《お薬、出します!~濡れを著せられて治療院から追放された薬師さんが辺境で薬屋を開きました。極めたポーションは萬能薬と呼ばれて回復魔法を超えるようです~【書籍化コミカライズ企畫進行中】》予防薬 2
キャベシ ランク:A
ニジン ランク:A
タマギ ランク:A
「素晴らしいっ!」
メディは村で栽培している野菜を並べて一人で心した。今まであまり気にしていなかったが、ランクAの食材など滅多に見られない。
王都に流れる食材の多くは輸品であるが、必ずしも質の保証はされていなかった。
運搬の過程で劣化しているものや、末な育て方により旨味や栄養の大部分が失われているものも珍しくない。
最近では蟲食いを嫌う人々が増えた為、生産者もあの手この手を使って除去していた。そんな中で魔法による駆除で食材が痛んでしまう事もある。
「村の人達は蟲を極力、丁寧に手で取り除いてます。蟲がつくのはしょうがないんです」
「そうよね。蟲が食べるならおいしい証拠よ」
「蟲と人間は違う生きなのでそれは……カノエさん、まだいたんですかぁ!」
「夕食を用意させたら用済みなの? ひどいわねぇ」
アトリエに堂々と居座っているカノエにメディが驚く。邪魔にならなければいいが、カノエの事だ。
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邪魔になる位置取りやきをするはずがない。彼はメディに追い出されないギリギリのところを攻めていた。
魔力の水 ランク:A
ブルーハーブ ランク:B
イエローハーブ ランク:B
グリーンハーブ ランク:B
「イエローハーブを使うの?」
「イエローハーブはお腹の環境を整える効果ばかりが注目されますが、実はの免疫機能をサポートします」
イエローハーブにより、胃腸の機能を高めるのが狙いだ。余計なものを分解して外へと排出させる。
更にグリーンハーブで毒素の分解をサポートして強化した。ハーブ等はそれぞれ乾燥させる事で余計な水分を飛ばす。
効果増強は魔力の水だけではなく、ブルーハーブもふんだんに取りれた。
予防薬としてに浸させる力をもたらすのは、これらに含まれている魔力の助けがなければいけない。
エルメダのようによほど特殊な質でない限りは、常人が持っている微量な魔力と混ざり合ってもらえる。
「や管にいい作用をするクラホフの実と解毒効果があるグリーンハーブも忘れてはいけません」
「全的にを強くする発想でいいのかしら?」
「そうです。この村の野菜が教えてくれましたから。もちろんすべての病は防げませんけど、完すれば外部からの病の脅威はだいぶ取り除けるはずです」
「でも予防薬って質によって合ったり合わなかったりするじゃない? それはどうするの?」
「もちろん一人ずつ合わせて作ります。今のは人用です」
「実験臺ならいつでもけるわ」
カノエが元をちらりと開いてアピールするが、メディは気にしない。
新薬の開発など、本來であれば年単位を費やす。一人の薬師の手に負えるものではないがカノエが見る限り、メディそのものが研究機関に相當する。
數十人の優秀な薬師が集まり、ようやく進める工程をメディは異常なまでの速度で消化していた。
正解のルートを手探りで當てるのではなく、すでに知っているかのようだ。無數にある選択肢の中から即最短距離を見つけ出している。
それは薬師の知識というより、勝負勘に近い。アイリーンのような強者が戦いの中で相手を見切り、最適なきを見つけ出すのと同じだ。
戦場でアイリーンが最強であれば、薬師最強はメディかもしれないとカノエは頬杖をついた。
「続いてこの野菜達です。栄養素を多く出して、それぞれアフラの実と掛け合わせます」
「アフラの実はどんな効果があるの?」
「生きる上で必要ですがで生できない栄養素が含まれているんです。リラックスハーブティーにも使っています」
「あぁ、それはあるわね。その存在が明らかになる前は、長い航海で栄養不足に陥った船員達は次々と命を落としたわ」
船旅で生き殘るのは船員のうち半數以下と言われていた時代があった。
その原因を明らかにしたのも薬師でもあるのだが、今では追いやられている。
メディほどではないにしろ、薬師はまだまだ世の中にとって必要だとカノエは國の方針に呆れた。
「アイリーンさん風にいえば本はの強化ね。強いさえあれば、染する確率は大幅に下がる」
「それも一時的ではなく、半永続的でなければいけません。だから魔力への干渉が今まで以上に重要なんです」
「私の魔力は大した事ないけど、常ににまとわりついてるものよね」
「そうですよ。私にもあります。エルメダさんなら誰がどこにいるのか、わかるくらい敏ですけど」
「私がここにいるのもバレているのかしら?」
闇の界隈において、それができるものほど脅威とされている。カノエには恵まれない才能だ。
もっとも、そんなアドバンテージをものともしないのがかつての彼だが。
「酪農を営んでいるポールさんのおじいさんは生まれてから一度も病気をした事がないそうです。ヒントはそこにあったんですよ」
「彼の場合は長年、摂取し続けているからこそね。でも、メディちゃんの予防薬は違う」
「そうなんです! さすがランクAの食材です、アフラの実との相乗効果ですごい栄養素が生まれました!」
「それは?」
「への毒素を排出するだけではなく、様々な抗が作り出されます!」
「それはすごいわね。命名するとしたらメディリンかしら?」
「えー……?」
名前などまるで考えていなかったメディだが、そのネーミングには疑問を持った。
メディが仕上げとして魔力水とイエローハーブ等を掛け合わせたものと、メディリンの調合にる。
その時、調合釜がった。
「え……? メディちゃん、それって?」
「こ、これは! お父さんの時と同じです! ベストな調合に釜は応える……でも、狙って出せるものじゃないって……」
「つまり奇跡ね」
かつてランドールは數度、起こした。ほとんどの薬師は生涯に一度すら葉わない。
カノエは魅っていた。予防薬どころか、それは奇跡の薬の誕生ですらある。
「できました! 皆さんにお薬、出します!」
薬名:予防薬メディリン ランク:S
素材:ブルーハーブ
グリーンハーブ
イエローハーブ
魔力の水
アフラの実
キャベシ
ニソジン
タマギ
効果:強力な伝染病への予防効果がある。
この日、メディは生まれて初めてランクSの薬の調合に功する。
そんな奇跡をよそに、メディは平常通りの喜びだった。カノエと手を握って跳び上がり、おおはしゃぎでくるくると踴る。
事前の約束通りカノエが口にした途端、の奧底から何かが広がる覚を覚えた。
誤字報告、大変ありがたいのですが
事 → こと
為 → ため
事や為の漢字は読みやすさを考えて意図的にやっているものであり
どちらでもよかったはずなので、これらに関しては報告をしないでいただけるとありがたいです。
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