《【書籍化】左遷された無能王子は実力を隠したい~二度転生した最強賢者、今世では楽したいので手を抜いてたら、王家を追放された。今更帰ってこいと言われても遅い、領民に実力がバレて、実家に帰してくれないから…》17.第七王子は環境問題を解決する(想定外)

ある日のこと。

領主の館にて、俺は日々増え続ける仕事にあえいでいた。

「ノア殿、実はご相談があるのじゃが……」

「ヒルデ……貴様、俺にこれ以上仕事しろってのか……? あ……?」

機の上に山積みになっているのは、決裁文書の山、山、山!

先日魔王、そして魔族が配下に加わった。

人が増えればその分、必要になってくるものも増える。

、食料、そのほか諸々……。

細かい雑事は優秀な書にして、婚約者のサラと、意外と仕事ができる狂信者のリスタがやってくれる。

だが最終的なジャッジは俺がしなきゃいけない。

ゆえに、溜まる書類の山。

「も、申し訳ない……」

「ったく。で? なんだよ相談事って」

「実は【瘴気(しょうき)】をどうにかしてほしくてな」

「瘴気? なんだそりゃ」

「奈落の森の奧地……舊魔王國の大地に蔓延している、毒ガスのことですじゃ」

魔王の話を手短にまとめるとこうなる。

やつらの領土には、瘴気というガスで大気が汚染されている。

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魔族たちは多はついてるものの、人間にとっては完全な毒ガス。

このたびカーター領と魔王國が合併し、人間も出りするようになる。

だが現狀瘴気に包まれた魔王國には、一般人が立ちれないで困っている。

「別にそこにらなきゃ良いだけの話しじゃねーの?」

「し、しかし……そうすると人口に対して住む場所が足りなくなりますのじゃ。瘴気は魔族にとってもあまり良い環境とは言えませぬ」

「ああ、なるほど……だから魔族は、瘴気に包まれてない人間の土地がしかったのね」

まっっっっっったくもう……。

なんでこうも、次から次へと厄介ごとがってくるんだ……?

え、なに? 呪われてるの俺?

『前世の行いが悪かったんじゃないっすかね?』

『失禮な、前世では悪人99999人くらいぶっ倒した、大英雄扱いだったぞ?』

『原因それじゃね? 怨念がぱねーことになってるっすよ……』

まあ、何はともあれだ。

瘴気か……ふむ。

よし!

「この問題、ノア・カーターが解決して見せよう!」

「おお! そうか! ありがたい……さすがノア様! お優しい!」

『んで? 本音は?』

『瘴気を使って無能ムーブだッ!』

『ブレないっすねぇノア様……もういい加減やめたほうがいいのに……どうせ裏目に出るし』

『大丈夫! 今度こそ功する! これで俺も今日から無能領主だ! ふはははっ!』

『あーあー、まーたフラグ立ててこの人ってば……』

俺は白い竜の背中に乗って、奈落の森の上空を飛んでいた。

この竜は、魔神ロウリィの本來の姿だ。

書に封印されていた魔神を、俺がボコって舎弟にしたのが1歳のとき。

力を封印して、普段は貓の姿にしている。

今回は遠出することになるので、こいつの封印を解いた次第だ。

俺も空飛べるけど、面倒だしな。

『とほほ……偉大なる魔神がただのパシリなんて……同胞に顔向けできねーっす』

「え、なに? パシリ嫌なの? じゃ消すけど」

『めっそうもない! うわーいパシリだーいすきっ!』

「よしよし」

『くっ……。ところでノア様、今からどこにいって、何をするんすか?』

俺はロウリィの背中の上で巻を広げる。

魔王ヒルデが持っていた、魔王國全の地図だ。

「魔王の城付近が一番瘴気が濃いらしいからな。そこを調査する」

『調べてどーすんすか?』

「え、被害を拡大させる」

『ちょっ……!? え、解決するって言ったじゃんないっすか!』

「バッカ! おまえ……解決しちゃったら、また有能扱いされちまうだろうがッ!」

俺がむのは、あくまでも無能とさげすまれること。

厄介な領民たちからの失のまなざしだ。

そのために、功なんてとんでもない。

失敗こそが俺のむ者。

「瘴気は今んとこ魔王國周辺にしか発生してない。これをカーター領にまで広げたらどうなる?」

『いやそんなことしたら……カーター領は人が住めない土地に……って、まさか……』

「そう! カーター領は人の住めない場所になる。つまり領地じゃなくなり、領主はお役目ごめんってわけだ!」

『最低だ! 最低だよあんた!』

「なに? 文句あるの? 長く吸ってりゃ有害ってだけで、即死するわけじゃないんだし」

『で、でも領民達は住む家なくなるっすよ……?』

「そんときゃ別の領地に住めばいいだけの話さ。んで、俺は被害を拡大させた駄目領主ってことで引退……完璧では?」

ややあって。

俺は魔王の城へと到著。

『うぷ……きもちわるい……空気よどんでるっす……』

白貓姿になったロウリィが、俺の肩に座って言う。

俺は周囲を見渡す。

確かに、常に紫のガスが充満していた。

「どこに発生源あるかなー」

『あ、あの……ノア様平気なんすか?』

「ぜんぜんへっちゃら」

『そっかこの人、人間じゃなかったすね……さすがノア様』

俺は城の周辺を探索する。

だがどうにも原因らしきモノは見つからない。

毒沼とか、汚染された川とか。

むしろ森へ行けば行くほど瘴気が薄くなっているような気がした。

「魔王の城の周辺が一番濃いみたいだな、瘴気」

『お城の中に発生源でもあるすかね?』

「もしくは、発生源を調べられないよう、城で蓋をしているかだな」

『なるほど……お城の地下に瘴気だまりみたいなもんがあるってことっすね』

「そゆこと。なーんだ、簡単じゃねえか」

ふわり……と俺は浮遊魔法を使う。

城の上空に立つ。

『あ、あの……なにすんすか?』

「城をふっとばす」

『はぁ!? あ、あの……え、なんで?』

「城の下に瘴気だまりがあるんだろ? なら城じゃまじゃね? ぶっ壊せば、溜まっていた瘴気が一気に吹き出すって寸法よ」

『えー……ノア様、マジでやるんすか?』

「ったりめえだろ! なんのタメにこんな遠くまで來てやったって思ってるんだよ!」

『運んだの自分っすけどね……』

まあいい。

俺は目的を果たすだけだ。

『で、ぶっ壊すってどうやるんすか? また火山亀のときみたいに、炎の魔法で?』

「んな面倒なことしねえって。建こわせばいいだけだろ。なら……指ぱっちんで十分だ」

『へ……? 指……ぱっちん』

俺は右手を前に出す。

そして、指を弾く。

パチンッ……!

ドゴォオオン!

『うぇええええ!? ま、マジで吹っ飛んだぁあああああ!?』

「よし、これでオッケーっと」

『ノア様、なにやったんすか!?』

「は? だから指ぱっちんだよ。んで、固有振波を応用して、建を壊したわけ」

『こ、こゆー……? よくわからないけど……魔法じゃないんすね』

「おうよ。ただの建壊すくらいだったら、魔法なんて使わなくてもできるだろ、普通?」

『ノア様の普通って普通じゃないことを學んでくださいっす……』

まあ何はともあれ、これで城は破壊された。

下にあるだろう瘴気だまりからは、今まで以上の瘴気が吹き出す。

あとはほっときゃ風に乗って瘴気が広がっていき、カーター領は人の住めぬ大地になるって寸法だ。

「今回こそノア様大勝利! さっ、帰るぞロウリィくん!」

『はぁ……ん? あれ、なんか息苦しさがなくなったような……気のせいっすかね?』

「さすがじゃ、ノア殿ぉ!」

魔王國から戻ってきて數日後。

俺の部屋に、元魔王ヒルデが笑顔でやってきた。

「な、なんだよ? ヒルデ」

「瘴気が見事なくなりましたのじゃ!」

「はっ!? しょ、瘴気がなくなっただと!? ど、どういうことだよっ!」

「瘴気の発生原因は、われの住んでいた魔王の城そのものだったのじゃよ!」

俺が城をぶっ壊した後……。

ヒルデは部下を連れて調査を行ったらしい。

すると、國にった途端に以前まであった瘴気がきえていたことに気付く。

壊れた城の破片から、呪的なものが城にかかっていたことが判明。

そこから、瘴気は城の地下に溜まっていたのではなく、そもそも魔王の城自が、瘴気発生裝置になっていたことがわかったそうだ。

「すごい……! ノア様はすごいのじゃ! 何世紀もの間、解明されなかった瘴気の正を、一発で見抜くなんて!」

「あ、いや……」

「しかも! 始祖の魔王が作りし堅牢な城砦を、一瞬で壊してみせるなんて! すごすぎるのじゃ!」

「え、えっと……」

ヒルデは號泣しながら、跪いて言う。

「われらのシンボルである魔族の城を壊したのも、過去の呪縛から解き放ち、これからは自分が魔族たちを導くという意思表現でもあったのじゃな! さすがノア様、深いお考えをお持ちじゃったのだじゃな!」

やばいなんか魔王からの信頼がやべーことになってる!

なんでだよ!?

どうして次から次へと、俺のやることは裏目に出まくってるんだよぉ!

『こりゃ本格的に前世の怨念説あるんじゃねーっすかね。お祓いしたほうがいいっすよノア様』

どうしてこうなったぁああああああああああああ!

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