《【書籍化】勇者パーティで荷持ちだった戦闘力ゼロの商人 = 俺。ついに追放されたので、地道に商人したいと思います。》02 売れない売り

結論から言おう!

「やっぱりは売れねぇな…」

俺たちが荷馬車広場デビューを果たしてから數日。

これまでは1個も売れなかった。

ロロイはそんな狀況に慣れているので、終始ニコニコしながら売り子をしていた。

だが、クラリスは凄まじく退屈そうだ。

「全然売れないな…」

「商材にもよるけど。超売れっ子でもない限りは、商人なんて待機してる時間の方が長い。…こんなもんだよ」

モーモー焼きを売っている時は、手がもう4本くらいしい気持ちだった。

今はモーモーの在庫も減っているし、モーモー焼きはあえてもうやめていた。

」と「薬草」という不人気商材の2本柱で勝負していることもあり、今現在、そもそも俺たちの荷馬車商店を覗きに來る客はかなりない。

ちなみに、この日の朝から売れたのはアルカナの薬草ペーストが2瓶だけだった。

売上にすると400マナ。

元手がただなので、俺はそれなりに儲かる。

だけど、アルカナの労力や原料となる薬草の値段などを考えると、全く喜べるような狀況ではなかった。

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「ロロイはめちゃくちゃ楽しいのですよ! 西門の近くで売っていた時に比べると、ロロイの(おたから)を見に來てくれるお客さんがすごくたくさんいるのです!」

「たしかになぁ」

確かに、キルケット西の外門近くで店を開いている時は。

通りかかる冒険者や街人たちは皆どこかへ行くという目的があったので、余分なものを見る余裕はほとんどなかったようだ。

それに対してこの行商広場は、そもそも買いを目的にして訪れる人が多い。

だからこそ『この商人はどんな商品を扱っているのか?』と、興味本位で覗きにくる客もしはいるのだ。

「それにその時は1人きりだったけど、今はアルバスとクラリスが隣にいるのです。もうそれだけでもロロイは楽しいのです」

「確かに1人きりよりは手持ち無沙汰にならないな」

こうして會話なんかして、し暇を潰すこともできる。

だが、やはりはなかなか売れない。

そもそもというのは、基本的に実用的なものではない。

一部の研究者やコレクターなどが、研究や家の飾り付けのために、コレクション要素も込みで収集するというのがほとんどだろう。

基本的にはマナに余裕のある、好き向けの商材だ。

故に、それを売るだけで生活をり立たせるほどの稼ぎを得ることは、普通は困難だ。

それは初めからわかっていたので、この程度難航するのは想定だった。

ちなみにだが。

勇者ライアンが発掘した『青紋剣サミラス』のようなは例外中の例外だ。

『青紋剣サミラス』のように、特殊な魔によって保護され。2000年の時を超えてもなお、使用可能な狀態で殘されているようなは、凄まじく貴重な代だ。

そういったは、大抵は珍しくて強力なスキルが付いており。今でも十分実戦で活躍できる能のものがほとんどだ。

そしてそういったスキル付きのは、一個で10萬マナを超えるような値が付く。

世のトレジャーハンターたちが富と名聲を求めて探し求めるのは、主にこういっただ。

『青紋剣サミラス』には。

水屬による遠隔攻撃のスキル『遠隔攻撃・水/斬』が付いていた。

遠隔攻撃系のスキルは、凄まじく貴重だ。

さらにそこに屬攻撃までが付いていたサミラスは、仮にキルケットで競売(オークション)に出していた場合、200萬マナを超える値で売れていてもおかしくなかっただろう。

今回俺たちがアース跡群の地下5階層から持ち帰ったの中にも。『青紋剣サミラス』ほどではないにしろ、そういった特殊なスキルのついたがあるはずだ。

いや、絶対にある!

命懸けで跡に潛ったのだ。

あってくれないと困る。

詳しくは鑑定屋を見つけてスキル鑑定を行う必要があるのだが。

いずれにしろ、それは今ここで売るべきものではない。

然るべき場所で。

然るべき手順を踏んで。

然るべき相手に売る。

そうする必要がある。

そうすることで、最大限の価値をつけて売ることができる。

だから、今はこれでいいんだ。

暇な売りでいい。

これは小手調べだ。

俺たちが「商」である事を世間に認識させる。

今現在の、俺の目的はそれだった。

だがやはり…

周りの商人たちの目は冷たかった。

「『薬草』と『(ガラクタ)』? そんなもの他で売れよ」

対面の道で武を売っていた行商人が、わざわざ俺の店を覗きに來てそう吐き捨てて帰っていった。

「ロロイの(ロマン)は、『ガラクタ』ではなく『おたから』なのです!? あと、アルバスの薬草はすっごい薬草なのですよ!?」

「やる気かあんた? 覚悟できてるんだろうな?」

ロロイが顔を真っ赤にして怒り出し。

クラリスが剣に手を添えて騒なことを言い出した。

「お前ら、やめとけ」

だがまぁ。周りのそういう反応まで含めて、予想通りといえば予想通りだ。

俺だって。

出會ったばかりの頃は、ロロイに対して似たような印象を抱いていた。

それで同じようにロロイにキレられた覚えもある。

ただやはり、何の実績もない商人に対する世間の反応が、俺の予想通りなのがわかってよかった。

まだまだ、本番はこれからだ。

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