《【書籍化】左遷された無能王子は実力を隠したい~二度転生した最強賢者、今世では楽したいので手を抜いてたら、王家を追放された。今更帰ってこいと言われても遅い、領民に実力がバレて、実家に帰してくれないから…》02.第七王子は魔を倒す

無事王家を追放された俺は、馬車に乗ってカーター領を目指していた。

『ノア様ー、よかったんすか?』

俺の肩には、1匹の【白貓】が乗ってる。

「んだよ、【ロウリィ】」

この白い貓、名前をロウリィという。

俺の従者……みたいなもんだ。

俺は馬車の荷臺のソファに寢転び、暇を持て余していた。

『だって、本當はノア様、ぜんぜん無能じゃなくないっすか?』

しゅるん、とロウリィが俺の肩から床に降りる。

ぱぁ……! とり輝くと、白髪巨に変化した。

メイド服を著ているこいつは、さっきの貓が変した姿だ。

「おいおいロウリィ。俺の華麗なる隠居計畫、忘れちゃったの?」

「いや憶えてるっすけど……よく理解できなくって」

「ったく、しょうがないな。もう一回説明してやろう。座れ」

ロウリィは俺の隣に座る。

俺はを起こして説明する。

「確かに俺はお前が言うように、無能じゃない」

「そっすよね。二度転生した最強の賢者さまっすよね? よーく知ってるっすよ、ええ、よーくね」

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このロウリィというは、実は書庫に封印されていた魔神なのだ。

城で暇を持て余したところ、書を発見し、読書していたらこいつが襲ってきた。

で、倒して舎弟にした。

「魔神を倒すほどの強大な魔法力。そして……剣聖のスキルを持つ兄ダーヴァを圧倒する剣の力……。それらをあなたは、二度の人生を経験したことで手にれた……いわば転生賢者っす」

俺は二度死んで、二度の転生を経験している。

理由は不明。

だがなぜか俺には才能があった。

魔法の才能があったせいで、賢者として王宮に仕えた。

剣の才能があったせいで、剣聖として戦場を駆け抜けた。

「なんでそんな英雄さまが、3度目はこんなんになったんすか?」

「こんなとは失禮なやつだな。ま、當然だろう? だってよぉー……」

俺は大きく吸い込んで言う。

「労働はクソだからだよぉおおおおお!」

目を白黒させるロウリィ。

「だってよぉ! 賢者にしろ剣聖にしろ、強い力を持ったら々さぁ面倒ごとに巻き込まれるんだよ! 買いたくない恨みを買うし、倒したくない化け退治だってさせられる! 二度も英雄を経験してわかりました! 労働はクソだと!」

「た、大変だったんすね……おお、よしよし」

ロウリィが俺を抱きしめて、頭をなでてくる。

「ありがとう、ロウリィ。良いおっぱいだな。その調子で今後も癒やしメイドとして頑張ってくれ」

「うう……書庫の魔神がこんな子どもの召使いだなんて……」

「は? なに、いやなの? じゃあ消すけど?」

「さーせんした! 消すのはご勘弁っすぅう!」

魔神なんて俺からすればザコだが、魔神が復活した! となれば俺の周りが五月蝿くなるのは當然。

誰が封印を解いたと犯人捜しが始まるだろうし、誰かこいつを倒せるやつはいないかと英雄探しが始まる。

「ま、消さないよ。そんなことしたら俺が有能であることがバレちまうしなー」

「あ、あのぅ……」

恐る恐る、ロウリィが手を上げる。

「なんだよ?」

「ノア様って、本當に自分が、有能じゃないってバレてないと【思っている】のですか?」

「はん、何をバカな……。俺が今世で、どれだけ無能ムーブかましてきたか、見てきただろ?」

魔神ロウリィをぶっ倒したのが1歳。

そこから14年間、このロウリィは俺の行を見ているはず。

なのになんだ、思っているって?

「毎日毎日無能のフリに努めてきた。魔法は使えない、剣も駄目。頭もパー。そんで極め付きはスキル鑑定の儀。そこで結果を魔法でねじ曲げて【無能】と判定を出させた。はい完璧」

「あ、あのねノア様。前から言いたかったすけどね、あんた実は……」

と、そのときだった。

「おい、ロウリィ。馬車を止めさせろ」

「うぇ? なんでっすか?」

「死にたくなきゃな」

俺は浮遊魔法を使って、窓から飛び降りる。

ひゅるるるる……と音を立てながら、上空から何かが墮ちてくる。

どがぁあん! と派手な音を立てて、地面が大発する。

「ほんぎゃぁあああああああああ!」

ロウリィは避けられずに、【それ】の直撃をける。

「溶巖……? 火山の噴火でもあったのか……?」

巨大な溶巖の塊が、俺の乗っていた馬車に直撃したのだ。

「あいつ死んだか?」

『ノア様ぁああああああああ!』

白貓狀態のロウリィが、溶巖から這い出て俺の元にやってくる。

あ、ちなみに馬車は俺が魔法でかしていたから、者はいない。

『死ぬわ!』

「バカ言うな、生きてるじゃないか」

『攻撃がきたらそう言ってくださいっすよお』

「言ったじゃないか。おかしなやつだなおまえ」

『いやおかしなのはあの速さの攻撃を、高等魔法である浮遊魔法で誰よりも早く避けたあんただから!』

「はは、おかしなことを言う。俺が賢者として生きていた時代では、浮遊なんて子どもでも使えたぞ?」

『いやだから! それ大昔の……って、ノア様! 敵っすよ!』

ロウリィが大慌てでそう言う。

「知ってるよ」

俺は後ろを振り返る。

そこにいたのは、巨大な亀だ。

「ガアァアアアメェエエエエエエ!」

見上げるほどの巨

背中には山を背負っている。

「火山亀か」

『え、Sランクのモンスターじゃないっすかぁ! なんでこんなとこにぃ!?』

ロウリィが俺の首に抱きついてぶるぶるぶると震える。

「え、なに怖がってるんだよ? 魔神のくせに」

『今はあんたに力封印されてるじゃねーっすかぁ!』

「おお、そういやそうだったな」

寢首をかかれても面倒だったので、魔神に封印を施しておいたのだ。

『魔神を封じる時點でおかしいっすけど……今はそれどころじゃなくて! ノア様どうするっすか!? 相手はSランク……最高位のモンスターっすよ!』

「はぁ? Sランクぅ?」

何を言ってるんだろうか、この蛇

「こんなの……」

ひゅるるうううう! と音を立てながら、火山亀が俺めがけて噴石を降らす。

俺は【創魔法】で銀の剣を作り出す。

しゅこん、と俺は剣を振り下ろす。

すると、噴石が……消滅した。

『はぁああああああああああん!? き、消えたああああああああ!?』

「そりゃ消えるだろ。切ったんだから」

『いやいや! 剣の一振りで噴石消し飛ばすってどういうことっすか!?』

「え、あんな魔法、一振りで消し飛ばせるだろ?」

『できねーよ! 剣聖を基準として考えるなよ!』

「いやでも俺が剣聖として生きていた時代じゃ、この亀、Cランク。中堅の冒険者でも倒せたレベルだぞ?」

『だから! それはあんたが生きていた時代の話だから! 今ここは、あんたが生きていた時代とは異なる……未來の世界なんっす!』

なんかよくわからないが……ま、うるさい亀はとりあえず消しとくか。

「ガメェエエエエエエエエ!」

亀野郎が巨大な噴石を雨あられと降らす。

俺は右手を前に出して魔法を発させる。

「うざい」

俺の手から巨大な火の玉が放出される。

それは周辺の木々を、撃ち出された噴石を、そして亀をまるごと消し飛ばした。

『な、なんすか……今の? ま、まさか……極大魔法……?』

「は? 何言ってるんだ。最上位魔法なんて使うかよ」

俺はため息をついて言う。

「ただの、【火球(ファイアー・ボール)】だよ」

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