《じょっぱれアオモリの星 ~「何喋ってらんだがわがんねぇんだよ!」どギルドをぼんだされだ青森出の魔導士、通訳兼相棒の新米回復士と一緒ずてツートな無詠唱魔で最強ば目指す~【角川S文庫より書籍化】》ホジバ・ネグス(正気を失う)
異様な恐怖が全を貫いていた。
次々と襲いかかってくる人間のれの果て――ほとんど生けると化したウェノの住人たちの住処は、街というよりは巨大な毒蟲の巣を連想させる不気味さだった。
あらゆるものを拾い、綴り合わせ、ようやく雨風が凌げるだけの覆いの連なりの中から、亡者たちは次々と這い出して、容赦なく襲いかかってくる。
「これが人間――!? まるっきりバケモノじゃない――!」
レジーナの震える聲に答えるものなどいない。
今まさに墓場から蘇ったようなウェノの住人たちは、その細いの何処にこんな馬鹿力があるのかと疑いたくなるほど、常軌を逸した速度と跳躍力で次々と襲いかかってくる。
レジーナたちが必死になってウェノの街を走り、深りすれば深りするほどに亡者たちは數を増してきていた。
焦るレジーナの視界に、突然、數の影が踴った。
新たな亡者たちだ! 目の前にようやく開いた一筋の道に、數人の亡者たちがよたよたと危なっかしい足取りで這い出してきた。
Advertisement
「ゴメンネゴメンネー! ゴメンネゴメンネー! ゴメンネゴメンネー!」
「コノバカチンガ! バカチン……コノバカチンガ! ア、ガラガラガラ! ア、ガラガラガラ!」
「キミノハートニ、レヴォリューション! ココ、ウェノ、ココ! ココ、コココココ……!」
それぞれに意味不明なき聲を上げながら、亡者たちはガクガクと頭を揺らしてこちらに走ってくる。
「先輩……!」
「任せろ! 【拒絶(マネ)】!」
オーリンが足を止めないまま、右手を振り抜いた。
途端に虛空に舞した魔法陣が亡者たちを上から押し潰し、地面にい止める。
「止まるなよ! 走れァ!」
オーリンの再びの怒聲がすぐ前に弾けた。
レジーナがよたよたと走ると――急に橫から何かが飛びかかってきた。
「うわっ――!」
レジーナがもんどりうって地面に倒れると、覆いかぶさってきた亡者の瞳のない目玉がギョロリとった。
「ラ、ララララ、ララッ! ラーメン、ツケメン、ボクイケメン……オッケー!!」
意味不明の喚きとともに、亡者がぐわっと口を開いた。
ヤバい、喰われる――! レジーナが目を瞑った瞬間、ガウッ! という吠え聲とともに、白い影が目の前の亡者の首筋に噛み付いた。
「ワサオ――!」
スタッフゥー! と亡者は悲鳴を上げたが、ワサオは首を食い千切らんばかりに食らいついて離そうとしない。
その戦に勇気づけられたレジーナは、とっさに右手をばして近くに落ちていた石を拾い上げ、無我夢中で男の側頭部を狙った。
「やあああああああああッ!!」
ゴキン、という衝撃が発し、亡者が橫に吹き飛んだ。
レジーナがそのまま亡者に馬乗りになり、両手で摑んだ石を振り下ろそうとした瞬間――。
「殺すなっ! 正気は失ってるども人間だどっ!」
オーリンの大聲が耳に屆き、はっとレジーナは思いとどまった。
うう、といた亡者を見下ろしたレジーナの頭の中に――ふと、か細い聲が聞こえてきた。
【帰りたい――】
レジーナは思わず、亡者の顔を凝視した。
亡者の、瞳の消えた目から流れ落ちる雫は――。
この亡者――まさか、泣いている――?
【帰りたい、帰りたい、故郷に帰りたい。王都はもう嫌だ、こんなところにはいたくない。親父やおふくろがいる、故郷の、故郷のサクラダヤマへ帰りたい――】
次々と【通訳】されてくる亡者の聲に、思わずレジーナは石を取り落した。
呆然とその嘆きに耳を傾けていると、ぐい、とオーリンに腕を引っ張られた。
「のさらど立ち止まるんでねぇでば! 走れ!」
そう言われて、レジーナはオーリンに手を引かれたままよたよたと走った。
走っても走っても、さっきの景を目にした足に力がらない。
「先輩……今の亡者、泣いてました――」
レジーナが言っても、オーリンは何も言わなかった。
無言のオーリンに、レジーナはなおも言った。
「故郷に帰りたいって、こんなところにはいたくないって……! 先輩、この人たちは一どうしてこんなことになったんですか!?」
レジーナが言うと、オーリンがぐっとを噛んだ。
「――こごさいる亡者たちはよ、元々は王都で一旗上げんべって、田舎がら出てきた(ではってきた)人間だ。それが夢破れでよ、田舎さ帰りでぇ一心でこごさ集まった。それがウェノの始まりだ」
オーリンはまるで我が事のように、痛ましい表で言った。
「それが今や舊道は王國に封鎖さえでまった。上の新道を通れるのば一握りの金持ぢど貴族だけ……なんどが通行料を貯めんべぇどするうぢに、最早(もは)なもかもわがんねぐなって、みんなこった風になってしまうど聞いでる――」
それが、ウェノの真実――。
王都への絶、郷の念、痛みと故郷しさに狂った人々のれの果てが、ウェノの亡者たちだというのか――。
――レズーナ、気持ちばわがるけどよ、ウェノの連中のごとばあんまり悪ぐ言うな。
そう言ったオーリンの真意が、ようやくわかった気がした。
オーリンはこの気がれた亡者たちに――紙一重の自分の姿を見ていたのだ。
この人たちを助けなきゃ。
レジーナはぐっとオーリンの手を握り返した。
私は回復士、痛みに苦しみ、救いの手が差しべられない人を助けるのが仕事だ。
「先輩、あの――!」
レジーナが決意の一言を発すると、しだけこちらを振り向いたオーリンが、ニヤ、と口元を歪めた。
「ああ、わがってるでば。ちゃあんとその辺も考えでらでばよ。心配(すんぺ)すな」
その余裕の笑みに――なんだか、ドキッとした。
オーリンは、自分がこの亡者たちを助けたいと言い出すのを見越してここを通ったというのか。
まさか、という思いと、いや、オーリンならやりかねないという思いが同時に湧いてきて、オーリンに摑まれた右手が何だかじっとりと汗ばんだ気がした。
そのまま、ドブ池と化している広大な池のほとりを通り過ぎ、元々は公園であっただろう場所を駆け抜けると――目の前に巨大な城壁が見えてきた。
王都をぐるりと取り囲む城壁――その城壁の土手っ腹に、厳重に鎖された古い古い門扉がある。
何故なのか、門扉には數多くの亡者が取り付き、ここを開けろとでも言うように、せわしなく叩いている。
あれは一――? レジーナが目を瞠った、その途端だった。
「レズーナ見ろ! アレが舊街道だ! アレを解放せば亡者どもも故郷(くに)さ帰れるんだ!」
こごまで読んでもらって本當に迷ですた。
「たげおもしぇ」
「続きば気になる」
「まっとまっと読ましぇ」
そう思らさっていただげるんだば、下方の星コ(★★★★★)がら評価お願いするでばす。
まんつよろすぐお願いするす。
【書籍化】勇者パーティで荷物持ちだった戦闘力ゼロの商人 = 俺。ついに追放されたので、地道に商人したいと思います。
ありふれた天賦スキル『倉庫』を持つ俺は、たまたま拾われたパーティで15年間、荷物持ちとして過ごす。 そのパーティは最強の天賦スキルを持つ勇者、ライアンが率いる最強のパーティへと成長して行った。そしてライアン達は、ついに魔王討伐を成し遂げてしまう。 「悪いが。キミは、クビだ」 分不相応なパーティに、いつまでもいられるはずはなく、首を宣告される俺。 だが、どこかでそれを納得してしまう俺もいる。 それもそのはず…俺は弱い。 もうめちゃくちゃ弱い。 ゴブリンと一騎打ちして、相手が丸腰でこっちに武器があれば、ギリギリ勝てるくらい。 魔王軍のモンスターとの戦いには、正直言って全く貢獻できていなかった。 30歳にして古巣の勇者パーティを追放された俺。仕方がないのでなにか新しい道を探し始めようと思います。 とりあえず、大商人を目指して地道に商売をしながら。嫁を探そうと思います。 なお、この世界は一夫多妻(一妻多夫)もOKな感じです。
8 125斷罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪女を目指す(第三章完結)【書籍化、コミカライズ決定】
【書籍化、コミカライズ情報】 第一巻、2021/09/18発売 第二巻、2022/02/10発売 第三巻、2022/06/20発売 コミカライズは2022/08/01に第一巻発売決定! 異母妹を虐げたことで斷罪された公爵令嬢のクラウディア。 地位も婚約者も妹に奪われた挙げ句、修道院送りとなった道中で襲われ、娼館へ行き著く。 だが娼館で人生を學び、全ては妹によって仕組まれていたと気付き――。 本當の悪女は誰? きまぐれな神様の力で逆行したクラウディアは誓いを立てる。 娼館で學んだ手管を使い、今度は自分が完璧な悪女となって、妹にやり返すと。 けれど彼女は、悪女の本質に気付いていなかった。 悪女どころか周囲からは淑女の見本として尊敬され、唯一彼女の噓を見破った王太子殿下からは興味を持たれることに!? 完璧な悪女を目指した結果溺愛される、見た目はエロいけど根が優しいお嬢様のお話。 誤字脫字のご報告助かります。漢字のひらがな表記については、わざとだったりするので報告の必要はありません。 あらすじ部分の第一章完結しました! 第二章、第三章も完結! 検索は「完璧悪女」を、Twitterでの呟きは「#完璧悪女」をご活用ください。
8 181傭兵少女と壊れた世界
人の文明はゆるやかに衰退した。 夜風に混じって結晶が飛ぶようになった世界。街が消え、國が飲み込まれ、生き殘った人々は失われた技術にしがみつき、わずかな資源をめぐって爭い合う。 そんな世界を巡回する移動都市で少女は暮らす。銃の腕を磨きながら、身よりのない子供たちとギリギリの生活を送る。大きな不満はないが充足感もない。しいて言うならば用意される飯が不味いこと。 少女は大人になりたいと願った。過酷な世界で少しでも自分らしく生きるために、ひたすら銃を練習した。必要なのは力と知識。生き殘りたければ強くなれ。いつか大人になった時、街を出て、自由に生きる傭兵を目指すのだ。 しかし、街を守るはずの大人に裏切られた少女は船から落とされてしまう。さぁこれからどうしよう。唐突に放り出された外の世界。されど少女はしたたかであった。たとえ亡者のような人間に追われても、巨大なミミズに捕まっても、大國の兵士に襲われても……。 世の中はくそったれだ、と愚癡をこぼしながら傭兵少女は銃を握る。 ○ 物語の進行にあわせつつ、週二話を目安に更新します。基本的に週末です。更新が遅れたら叱ってください。
8 111召喚チート付きで異世界に飛ばされたので、とりあえず俺を転移させた女神さまを召喚することにしました
MMORPGのつもりで設定したステータスを持って、相馬(そうま) 徹(とおる)は召喚士として異世界に転移した。女神さまから與えられたのは、ただひたすら召喚――つまりガチャを回すことに特化したチートだった。ソーマは召喚チートを駆使し、この世界で成り上がっていく。これは一人の少年が、魔王を倒し勇者に至るまでを描いた物語。※こちらの作品はまったり進行でお送りいたします。 この作品は『小説家になろう』様でも掲載しています。
8 61普通を極めた私が美少女に転生ってそれなんて生き地獄!?
私は普通に普通を重ねた普通の中の普通……そう!まさしくアルティメットに普通な女の子っ!そんな私は普通に交通事故で死んじゃった!嗚呼、普通に成仏するのかなぁって思ってたら駄神の野郎、私が普通すぎるせいで善人と悪人の判斷がつかないからもう一度、生まれ直してこいとか抜かすの!正気の沙汰とは思えないわ!しかも異世界に!極め付けには普通をこよなく愛する私の今世が金髪美少女待った無しの可愛い赤ちゃんとか本気で泣きそう。というか泣いた。
8 177異世界転生~神に気に入られた彼はミリタリーで異世界に日の丸を掲げる~
右翼思想の持ち主鹿島良太はある日天照大御神によってクラスごと神界に召喚される。有無を言わせず適當な特典を與えられて異世界に送られる中八百萬の神の一體稲荷輝夜に気に入られ一人好きな能力を特典に選べることが出來た。彼はその特典に選んだミリタリーを使い異世界に日本を作ろうとついてきた輝夜と奮闘する。
8 92