《お薬、出します!~濡れを著せられて治療院から追放された薬師さんが辺境で薬屋を開きました。極めたポーションは萬能薬と呼ばれて回復魔法を超えるようです~【書籍化コミカライズ企畫進行中】》不死と炎狐
「殘ったのはこれだけか。つくづく害だねぇ」
デッドガイ達はずっと監視されていた。サハリサと共に泳がされて、町を出ようとしたところで衛兵に囲まれたのだ。
ところがデッドガイやサハリサの実力は衛兵達の予想を上回る。
イラーザに雇われた冒険者の大半が捕まる事になるが、デッドガイとサハリサは衛兵を數人ほど返り討ちにする。
何とか街から逃げられたものの、殘ったのはデッドガイとサハリサ以外では數名程度だった。今はカイナ村の最寄の町にて、彼らは潛伏している。
空き家の一室でデッドガイ達は夜を待って街を出る予定だった。
「ど、どうするんだ? これじゃ報酬もクソもないぞ」
「殘念ながら途中下車はできねぇんだ。サハリサと合流できたのは幸いだったな」
「ハッ、おかげでこっちまで巻き添えだよ」
冒険者達は青ざめているが、デッドガイとサハリサはスリルを楽しんでいた。
予定は狂ったが二人は目標を変えるつもりなどない。イラーザが提示した報酬に目が眩んでいるのもあるが、これこそが彼らの本質だ。
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冒険者という立場を利用しているだけであり、いざとなれば平気で捨てる。
「あのからたっぷりと報酬を貰うのが難しくなったね」
「サハリサ、だからこその共闘だろ? 俺の取り分は三割でいいんだ」
「がないね?」
「俺は不死だからな。飲まず食わずでも生きていられる」
デッドガイが自分の武でを突き刺して引き抜く。苦しむ様子もが出る気配もなく、サハリサ以外の者達は震えた。
自稱ではあるが、その名に偽りはないと見せつけられたのだ。人間じゃない。化けだ。
そうじ取った時點で、迂闊なきは見せられなかった。
「ところでターゲットの居場所はわかったのかい?」
「この町で突き止めた。宿屋のオヤジがポロッと喋ったよ。二度ほど宿を利用したみたいだな。ただなぁ……気がかりな報もある。どうもガキ以外にも連れがいるみたいなんだ」
「連れだって? 護衛でも雇ってるのかい?」
「二度目にはエルフの魔導士とスレンダーなを連れていたらしい。オヤジの言葉通りの報だ」
「なんだい、そりゃ。他に報は?」
「ないね。腕利きならともかく、ただのオヤジが容姿だけでどんな奴かなんてわかんないだろ?」
一度目は治療院を追い出されてカイナ村に行く前だ。二度目はクレセインからカノエを連れて帰ってきた時だった。
彼らが突き止めたのは何もない辺境の村だが、そこには未知數の護衛がいる。楽な仕事だと踏んでいたサハリサは舌打ちをした。
「やだねぇ。エルフかい。あたいはエルフってのが大嫌いなんだよ」
「へへっ、奴らのせいで人間の魔導士は肩が狹い思いをしてるらしいな。同するぜ」
「あんたがどの程度、不死か試したくなったよ」
「待てよ。俺は歯に布を著せねぇ評価を下したんだ。つまりそれだけ警戒してるって事だ」
魔法あるところにエルフあり。人間社會に溶け込んだエルフは宮廷魔導士団や研究機関などで指揮を執り、今の魔法界隈を牽引している。
人間の魔導士が貴族家に気にられるのは難しくなっていた。優秀な魔導士をしている有力者の中にはエルフを雇っている者もそれなりにいる。
しかしサハリサは負けを認めたわけではない。
「デッドガイ。警戒は結構だけど、あたいの魔法があれば十分さ。見てみな……!」
サハリサとデッドガイ以外の冒険者がに違和を覚える。次の瞬間、まるで尾が生えたように火がつく。
「な、なんだ!?」
「火が、火が……」
「落ち著きな。そいつはあたいに逆らわなければ熱くないさ。つまりに火がついちまったからにはね、やるしかないんだよ。これがあたいの魔法さ」
デッドガイは素直にサハリサを認めた。魔法は個人によって千差萬別であり、人間でも彼のように特殊な魔法を扱うものもいる。
この魔法でサハリサは様々な悪事を立させてきた。代役として悪事を強要して、用がなくなれば尾切りのごとく切り離す。サハリサは冒険者達を手駒としたのだ。
「クソッ! 消えろ! 消え……うわぁぁっ! 燃え、熱いぃ!」
「アハハハッ! 無理に消そうとするからさ。あたいの言う事を聞くかい?」
「聞く! 聞くから……」
冒険者の尾のような火が収して元の大きさになる。サハリサの意にそぐわなければ導火線となって対象を襲う。
彼は彼らを使って様々な手段を思い描いた。彼らを使っていきなり村を襲わせるか。偵察に使ってもいい。
未知の戦力がいると判明した以上、使い道はいくらでもあった。
「デッドガイ。あたいらが手を下すまでもないかもしれないね」
「そいつは楽でいいけどな。できればエルフの魔導士とスレンダーの報がもうししかった……あ」
「わかったかい? そいつも任せればいいのさ」
「……怖いだぜ。そう思わないかい? アバインさんよ?」
火をつけられた冒険者の一人、アバインは何も答えなかった。項垂れて、火の尾にも反応しない。
「アバインさん、諦めろよ。あんたは落ちるところまで落ちたんだ。一級でも出世できねぇ奴はいる。を壊して田舎に帰った奴や寢たきりになった奴……神的に戦えなくなった奴。死んだ奴。そいつらに比べたらあんたはまだ生きてる」
「……これでは外道だ」
「外れたところを歩けばそこも道さ。人生、楽しまなきゃ損だ。くよくよ悩むのは害だぜ」
アバインはデッドガイと目を合わせない。腐っても一級の自分がその気になれば、デッドガイとサハリサの二人を相手にできるかもしれない。
そう思ったところでがかないのだ。心が縛られて、己の正義を貫けない。自分が自分を許せない。
その虛ろな目はどこを見つけるわけでもなく、視線が定まらなかった。
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