《【書籍化】左遷された無能王子は実力を隠したい~二度転生した最強賢者、今世では楽したいので手を抜いてたら、王家を追放された。今更帰ってこいと言われても遅い、領民に実力がバレて、実家に帰してくれないから…》29.第七王子は悪いドラゴンを討伐する

俺は帝國へいって、鉱山を占拠するドラゴンを討伐する羽目になった。

「どうしてこうなった……」

俺たちがいるのは、帝國にある鉱山【金竜鉱山】。

文字通り金が取れる場所ではあるんだが、ドラゴンが居著いて作業ができないで困っていたらしい。

そこになんか俺が行って、退治する流れになった次第だ。

「はぁ~……鬱だ。なんで好き好んで隣の國の問題を解決せにゃあかんのだ」

『ならどうしてノア様、この話をけたんすか?』

「そりゃもちろん、無能ムーヴのためだ!」

『ノア様ってひょっとしなくてもバカなの……あ、やめて、お腹そんな風にらないでらめー!』

俺がいるのは鉱山のり口。

にドデカく開けられた鉱道が奧へ奧へと続いている。

「ではロウリィくん。今回の作戦を説明しよう」

『行ってドラゴン退治するんすか?』

「違う。ドラゴン倒しに行って、おめおめと帰ってくる。すでにガルシア皇子と皇帝には俺に任せてくれって自信満々に言っといた。あとは失敗するだけ」

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『はぁ……でもノア様ならドラゴンなんて小指でつついただけで倒せますよね?』

「バカヤロウ。何言ってるんだ」

『そっすよね、相手は化け(ドラゴン)、さすがにつついただけじゃ……』

「吐息で殺せるわ」

『あんたのほうが化けっすよ!』

「何はともあれ、今からのこの鉱山にもぐって、そのドラゴンとやらの顔を拝んで、適當にやられて帰ってくるのが今回の作戦よ」

いざゆかん、ドラゴン退治(茶番)!

白貓ロウリィを肩に乗っけて、俺は鉱道を奧へ奧へと進んでいく。

作業員達が使っているらしき、トロッコのレールが敷かれていた。

『案外なかは整ってますね』

「そりゃ金を取るために整備されてるに決まってるだろ、ダンジョンじゃあるまいし」

『ダンジョン……ねえノア様。ここ、ドラゴンが居著いてるんすよね? ってことは、他のモンスターも來たりするんじゃないっすか?』

「ドラゴンの魔力の影響で、ここがダンジョン化してるかもな。まあただ出來たばっかりのダンジョンだ、モンスターが出現したとしても、レベルの低いザコばかりだろ……っと、さっそく現れたな」

道を塞ぐように、【牛】のモンスターが現れる。

『ちょっ!? こ、こいつヤバ! ノア様こいつ……』

「ほい」

俺は指をパチンッ、とならす。

その瞬間、【牛】は部から破裂して息絶えた。

『どしぇええええ! ノア様なんすか今の!?』

「え、指ぱっちん。前にほら、固有振數を使ってを破壊したことあったろ? あれだよ、あれ」

『いやでも、だからってこいつを指ぱっちん一つで殺せるなんて……やばいっすよあんた』

「あん? こんなザコモンスター程度なら、全部指ぱっちんで倒せるだろ」

ぐちゃぐちゃになった牛の塊を見下ろしながら、俺は言う。

「俺のいた時代じゃこんなザコわんさか居たわ」

『だからぁ、ノア様がいた時代と、今の時代とじゃ文字通りレベルが違うんですって! いいっすか、この牛モンスターは……』

「おしゃべりはあとだ。敵がぞろぞろと、群れでお出ましだ」

牛とか狼とか、見るからに【弱そう】なモンスターが押し寄せてくる。

『も、モンスターパレードっす! ダンジョンでたまにみかける、モンスター達が隊列をくんで押し寄せてくるやつ! ノア様、どうするの!?』

はい、指ぱっちん。

ぐしゃぁあああああ!

『……うそ。あのモンスターの群れが、一瞬で全滅なんて……』

「ほらほら行くぞロウリィ。ザコに構ってる時間はないんだ。俺の目的は、あくまでドラゴン退治なんだからな」

『……良かったこの人に野心がなくて。ノア様が魔王になってたら確実に人類滅びてたっすよ……』

ややあって。

広いホールみたいな場所に到著した。

ホールの奧には……黃金に輝く、巨大なモンスターがいた。

「バォオオオオオオオオオオオオオ!」

『で、でたっす! ドラゴンっすよぉ!』

ロウリィが肩の上でガタガタ震えている。。

あん……? ドラゴン、だと?

『やばいっす! めちゃ怖い! 魔力量も魔神に匹敵するほど、ぱねードラゴンっすよ!』

「はぁ~~~~~…………ロウリィくんさぁ。おたく、素人?」

『なっ!? なんでこんな狀況で落ち著いて……ああやばい! ドラゴンがブレスを撃ってくるっす!』

「バォオオオオオオオオオオ!」

モンスターの口から極大の雷が放たれる。

紫電を纏ったブレスは……俺に當たることはない。

『そんな! どうして當たらないんすか!?』

「え、俺の対魔法障壁のおかげだぞ」

『ドラゴンのあの強烈なブレスを消すとか、どんだけ強力な障壁なんすか!』

「は? こんなの出かけるときにエチケットみたいなもんだろ。1秒でちょちょっと」

『常時障壁展開って、前世のあんたどんだけ修羅の國にいたんすか!?』

まあなにはともあれだ。

「ロウリィ。あの黃いやつ……ドラゴンじゃねえよ」

『ば、バカ言わないでください! どこをどう見てもドラゴンじゃないっすか! ブレスまで吐いたし!』

「おいおいおいおいおまえ魔神のくせに【擬態】も見抜けないのかよぉ。いいか、よーく見てろよ」

俺は創魔法で剣を適當に1本作る。

ひゅっ、と剣を軽く振り下ろす。

その瞬間、相手はバラバラになって崩れ落ちた。

『なっ!? い、今何したんすか!?』

「え、ただ適當に10000回くらい切っただけだぞ」

『い、一萬ぅう!? 速すぎて見えませんでしたよ!』

「魔神のくせにこの程度目で追えないなんて、ブルーベリー食べた方が良いぞ」

『ぐぬ……! こ、この化け王子め……!』

「それよりロウリィ、アレ見たまえ。俺が倒したモンスターの死骸、が出てないだろ?」

『え……あ! ほ、ほんとだ! 生きなのに、切斷面から出してない……』

俺はモンスターの死骸に近づく。

剣先で、塊をつつく。

ぐにゅり、とまるでゼリーみたいな弾力があった。

「こいつはスライムだよ」

『スライム!?』

「そ。レベルの高いスライムは他のモンスターに擬態する力を持っているんだ。こいつはドラゴンじゃあないよ」

『はぁ~~~~ノア様すげえ、それを見破ってたんすねぇ』

俺は剣を捨ててぐいっと、びる。

「さ、ドラゴン探しに行くか」

『ん? んんっ!? の、ノア様なにいってるんすか……?』

「え、だからこの鉱山に住み著いてるドラゴンとやらのとこだよ。忘れたの? 俺はドラゴンに會って負けるために來たんだぜ?」

『いやいやいやいや! こいつでしょ!? 皇帝の言ってた、鉱山を占拠してるドラゴンって!』

「ばっかおまえ。だからこいつスライムだって教えただろうが。どこをどう見たらドラゴンなんだよ?」

皇帝陛下はドラゴンを倒してしいといっていた。

こいつはドラゴンに擬態したスライム、つまり……偽だ。

「本のドラゴンがいるんだろ。こんなザコと違って、歯ごたえのあるドラゴンがさぁ」

『いや……あの……ノア様。多分もう、ミッションコンプリートだと思うっすよ?』

「なわけねえだろ。ほら行くぞロウリィ。ドラゴン見つけてさくっと負けて帰るんだ」

『ええー……なにこれぇ~……』

しかしその後、どれだけ探してもドラゴンは見つからなかった。

それなら逆に、ドラゴンを退治に行ったけど、何の果も得られませんでした!

と無能ムーヴが出來ると思って、俺は皇帝の元へ向かった。

ようやく、無能ムーヴ大功だな!

後日、俺の屋敷にて。

「ノア殿。貴殿に、最上級の謝を捧げる」

皇帝陛下が涙を流しながら、俺の前で深々と頭を下げていた。

「え、な、なに!? どうしたのいきなり……? 俺、なにかしたか……?」

「ノア殿が金竜鉱山に住み著いた黃金の竜を討伐してくださったではありませぬか!」

『ほらぁ。だから言ったじゃないっすか、あのドラゴンに擬態していたスライムが、皇帝陛下の言ってたモンスターだったんすよー』

そんな……あり得ない!

だって、だってあんなザコに、帝國軍が手こずるわけないだろ!

「しかもノア殿……鉱山にいた強力なモンスターの集団を、1匹殘らず殲滅してくださったなんて!」

「きょ、強力なモンスターの集団なんて、いたっけ……?」

『最初にあったモンスター、あれ、ミノタウロス。Sランクの化けっす。あの後に出てきたモンスターパレードも、全部Sランクでしたよ』

ロウリィが呆れたように思念で會話してくる。

そんなばかな!

『Sランクなんてザコ中のザコだろ!』

『あ、こっちのほうが化けでしたね。本の化けに失禮でした、すんません』

え、なに……?

つまり……なにか?

俺は、悪いドラゴンを倒しただけでなく、中に居著いた強力なモンスターまでも掃討した、ってこと……?

「しかも、ノア殿は先日、鉱山を帝國にお返ししていただいた……なんと、なんと人間の出來たお方だろう……」

「あ、いや……だって、ほら、何の果もあげられなかったし、お詫びに返しただけで……」

『実際にノア様がやったのって、帝國のピンチを聞いてさっそうとドラゴン退治に乗り出し、中にいた化け全部倒して、何の報酬もけ取らず颯爽と立ち去った、ってことになってるっすよ』

『なにそれどこの英雄譚の主人公!?』

すると息子のガルシア皇子は、もう、目に銀河でもってるのかってくらい、目をキラキラさせる。

「さすがです、のあさま! あなたは、やっぱり、いだいな、いだいな、だいえいゆーさまです!」

「そうだなガルシア。ノア殿は我が國の偉大なる英雄として、子々孫々にまで、語り継ぐこととしよう」

ああ、なんか皇帝親子からさらに尊敬されてるぅうううううう!

無能ムーヴしたつもりだったのにぃいいいいい!

「どうしてこうなるんだよおおおお!」

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