《【書籍化】勇者パーティで荷持ちだった戦闘力ゼロの商人 = 俺。ついに追放されたので、地道に商人したいと思います。》27 アルバス買収?

俺たちはアークとリオラをメンバーに加え、再び跡の最奧を目指して出発した。

先頭にバージェスとクリス。

しんがりにはロロイとアーク。

間に挾まれて守られながら、俺とリオラが並んで歩く。

パーティは、俺の覚えている道順を頼りにして、翌日には地下4階層へとった。

「凄いですね。2年前に攻略したとはいえ、この迷宮の道を丸々覚えているのですか?」

「まぁ、もちろん通った道だけだけどな。戦闘では全く役立たずだったんで、そのくらいは出來る様になろうって決めてたら。いつの間にかほぼ暗記できるようになってた」

そう。初めは必死にメモとか取りまくっていたのだが。

気づけば丸暗記ができるようになっていたのだ。

そして、一度完全に覚えたら、ほとんどもう忘れない。

「もはやアルバスさんの地図作(マッピングスキル)は、習得スキルと言ってもいいレベルですね。私なんて、今きた道すらももう危ういですよ」

アークも、リオラに同調して俺をおだててくる。

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悪いけど、何も出ないぜ。

まぁでも、習得スキル「地図作(マッピング)」

悪くない響きかもしれない。

ガイドの仕事を請け負う時にそれっぽく言えば、かなりもっともらしく聞こえるはずだ。

「待て…。前方から戦闘の気配だ」

バージェスの言葉で、全員が立ち止まった。

アークが先行して様子を伺ってくると。

どうやらノッポイの部隊が前方の中部屋で迷宮の魔との戦闘中らしい。

「俺の記憶だと、この先の広間を抜けるルートが地下5階層への最短だ。今から別のルートを探すという手もなくはないが…」

「先を急ぐならば、あっちの部隊との遭遇はやむなし。か…」

「いや…、できれば回避したい」

ここまできたら、遭遇後には戦闘になる可能の方が高い。

相手の総戦力は不明だが、迷宮の魔や數々の罠を発させ続けながらも、こんなところまで辿り著いた部隊だ。

それはかなりの戦力に違いない。

なるべくなら、直接的な戦闘は避けたかった。

だが…

「誰かそこにいるっぽいのかっ!」

迷宮の魔の討伐を終えたらしいノッポイ達に、早速見つかってしまった。

「モンスターではないっぽいな? トレジャーハンターだろう。…出てこい!」

ここまで辿り著いたことから考えても。

迷宮探索に有効な、なんらかのスキルを持ってるメンバーがいるに違いない。

致し方ないので、俺たちはその部屋にって行った。

「おおお! リオラ…とアーク。まさか生きておったっぽいか。殘りは…知らん顔っぽいな」

大商人ノッポイ。

見た目は20歳そこそこの若造だった。

迷宮に似つかわしくないゴワゴワとした重そうな裝をにまとい、2人の筋骨隆々な付き人に持たせた簡易臺車のようなものに乗ってふんぞり返っていた。

かなり若いが。

リオラとアークから聞いた通りなら、その見た目通りの年齢であっている。

「大商人」というのは自稱。

本當の大商人は、やつの父「チッポイ」の方らしい。

息子のノッポイは、親の七でマナを唸らせているに過ぎないとのことだった。

「リオラよ。あの絶絶命のゴブリンの巣から生還するとは。…よほどポイに抱かれたかったっぽいな」

そしてノッポイは、思考回路がどこかに遠くにイッてしまっているらしかった。

「何度言っても、お前はこれまで一度もポイの寢所にこなかった。お前はそのために雇ったようなもんなのにな!っぽい。だから、あんなところに置いていかれたっぽいんだ。それで、悔い改めてポイに抱かれるために戻ってきたというのなら。今この場で抱いてやっても良いっぽいぞ。むふふ。さぁ今すぐ服をげっぽい!」

アークが怒りに満ちた目でノッポイを睨みつけている。

まぁ、當然だ。

これは姫に対する侮辱だ。

騎士としては、とうてい許容できるようなものじゃないだろう。

ライアンも、ノッポイと似たようなことをよく言っていたが…

悔しいことに勇者でイケメンなので普通にが寄って來ていた。

その中から役に立つやつだけを選別して、ライアンは正式に自分の妻にしてパーティに加えていた。

さらには、第4夫人以降は割と頻繁にれ替えとかもあった。

あいつはあいつで、マジもののクソ野郎だったが…。

戦闘や探索の腕は確かだった。

「なんだその目は? それが雇い主に対する態度っぽいか?」

ノッポイが苛立ってんだ。

「ノッポイ様」

対して、リオラが靜かに喋り出した。

「申し訳ありませんが、我々2人はあなたのパーティを離させていただきます。死地に置き去りにされて、それでもあなたに付いていくような義理はありません。また後ほど、これまでの分の雇われ報酬、30萬マナはきっちりと請求させていただきます」

リオラが、毅然とした態度でそう言った。

「ほほう。ならば、お前達は盜掘者っぽいな。ポイ達の跡探索の邪魔をするというのなら、ここで死んでもらうっぽいことになるっぽいぞ?」

もはや、何を言ってるのかよくわからないっぽいな、こいつ。

マナにを言わせる、絵に描いたようなクズ商人だ。

だが、たとえマナで雇われているだけだとしても、周りの連中はそれなりの使い手だ。

アークがし下がって、俺とバージェスに近づいてきた。

「ノッポイを取り囲んでいる4人の魔師とカゴを持っている2人の武闘家。あれらはノッポイが王都からつれてきている、ポイ家専屬の護衛達です。故に戦闘力も段違いです」

そして、バージェスと俺にそう囁いてきた。

相手方はさらに、キルケットで雇われた探検隊が8人ほどいる。

合計15人の大部隊だ。

対してこちらは、元々4人の人數パーティ。

そこにリオラ達2人を加えても6人。

しかも1人は、戦闘ではただの役立たずの俺だ。

勝負になる気がしない。

「だがまぁ。リオラは人妻で年上だが、なかなかに人だからなぁ。ちょっとは惜しいっぽいな。…そうだ。周りのお前たち、10萬マナで雇ってやるから今すぐポイのパーティに加われ」

訳のわからないことを言い出したが。

ようは、リオラとアークを孤立させて、2人がまたノッポイのパーティに加わらざるを得ない狀況を作り出そうという魂膽だろう。

バージェスからる予定の報酬は「800マナ×日數」だ。

すでに一週間が経過しているが、探索と帰還の時間を加味すると最低でも20日くらいは潛りっぱなしだろう。

「そうすると、手にるのは1萬6,000マナ〜か…」

30日潛ったとしても、2萬4,000マナだ。

命懸けの探索にしては意外と安かったかもしれない。

長期の行程になるからとしまけたのが間違いだったかもしれない。

それに、アース跡の最新部まで潛ったとして…

そこにマナになるお寶がどれだけ殘ってるかはわからない。

二束三文にしかならないようなものしかない可能だって、十分にある。

逆に、ノッポイの提示してきた10萬マナは破格の待遇だった。

そう。一発で荷馬車に手が屆く。

うーん。

パーティにるだけで10萬マナは、確かに破格だな。

実は、かなりお得じゃね?

俺がそんなことを考えていると。

リオラとバージェスが、俺の方をチラッと見た。

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