《【書籍化】勇者パーティで荷持ちだった戦闘力ゼロの商人 = 俺。ついに追放されたので、地道に商人したいと思います。》10 奇跡

薬草風呂は、意外と好評だった。

乾燥させた薬草を網狀の袋に詰め、湯の中に薬草の効能を溶け出させて薄く広く行き渡らせている。

ブレンドはアルカナの特製だったが。

どうやら鎮靜の効能を持つ薬草なんかも混ぜ合わせているらしい。

はどこじゃあ!?」

「アルバスてめぇっ! 俺たちを謀ったのか!?」

「噓だろ…。俺の…混浴…」

てなじで超絶に殺気だっていた冒険者達が。

湯に浸かると次第におとなしくなっていった。

「これは、生き返るな」

「今日1日の疲れが、湯に溶け出して消えてくみたいだぜ」

「これ、本當に今日だけなのか? 明日以降はもうやらないのか!?」

30人の屈強な冒険者達が。

だらしない顔をして浴槽でひしめき合ってる姿は。

それはそれで地獄絵図だった。

「なぁ、アルバス。お前さん、いつこんなネタを思いついたんだ?」

ちょっと真面目な顔をしたバージェスに、そんなことを聞かれたので。

俺もそれなりに真面目に返した。

「俺が以前立ち寄った山奧の村で。薬草を煎じて溶かしれた湯を、振舞ってもらったことがあるんだ。それが、本當に気持ちよかったんだよ」

俺が勇者ライアンのパーティにいた頃の話だ。

その時も、混浴。

だけど、俺だけ追い出された。

ライアンが、その妻たちと癡気騒ぎをした後の風呂に、俺は1人でゆっくりと浸からせてもらった。

々と変なものが浮いていたような気がするが。

気にしない。

満天の星がキレイで、最高の気分だった。

その時の思い出が。

今、役に立ったと言うわけだ。

「なるほどなぁ」

そう言って、バージェスはいちもつをぶらぶらさせながら風にあたりに行った。

風呂から出たら。

冒険者達はまた殺気立ち始めるだろう。

今のうちに逃げ去る準備をしよう。

そう思って、バージェスとの話を終わらせた俺が、こっそりと所の方に移し始めた時。

ガラガラと所の扉が開いた。

そしてそこには。

薬草農家の主人、アルカナがいた。

「ええっ!?」

アルカナは、し大きめの薄布を纏っただけの姿だ。

そんな危うい格好で。

薬草農家の主人、アルカナは。

30人の屈強な冒険者がひしめく、阿鼻喚の地獄絵図の中に飛び込んできた。

それはまさに、舞い降りた天使。

隠すところはちゃんと隠していたが。

拗らせた中年冒険者達にとっては、十分刺激的。

「な…、なんてこった…」

浴場は一瞬にして靜まり返り。

湯に沈んでいく者や。

を吹いて気絶するものまでが現れる。

呆気に取られる俺に、アルカナが微笑んだ。

「このまま、恩を仇で返すようなことはできません。私と娘の恩人の…、アルバス様を酷い目になんて遭わせられませんから」

どうやら。

薬草摘み直後の、俺の悲痛な呟きを聞かれていたらしい。

「私なんかで、なんとかなれば良いのですが…」

そんなことを言うアルカナだが。

まだまだも何もかも、若々しい。

そしてその辺で湯に沈んでる中年冒険者の大部分より、たぶん年下だ。

もし16で結婚し、17でプリンを産んだとすると。

今は33歳。

30ジャストの俺と、たいして変わらない。

ちなみに、後で聞いたらこの読みは正解だったらしい。

薬草風呂へのアルカナの登場により。

俺は九死に一生を得た。

そう。奇跡だ。

その後。

だらしなく顔を歪めた冒険者達は。

目だけは、若干走ってた気もするが。

的には、終始笑顔。

そして、混浴の時間が終わって共同浴場から追い出されると。

ご満悅のままそれぞれの家へと帰って行った。

「はぁ…、助かった」

アルカナの艶姿も見れたし。

俺もかなり得した気分だった。

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