《【書籍化】【SSSランクダンジョンでナイフ一本手渡され追放された白魔導師】ユグドラシルの呪いにより弱點である魔力不足を克服し世界最強へと至る。》26.ヴォーダン村へ

「――あ」

日が落ちはじめた頃、木々の隙間に微かな燈りを見た。

とも思えるそれを目指し、獣道とも呼べそうな険しい林道を抜けると、そこに忽然と村があらわれた。

「村、村です......つきました! つきましたよ!」

「うん、村だ。 良かった......」

ホッとしたのかリアナはその場にへたりこんでしまう。無理もない、何故なら今の今まで道に迷っていたんだから。

いつの間にか道なりに進んでいたハズが、森林へと突し、そして運良くこの村へとたどり著けた。

「立派な砦だね」

「そうですね、これは村の生命線でもありますから」

「魔から村人を護る、神力で創られた防壁か」

村の周囲は高い神力を宿す石の壁で覆われている。

これはどこの村や町、王都にもあり、數年前におこった魔による襲撃被害を経て政府が増築したものだ。

これにより出りできるのは、今僕らの眼前にある青くる大きな扉、『神門』だけだ。この神門は神力で作られていて魔力の有するモノを通さない。魔獣、魔族は勿論、人間でさえも。

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師では無い者も、目には見えないが微量な魔力を有している。なので、同様にこの神門は通れない。

僕はその扉ごしに、その向こうに居るであろう人間に話しかける。

多分、神木主という門を守る騎士が居るはずだ。

「すみません、どなたかいらっしゃいますか? 村にれてほしいんですが」

數秒の間があり、男の聲が聞こえた。

『なに、人だと!? これは珍しい......!! わかった、今門をあけよう』

するとフッと青い門が煙のように霧散し消えた。村の中へと通ずる小さなのような短い道が姿をあらわす。

その向こう側から先ほどの男の聲が聞こえる。

「さ、魔が來ないうちに早くってくれ!」

「すみません、ありがとうございます」

「......あ、あ、ありがとうございます!」

門番が神門のよこにある神紋へオーラを流し込むと、再び青い門がその出口を塞いだ。

「ふう、よしっと。 いやはや、まさかこんな時間に旅人がくるとはな! 驚きのあまり反応が遅れてしまったよ。 俺は聖騎士のアトラ、一応、階級はダイヤだ。 この村の『神木主』を務めている」

神門のある場所には、必ず聖騎士が『神木主』という門番として、一人~三人常駐している。

この神門は彼ら聖騎士のオーラ、神力でしか起させられない為、聖騎士が配屬されていて、その神木主に選ばれる事は大変栄譽のある事だとされている。

「神木主ですか、お若いのに......凄いですね」

「いやいや、たまたま白羽の矢がたっただけさ。 腕もまだまだ未だしね、はっはっは!」

大きく口を開けて笑う彼は、僕よりもし背の高い青年で、背には槍を背負っていて、そのきの所作でかなりの腕である事が予想ができた。

凄いな......見たところ、二十そこらだろうに。神木主とは。

「僕はレイで、この子はリアナと言います。 しかし、こんな夕暮れ時に訪れてしまってすみません、森でかなり迷ってしまって」

「す、すみません」

リアナがペコリと頭をさげる。

のうよめく森の中に位置するこの村なら、この時間帯に門を解除するのは出來るだけしたくなかったはずだ。

村人に睨まれないと良いけど。

「今まであの森に!? よ、よく命があったな......運の良いお二人だ」

「ホントにですね」

「あ、いや......うむ、まあ良いか。 せっかく來てくれた旅人さんを怖がらせるのも申し訳ないが、事が起こってからでは遅いしな」

先ほどとうってかわり、真剣な表になるアトラ。

「......実はこの村は問題を抱えているんだよ」

「問題?」

「數ヶ月前から、タチの悪い魔族に狙われている」

「タチの悪い......魔族に狙われている?」

「ああ、ワーウルフは知っているか? 別名、人狼とも呼ばれる魔族だ。 この村の人間は奴らに包囲されていて......と言ってもまあ、三人なんだがここ數ヶ月狙われ続けているんだよ」

「ワーウルフですか、僕らは見なかったな」

「それはそうだろう、出くわしていたら君たちは今ここにはいない」

「それほど強い個なんですか? ワーウルフはレートでいえばC-......數ヶ月もその狀態であれば、おそらく異変を察知した國王騎士軍が聖騎士を派遣したはずですよね? それでも倒せなかったと?」

「おおう、頭の回転はやいな君は! 確かに聖騎士はダイヤが四人きた。 が、しかし皆殺されてしまったよ」

「ダイヤが四人殺された? ワーウルフに?」

アトラは目を閉じ、數秒のち答えた。

「ああ、そうだ。 全員ワーウルフに殺された」

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