《お薬、出します!~濡れを著せられて治療院から追放された薬師さんが辺境で薬屋を開きました。極めたポーションは萬能薬と呼ばれて回復魔法を超えるようです~【書籍化コミカライズ企畫進行中】》宿の視察と改善點

「ここの床の段差、危ないですね。お年寄りは足が上がらない事が多いので、躓く可能があります」

「お、おぉ……。気づかなかった。ありがとな」

宿の建築の総仕上げとして、メディは部の視察をしていた。

薬師である自分の役割ではないと思っていたが、今になって村長が彼に視察を依頼したのだ。

宿は家と違って様々な人が訪れる。老人だけでなく、若くても怪我をして満足にかせない場合があった。

先の課題だが、街道整備を終えてしまえば訪れる客は急増する。來るべき時に備えて、メディはオーラスやアバインと共に徹底してチェックしていた。

「この階段の段差も高いですね。危ないので、手で摑まるところがあるといいと思います」

「なるほど、それなら簡単だ」

「すれ違う時も危ないので、上りと下りで區切りましょう。そのついでに摑まる場所も作れますよ」

「ううむ、そこまで考えているとは……」

本職であるオーラスがメディの指摘に心している。アバインはこの村に居ついたばかりであるが、メディの特異にやや慄いていた。

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治癒師や薬師は癒やすのが商売であるが、メディは先を見ている。どうすれば怪我をしないか、建を通して見據えていた。

王都の高級宿とて、そこまで考えられた作りにはなっていない。質がいいサービスが充実しているものの、人を守る作りなど二の次だった。

「アバインさん、オーラスさん。床が底冷えする気がします。この辺りは冬になると雪も降って寒くなるので何とかしたほうがいいかもしれません」

「そりゃ知ってるけどな。一応、耐雪設計はできてるはずだぞ」

「床を絨毯にするのはどうですか? それならって転ばないので安全も高まります」

「コストがかかっちまうな。けど、メディが言うなら村長に相談する」

「それができたなら……」

メディはまだ何かが足りない気がしていた。いくら宿の中を快適にしても不足しているものがある。

床の底冷えときて、メディは閃いた。

「そうですっ! オーラスさん! 服です!」

「ふ、服だって?」

「宿にいる時だけ、暖かい服を著てもらうんです! それなら風邪も引きませんし、快適に過ごせます!」

「宿専用の服か……」

王都の高級宿でも宿著に當たるものはある。ただし、それはあくまで高級を演出する為のものであって利便はない。

もてなす事を重點に置いているので、客を守るなどというコンセプトはどこにもなかった。

アバインもそういった宿に宿泊した経験はあるが、利便を意識した事はない。

「せっかく來てもらったのに風邪を引いたら臺無しです。遠くの暖かい場所から來た人なら尚更です。気溫の差で病気になる事もあります」

「床の絨毯や宿著……。この村の職人だけじゃきついな」

「オーラスさん、村長さんが人手について伝手があると言ってましたが、どうなんでしょうか?」

「俺も詳しくは聞いてない。そもそもあの人にそんなもんがあるのか……」

メディは不思議でしょうがなかった。元國王ならば伝手があって當然ではあるが、気になるのはオーラスの反応だ。

もしかして彼は村長が元國王である事実を知らないのかもしれない。だとすればメディは言うべきか、迷った。

「ま、変なじいさんだけどよ。頼りになるのは確かだ。期待して待とうぜ」

「そうですね。あ、それとあそこの天井ですが……」

アバインとオーラスは引き続き、メディと共に宿を見て回った。風通しなど、気を配らなければいけない箇所は多い。

その過程で宿で提供する食事のメニューなども目途がつき、必要な人材をより洗い出す事に功する。

人材をれるとなれば、民家の建築や空き家の整備も並行して行わなければならない。

メディ達のおかげで著実に村が発展している。忙しいが、メディは今になって治療院にいた時とは違ったやりがいをじていた。

* * *

薬屋に戻り、メディは訪れる客を思い浮かべた。その中にはエルメダのように魔力を有した者がいるかもしれない。

いわゆる魔導士であれば、魔力回復の薬は喜ばれるはずだ。実はそれ自は難しくない。

難しくないどころか、魔力の水をそのまま飲めば足りる。ブルーハーブを煎じてもいい。ただしそんなものであれば、町にいけば売っている。

宿もいいが、メディは薬屋の更なる進化を考えていた。汎用ポーション、汎用ハイポーション、リラックスハーブティー、汎用フィジカルポーションが主な商品だ。

更に特注で個人用のポーション製作を考えている。

「次に開発すべきは汎用マナポーションですねぇ」

以前、エルメダに調合した事はあるが店では販売していない。この村に魔導士はエルメダ以外にいないので単純に需要がないからだ。そして彼は食べて寢れば回復する。

マナポーションはポーション以上に質の落差が激しい。數滴の魔力の水が含まれただけの悪品が出回っており、魔導士達を悩ませる事もあった。

エルメダクラスの魔導士となると、食べて一晩眠れば回復する。一般の魔導士向けのマナポーションが完すれば、薬屋としてレベルアップできると確信していた。

ブルーハーブをわずかに千切って煎じただけの悪品ではない。メディが目指すのはきちんとした魔力回復が見込める本だ。

汎用ポーション ランク:B

汎用ハイポーション ランク:B

リラックスハーブティー ランク:A

汎用フィジカルポーション ランク:B

「汎用でAとなるとお父さんクラス……」

メディは父親を思い浮かべて力不足を痛していたが、汎用であればCですら市場にほとんど出回らない。

大半の冒険者はD以下の汎用ポーションをポーションの味や効果として認識している。

良薬は口に苦しなど、メディが求めるところではない。いつか必ずすべての薬をAに引き上げるのが彼の夢だった。

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