼっちにして」
アリシアがそんなことを言うのは初めてなのだろう。レイラさんは驚いた顔で瞬きを繰り返してから、最の妹をぎゅっと抱きしめた。
アリシアは恥ずかしがりながらもレイラさんの腕の中に収まっている。
レイラさんを助けだすことができて本當によかったな……。
そんなことを思いながら微笑んでいると、ホランドさんに肩をぽんぽんと叩かれた。
「ディオ君のおかげでまた救われた人が増えたな」
「いえ、そんな……」
私利私のために他者を利用する悪人は殘念ながらこの世界にはたくさんいる。
そんなやつらから善良な人々を守るのが冒険者の役割なのかもしれない。
アリシアとレイラさんは幸せそうな笑顔を浮かべて寄り添っている。
この笑顔を守るため、僕はこれから先も冒険者としてもっと長していきたい。
そんなふうに思った。
きりのいいところまで書けたので、本日の更新分でひとまず完結とさせていただきます。
下にある☆☆☆☆☆を★★★★★に変えて反応していただけるととてもうれしいです。
また、これまでにブクマ登録、評価してくださった皆様本當にありがとうございました!
毎日の更新の勵みになりました。
ディオたちの語に関してまだまだ書きたいことはあるので、戻ってこれそうなときは活報告で告知させていただきます。
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