《貞観念が逆転した宇宙人の軍隊でエースパイロットの俺だけが唯一男な話【書籍化決定!】》第二話 傭兵の仕事
「確認が取れました。確かにあなたが北斗輝星で間違いないようですね」
輝星がこの冷房の効いた応接室のような部屋に通されて三十分。ノックとともに室してきたシュレーアが、開口一番にこう言った。
「あの(・・)北斗輝星が、本當に男だとは思いませんでした」
「地球人(テラン)には男のパイロットは珍しくはないんですがね」
「申し訳ありません。私は地球人(テラン)自初めて會うもので……」
狼めいた獣耳のついた頭を軽く下げてから、シュレーアは困ったように笑った。
「我々ヴルド人は、男が戦場に出ることはあり得ませんから」
彼の言うように、シュレーアは地球に起源をもつ生命ではなかった。速を突破する技が一般化したこの時代における銀河系の支配的種族、ヴルド人だ。ヴルド人と地球人(テラン)の人口比はなんと一萬対一。地球人(テラン)は彼らからすればそうそう出會うことのない人種なのだ。
「もちろん知ってますよ。大丈夫、男とは言え仕事はしっかりします」
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そしてヴルド人は、のほうが能に優れる種族だった。さらに言えば、地球人(テラン)よりよほど男間の區別が激しい。男は家に居て家庭を守るものという風習が、世間一般の常識とされている。男よりのほうが圧倒的に生まれやすいという種族特もあって、道を歩いていても男とすれ違うようなことはまずないくらいだ。
「え、ええ。分かっています」
そうは言うが、シュレーアの表には隠し切れない猜疑のがあった。
「ま、それはさておき、です。現狀と、俺のやるべき仕事を教えてください。資料は一応読みましたが、生の報を聞いておきたい」
とはいえこの程度、ヴルド人の間で働いていればよくあることだ。輝星は気にすることなく、シュレーアに聞く。
「わかりました」
シュレーアが頷き、応接テーブルに埋め込まれた端末を作した。空中にこの周囲の星域のものと思われる星図がホログラフ投影される。
「ご存じの通り、現在我々カレンシア皇國は大國であるノレド帝國の侵攻をけており、戦況は芳しくありません」
星図の大半が赤く塗りつぶされる。敵國のノレド帝國とやらの勢力圏を示しているらしい。
「帝國の目的はわが方の戦略資源と、そして増えすぎた帝國臣民の植民です。ほしいのは土地だけですから……占領下の有人星には終末撃が行われています」
衛星軌道上から地上を無差別に撃し、星上を住民もろとも更地にするのが終末撃だ。要するにジェノサイドである。
「そこまでやりますかぁ……」
植民目的の戦爭は珍しくもないが、そこまで極端な作戦をとるのはさすがに普通ではない。輝星は眉をひそめた。
「當然、降伏の余地はありません。我々が生き殘るには、勝つしかないのです。ですが……」
星図に目を向けるシュレーア。帝國と皇國の國力差は歴然だ。勝ちの目はあまりにもない。
「ですから、我々はあなたを呼んだのです。北斗輝星━━"兇星"を」
「自分たちではどうにもならないから、俺に何とかしてほしいと」
乾いた笑みを浮かべる輝星。
「個人に頼むようなことじゃあないですよね」
「ええ……わかっています。ですが、ほかに頼れるような手段もない。無論、できる限りの支援もします。見てください」
そう言ってシュレーアは立ち上がり、窓のカーテンを開けた。ガラスの向こうには、空港の駐機場を思わせる空間が広がっていた。
そしてその中でも目に付くが一つ、巨大な人型の機械だ。真っ白な裝甲をまとったソレは、輝星たちからはかなり離れている場所にあるにも関わらずかなり大きく見える。十メートルは優に超えているだろう。
超速型戦攻撃機、通稱ストライカー━━この時代における戦場の花形。巨大人型機兵だ。
「カワシマ・アイアンワークス社から納されたばかりの、最新鋭試作機"エクスカリバー"です」
「ああ、カワシマの新型。噂だけは聞いたことがありますよ」
輝星にもなじみ深い、地球のメーカーの機だった。人口で大差をつけられている地球人(テラン)だが、その技力を生かしてヴルドに様々な製品を売って外貨を獲得している。ストライカーを含む兵もその一つで、銀河中に地球製のものが広く出回っていた。
「例の(・・)武裝もすでに到著していますから、すぐにでも出撃可能です」
どうだと言わんばかりの表で"エクスカリバー"を指さすシュレーアだったが、次の瞬間轟音とともに駐機場で大発が起こった。
「うわっ!?」
すさまじい衝撃波が窓ガラスを々に割り、室の調度品ごと輝星のを吹っ飛ばす。あまりの威力に、輝星は悲鳴を上げながら床に転がることしかできない。
「う、ぐ……何が起こった!?」
輝星と同様に吹き飛ばされたシュレーアだったが、即座に立ち上がり耳元の通信端末のボタンを押してんだ。
「軌道撃!? 何、戦艦級が二隻ですって!? 監視は何をやっていたんたんです!!」
忌々しそうな表で元のマイクにがなりたてるシュレーア。しかしすぐ橫で目を回している輝星を見て相を変えた。
「だ、大丈夫ですか!? ケガは……」
慌てて輝星のにれようとした彼だったが、寸前に手を止め顔を赤くする。しかし躊躇している場合ではない。ごくりと生唾を飲み込んでから、もう一度輝星の元に手を當てようとする。
「あ、ああ、大丈夫っす。ひでぇ目にあった……」
が、直前に輝星が正気を取り戻してを起こした。一瞬シュレーアの顔に殘念そうな表が浮かぶ。彼はそれに気づくことなく、頭をぶんぶんと振った。
「いやはや、さすがヴルド人は丈夫っす……じゃねえや、丈夫ですね。で、何があったんです?」
「敵襲です。とにかく、今は安全なところに行きましょう。失禮!」
言うなり、シュレーアは輝星を軽々と抱え上げた。そしてお姫様抱っこの勢へ。
「ちょ」
「だから失禮といったでしょう!」
恥ずかしそうに、だがなぜかまんざらでもなさそうな表でシュレーアがぶ。そして真っ赤な顔をしたまま猛烈な勢いで走り始めた。
「地下に指令室があります。あそこなら対地貫通弾でもそうそう貫けません。そこへ向かいます」
その言葉に、輝星はコクコクと頷くことしかできなかった。
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