《【書籍化】勇者パーティで荷持ちだった戦闘力ゼロの商人 = 俺。ついに追放されたので、地道に商人したいと思います。》24 死地

アルバス達を追って行ったゴブリンの一団をやり過ごした後。

バージェスはから踴り出し、數のゴブリンを斬り殺しながらその部屋の中へと突進した。

ここまでは予定通り。

部屋の中には5のボスゴブリンと、30〜40のゴブリンが殘っていた。

は、事前にアルバスの倉庫から取り出しておいた近接戦用のショートブレードの二刀流だ。

ちなみに用の大剣は、背中だ。

そして両手のショートブレードで次々にゴブリン達を斬りつけながら、ボスゴブリンとの間合を詰める。

「バージェス様!! なぜあなたがこんなところに!?」

魔障壁(プロテクション)の中から、リオラがぶ。

だが、今のバージェスにリオラを構っている余裕はない。

『上位種のボスゴブリンを片付ければ。統率力が衰えて群れの規模が小する。そうなれば、追跡の手は弱まるし、巣のゴブリン共も散り散りになるはずだ』

パーティを二手に分ける前に、バージェスがアルバス達に言ったその言葉は…

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半分本當で、半分噓。

ボスゴブリンを討伐すると…

群れの統率力は低くなるが、一度放たれた追跡の手は緩まらない。

次の指令がないままでは、ひたすらアルバス達を追い続けるだろう。

「悪いな…本當のことを言うと、止められそうだったんでな…」

そのままバージェスは、ボスゴブリンを無視して次々に取り巻きのゴブリン達を斬り殺していった。

そしてあっという間に20を超えるゴブリンを葬り去る。

取り巻きを失ったボスゴブリンの行は単純だ。

再び、取り巻きを増やそうとする。

ぎぃぃーー! と5のボスゴブリンが次々に甲高い聲を上げ。

アルバス達に向けて放っていた追手を呼び戻し始めた。

「あぁ…これも予定通りだ」

アルバス達にとっては予定外だろうが。

これで、アルバス達に向けて放たれていた追手は全てこの部屋に戻ってくる。

リオラの魔障壁(プロテクション)の前に立ちはだかり、バージェスがニヤリと笑みを浮かべた。

「バージェス様! 今、魔障壁(プロテクション)を解きます! 中へ!」

だが、バージェスはリオラを無視した。

リオラの言葉には答えず、自分の言いたいことを伝える。

「アーク、リオラ。今から極大魔法剣を使う。巻き込まれないようになるべく俺の近くに寄っていろ。魔法剣でゴブリン共はほぼ壊滅するだろうが。多分、殺しきれない。だからアーク。そうなったらリオラを連れて俺の來たり口の方へ走れ。そっちには俺の仲間がいる」

アークの手が、ピクリとき。

閉じられていた目が、カッと見開かれた。

「へましやがって、このクソ坊主が。自分の大切なものくらい、ちゃんと自分で守れや」

バージェスがそう吐き捨てると。

毒に侵されたで、アークが立ち上がった。

謝いたします。バージェス様」

「アーク、無茶よ! バージェス様も…護衛隊も無しに極大魔法剣を放つなど。危険すぎます!」

アルバスたちを追って行ったゴブリンだけではなく、橫からも次々とゴブリンが這いずり出てきていた。

その數は、すでにゆうに100を超えている。

「この死地に、活路があるとすればそれだけだろう?」

そう言って…

バージェスは2本のショートブレードを投げ捨てた。

そして、背にした大剣を抜き。

高々と天井に向かって掲げた。

「さて…やるか」

飛びかかってるくゴブリンを、蹴り飛ばして振り払いながら。

バージェスは詠唱にった。

「天地に満ちる霊よ…我が呼び聲に応え、我が剣へと集え。我ら矮小なる人の子へ、その力を示したまえ」

バージェスの大剣がを放ち始め、ゴブリン達がわずかに怯んだ。

バージェスはそのまま。

高く掲げたその大剣を逆手に持ち変え、深々と地面に突き立てた。

「極大魔法剣! 天地神明陣(てんちしんめいじん)!」

突き立てられた剣を中心に地面をの亀裂が駆け巡り、一瞬にしてバージェスを中心とした魔法陣を描いた。

その、部屋全を包み込んだ魔法陣からの竜が溢れ出し、ゴブリンのを引き裂きながら上へと立ち登り始める。

「ギギィっ!」

不穏な大技の気配を察して。

一部のゴブリンが、奇聲を上げながらバージェスへと飛びかかってきた。

無防備なバージェスの服に取りつき、噛みつき、棒で毆りつける。

だが…

一度起し始めた極大魔法剣は、もはや止まらない。

「バージェス様!!」

「ぐ…ぬうぅ…」

にゴブリンをまとわりつかせながら。

バージェスがさらに深く地面に剣を突き立てる。

「失せろ…薄汚ぇモンスターども! 俺の教え子と、リオラ姫に。その穢らわしい手でれるな」

溢れ出たがゴブリン達を包み込み。

凄まじい轟音と共に。

弾け飛んだ。

そして…

が消えた後に殘ったのは…

バージェスにまとわりつく數のゴブリンと、リオラとアーク。

そしての魔法陣に切り裂かれ、ぐちゃぐちゃになったおびただしい數のゴブリンの死骸だった。

リオラの魔障壁(プロテクション)は、バージェスの魔法剣の衝撃で弾け飛んでしまっていた。

「うおおおぉぉぉーー!」

アークが立ち上がり、リオラの手を引いて出り口へと走る。

バージェスは、ぐらりとよろめいて地面に倒れ込み。

そして生き殘りの數のゴブリンによって、めったうちにされていた。

全ての力を使い果たし、もはや抵抗することもできない。

「アーク! バージェス様が」

「まずはリオラ様を!」

アークはリオラの言葉に耳を貸さず、走り抜けようとする。

が…

向かっていた出り口から現れた、更なるゴブリンに襲いかかられて地面に倒れ伏した。

「ぐぅっ!」

リオラが再び魔障壁(プロテクション)を出現させようとするが、ゴブリンに毆り飛ばされて魔が中斷させられてしまう。

「きゃぁぁっ!?」

そして、そのままゴブリンたちに組み敷かれ。

もはやきがとれなくなってしまう。

ゴブリンの爪がリオラの背中にび。

その服を引き裂いた。

「リオラ様っ!?」

アークもまた。

毒に侵されたを、ゴブリンたちに打ち據えられ。

を吐きながら、無様に地面を這いずっていた。

もはやこれまで…

リオラとアークを、再び絶が襲ったその時。

「どおりゃぁぁあーーっ!」

「バージェス! 生きてるかっ!?」

広間に走り込むゴブリン達を蹴散らしながら。

ロロイとクリスがその部屋にしてきたのだった。

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