《お薬、出します!~濡れを著せられて治療院から追放された薬師さんが辺境で薬屋を開きました。極めたポーションは萬能薬と呼ばれて回復魔法を超えるようです~【書籍化コミカライズ企畫進行中】》浴剤の調合 2

レンジオの実 ランク:C

メディが目をつけたのは村人の民家の庭にある木から採れた実だ。頭を下げたら、一つだけ譲ってもらえて謝している。

酸っぱさが勝ってメディはあまり好まないが、これに含まれている分に目をつけた。

調合釜にレンジオの実をすりつぶしてれてから火にかける。しずつ水を加えると、かすかに発泡した。これこそが薬湯に必要なものだとメディはガッツポーズだ。

しかしメディはレンジオの実ではなく皮で一つ試す。皮を調合釜で末狀にして、浴剤の原料の一つとした。

「これでがポカポカ溫まるはずです!」

リラックスハーブティーにも使用されたオルゴム草でリラックス効果、レンジオの実の皮で保溫効果、解毒効果があるグリーンハーブをほんのし。

レスの葉を乾燥させて末にして、仕上げにブルーハーブの魔力で効果をより引き上げる。すべて末にしたものを調合して、いよいよ出來上がった。

薬湯の浴剤 ランク:C

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「いろんな人が浴することを考えるとこの辺りが限界ですねぇ」

ランクが高くなれば効能は高まるが、不特定多數のに合わせることを考えると難易度は跳ね上がる。現にメディの汎用ポーションは今のところBだ。

これだけでも聞く者が聞けば天才と評する。しかし今の素材ではこれが限界だった。

更にレスの葉を湯に浮かべれば風も効果もある。メディは今回の使用素材をまとめた。

薬名:薬湯の浴剤 ランク:C

素材:ブルーハーブ

グリーンハーブ

レスの葉

レンジオの皮

オルゴム草

効果:保溫効果、傷口の治癒、環境の改善が期待できる。

「これで村の人達の健康力がアップしますねぇー!」

ポーションを初めとした薬ほどの効果はない。不特定多數に広く淺く効果を及ぼすだけで今はこれでよかった。

大人から子どもが気持ちよく浴できる場所ができるというだけで、メディは今から期待でいっぱいだ。

期待が高まりすぎて、浴剤を持って外へ出た。

* * *

「アイリーンさん! エルメダさん! 浴剤の試作品ができました!」

模擬戦の一區切りがついた二人にメディがはしゃいで報告する。相変わらずエルメダはまったく敵わない様子だ。

メディのテンションが高く、アイリーンやエルメダも目を輝かせる。

「よし! さっそく試そう! 汗をかいてしまったからな!」

りましょう!」

ろうっ!」

三人は一致団結するが風呂は狹い。アイリーンが住んでいる民家の風呂に向かって、さっそく風呂を焚いた。

所にてメディとエルメダは沸くまで待っているが、アイリーンはすでにいでいる。

「さ、寒くないの?」

「問題ないぞ」

「さすが神から授かりし……。見てるこっちが寒くなってくるぅ」

エルメダはアイリーンから目を逸らすが、メディは相変わらず完璧なだと心する。

湯加減を確認したアイリーンが手をれてから頷いた。

「ちょうどいいぞ」

「沸いた? よーし!」

二人がるには手狹だが、アイリーンに続いてエルメダも足をれる。ところが間もなく悲鳴が響き渡った。

「あっつうううういぃぃぃーーーー! 熱湯じゃん!」

「そうか?」

「そうか? じゃなくて! 埋めて埋めてぇ!」

「さすがアイリーンさん!」

心するんじゃなくて!」

これでは浴剤どころの試作ではなく、メディは火を消す。

アイリーンならマグマにも平然と浸かりそうだと、エルメダは足を冷ましながら考えた。

「ハーブから分を出するならいい溫度なんですけどねぇー」

「私の命が出されるところだったよ!」

エルメダはまた一つ、アイリーンという生の特異を知った。

湯加減を再び調整したところでメディが浴剤を投する。湯がエメラルドに変化して、それだけで幻想的な仕上がりとなった。

「わぁ! 見た目もいいね!」

「湯もいいぞ。が実に溫まる」

「よーし……」

エルメダが今度こそ浴に功した。二人は明らかに手狹ではあるが、の芯から溫まる湯だ。

メディは二人を見て、功を確信した。心ともにいい影響を及ぼしており、これだけで満足している。

「よかったです! これで大薬湯も完ですねぇ!」

「メディ、お前もどうだ?」

「わ、私はいいですよぉ。狹いですし……」

「こんなにいい湯を二人だけで獨占するのはもったいない。遠慮しなくていい」

やがてメディも浴を試みるがやはり狹い。

遠慮しようとしたところで、メディがエルメダに手を引っ張られた。三人がすし詰め狀態のようになり、浴を楽しむどころではない。

湯の心地もあったものではないが、メディにとっては初めての三人風呂である。

「狹いですけどぉ、悪くないですねぇ」

「でしょ?」

「でも狹いですねぇ……」

ほぼ重なり合った狀態でなんともカオスだが、メディとしては居心地は悪くなかった。

今は狹いが大浴場が完すれば、広々と皆でることができる。メディは大浴場の完がより待ち遠しくなった。

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