《【書籍化】勇者パーティで荷持ちだった戦闘力ゼロの商人 = 俺。ついに追放されたので、地道に商人したいと思います。》04 再結
「そういうわけで、信頼のおける護衛を數名雇いたい」
その夜、俺は現在の護衛制に関する不安を、バージェスとクラリスに相談した。
ヤック村からの帰還後に売れたの金額は、すでに合計100萬マナにもなっている。
そのうちの1/3は、すでにクラリスへと渡しているが…
元々の手持ちと、ロロイから預かっているロロイの取り分とを合わせて…
俺の腰のマナ袋にっているマナの総額はやはり、100萬マナ近くになっている。
さらに、俺の倉庫にはまだまだアース跡群からの発掘品がっていることを考えると…
盜賊団などからすれば、俺なんかは寶の山が服著て歩いているような狀態だ。
「バージェスのつてで、よさそうな冒険者はいないか?」
ちなみに。
倉庫スキル持ちの倉庫アイテムは、本人が死んだ場合には消滅する。
正確には消滅ではなく、異次元空間のインベントリーに取り殘され、そのまま回収不可能な狀態になると考えられている。
だから、倉庫のは俺が自発的に取り出さない限りは安全だとも言えるが…
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相手は何年にもわたって卑劣な盜みを繰り返している盜賊団だ。
どんな脅迫めいた手段を使われるかわかったもんじゃない。
盜賊団とか、マジで大っ嫌いだ。
「アルバスの護衛には、ロロイがいるのですよ?」
ロロイが不満そうにそうらした。
「俺自が戦闘では全く役に立たない以上。ロロイ1人で、俺を守りながら複數人と戦うような狀況になると、かなりキツいと思う」
ロロイには、スキル全開で戦うとすぐにスタミナ切れを起こすという欠點もある。
通常時の戦闘力がかなり高いので、そこら辺のモンスター相手に遅れをとるようなことはないのだが。相手が対人経験を積んだ盜賊達ともなると話が違ってくる。
「そうだな。やはり俺とクリ……クラリスもそっちに加わるべきだな」
パージェスが腕組みをしながら言った。
「いや、それは悪い。これからオークション當日まで、結構な期間がある。そちらにもそちらのやることがあるだろう?」
オークションの開催まで殘り3ヶ月程度。
その期間中ずっと2人が俺に張り付いているわけにもいくまい。
「別に…やることなんてギルドとクエストをけて生活費(マナ)を稼ぐくらいだ。なんなら、代わりにお前の商売にでも付き合うか?」
「そうだな…私は売りはに合わなかったけど、ほかに何か出來そうな商売(こと)はないか?」
バージェスとクラリスのコンビ…というかバージェスが。日々のクエストで稼ぎ出すほどのマナを、俺の商売の小間使いで稼げるとも思えない。
というかそれ以前に、護衛代をそんなに出せない。だから、2人は結局かなりの損をすることになる。
「それは悪いから、バージェスのつてで信頼のおける冒険者を紹介してくれればいいって…。腕はそこそこいいけど、なるべく安く雇えそうな奴」
「それでも、結局は雇うのにマナがかかるだろ? それなら、その差額を考えたら俺たちがお前の護衛に加わるほうがはるかに低コストだ」
それは正論かもしれないが…
それをやると、バージェスとクラリスは護衛として相當安く買い叩かれてしまうということになる。
「バージェスとクラリスを雇うのにも、無料(ただ)ってわけには行かないだろ。あんたらにだって生活や目的があるだろう」
バージェスだって生きていくためにはマナを稼がなくちゃならないだろうし、クラリスには『いつかこの家を買い取る』という目標もある。
俺がそう言うと、バージェスとクラリスが顔を見合わせて頷き合った。
「…なんだ?」
「その件なら、もう心配いらねーみたいなんだよ」
「?」
「実はさ…姉さんに結婚の話が來たんだ。それで、姉さんはそれをけるつもりらしい」
「そんな話になってるのか!?」
どうやら、俺たちがヤック村に行っている間に、とある貴族からの使者がこの屋敷に來ていたらしい。
クラリスも、昨日の晩にミトラからその話を聞いたばかりだというのだが…
その貴族は、ミトラを夫人として迎えるにあたり『この屋敷を買い取ってそのままミトラがここに住み続けられるようにする』というようなことを言っているらしかった。
「その代わり、私は追い出されちゃうみたいなんだけど…それならそれで、私はアルバスやロロイと一緒に行商の旅に出るのも悪くないと思ってるんだ」
バージェスはどうするのかと聞いたら、クラリスに半ば強引に付き合わされる話になっているらしかった。
照れ臭そうに頭をかくバージェス。
なんか…ちょっと変わったな。
「まぁ…そういうわけだからよ。俺たち2人、お前とロロイちゃんのパーティにらせてくれ」
「商人の護衛隊をするなら、やっぱり店番くらいはできるようになっておかないといけないだろ?」
なんか、俺の知らないところで々と話が進んでいるようだ。
そしてそれは、俺としては歓迎すべき流れだった。
「そういう話なら、俺としても願ったりだ」
「クラリスとバージェスなら、ロロイも大歓迎なのです」
ロロイも、それならば異論はないようだ。
「ああ、よろしく頼む」
「アース跡探索パーティ、再び、だな!」
そうして、俺たちは再び。
この4人でパーティを組むことになった。
今度は跡探索のための(仮)ではない。
ならば俺は。この4人が生活出來るだけのマナを、俺の商売で稼ぎ出さなくてはならない。
責任は重かったが。
これだけの護衛がいれば、行ける場所も一気に広がるし。これだけの人手があれば、やれることも相當増える。
俺は、2人の申し出に謝しつつ、すでに考えてあった次の商売のネタが、さっそく形に出來そうなことにニヤリとするのだった。
【アルバスの行商パーティ】
商人アルバス(リーダー/荷持ち)
武闘家ロロイ(護衛隊/前衛)
魔法剣士バージェス(護衛隊/前衛)
剣士クラリス(護衛隊/前衛)
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