《【書籍化】勇者パーティで荷持ちだった戦闘力ゼロの商人 = 俺。ついに追放されたので、地道に商人したいと思います。》01 護衛の依頼

キルケット編①1〜33まで(加筆修正により2話ほど増えましたが。34は余談でしたので、メインは33までです)

一応一通り完したので、定期的に投稿していきます。

今後の話に続けるための。主要キャラ登場編。みたいなじにしようと思ってたのですが。思ったより長い話になってしまいました。

今回ちょいエロはなく、健全な冒険になる予定です。

苦手な方はご容赦ください!

アルカナの家を出立し。

西大陸で最も大きな町である城塞都市キルケットを目指すと、俺は決めた。

キルケットで何かでかい商売をして、商人として一山當てるつもりだ。

本業としては、行商人として世界を回るつもりだが、大きな町に自分の店を構えるというのも商人の憧れだ。

行商をするにしても、大きな町に拠點となる自分の店があれば、なにかと便利に違いない。

だがその第一歩として、まずはキルケットにたどり著かなくてはならない。

そしてキルケットへの道のりは、ヤック村とモルト町を行き來するようにはいかない。

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キルケットに行ってしまえば、そう簡単にはヤック村には戻って來られないだろう。

ヤック村とモルト町は「名もなき石の街道」で繋がっていて、その間には農場や牧場が広がっている。つまりは、完全に人間の領域だ。

俺1人でも、特に問題なく行き來できる。

だが、モルト町から城塞都市キルケットへの道のりは、そんな生やさしいものじゃない。

基本的には「アース街道」と呼ばれる古代人の作った街道を通るのだが、行程としては3日ほどの道のりだ。

しかも、ただ長いだけではない。

アース街道の途中には「アース跡」と呼ばれる広大な古代人の町の跡が広がっている。

そしてそこを城にしている野盜や亜人型モンスターも數多く存在している。

つまりは超危険地帯なのだ。

そんなところを。

俺みたいな戦闘力ゼロの商人が1人で歩いていたら。

一瞬で包み剝がされて、命も取られて「はい。終了」だ。

というわけなので。

俺はそれなりの額をはたいて、ギルドのクエストボートに「護衛クエスト」の依頼書を張り出していた。

その期限として指定した出発日が、まさに今日なのだ。、

『【上級】モルト町→キルケット間の商人1名の護衛』

依頼主、アルバス

募集要項、腕の立つ冒険者。パーティ、ソロ問わず4名。※前衛職がましい

報酬、1人につき8,100マナ(前金2,000マナ、到著後、殘り全額)

冒険者諸君がよく目にする『護衛』のクエストだ。

チート無雙系で「超巨大ボスモンスターだって、俺、一撃で倒しちゃうぜ!」みたいな主人公たちには。

面倒で地味だからという理由で見向きもされない依頼だ。

いらしい王様とか、貴族のご令嬢の護衛ならばストーリー的に需要もあるかもしれないが。

俺みたいなおじさん商人の護衛とか。

話題にすら上がらないでスルーされるに違いない。

だが。

俺みたいな戦闘力ゼロの商人は、誰かがこの依頼をけてくれないと、町の移すらままならないのだ。

ところで。

何度かギルドから「クエスト注の希者が來ましたが、面談しますか?」という問い合わせがあった。

だが俺は、アルカナのいるヤック村を離れたくない一心で「全面的にギルドに任せる」と言って全て追い返していた。

ちなみにそれ。今思うと大失敗だ。

何せ、戦闘力ゼロの俺にとって、道中の護衛は命綱そのものなのだ。

下手な相手に當たると、マジで死ぬことになる。

半年間この付近に滯在してて、ギルド職員の目利きはそれなりに信用しているが。

最悪、マジで危なそうなメンバーだと思ったら、その場で斷ることも考えていた。

依頼主都合のドタキャンは、半額〜全額が徴収される決まりなので、懐は超絶痛いけど。

當然、死ぬよりは何倍もマシだ。

あと、ついさっきアルカナたちと涙の別れを終えて出てきたので。今からまた戻るのはかなり気まずい。

「當たりメンバーであってくれ…」

俺は、自分の優不斷さを呪いながら、モルト町ギルドへの道を急いだ。

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