"カリバーン・リヴァイブ"に向かって、緑の太いビームが飛ぶ。輝星はフォトンセイバーを抜いたものの、そのまま弾くことなくひらりと避けた。

「ちょっとした艦砲撃並みだな、正面からけるのはよろしくないと見た」

そもそも今使っている訓練プログラムが、セイバーでビームを弾くような非常識な挙に対応しているのかわからない。得意技は封印したほうがよさそうだと一人笑う輝星。

「撃で足止めします、ヒット＆アウェイで仕留めなさい」

「了解！」

戦闘前にはあれほどグダグダと言っていたにも関わらず、サキはシュレーアに抗弁することなく素直に従った。"カリバーン・リヴァイブ"からつかず離れず、全力で加速すればすぐに薄できる距離を維持する"ダインスレイフ"。

「牽制とはいえ……！」

肩のブラスターカノンを再び発砲するシュレーア。輝星は軽く躱すが、その移先にヘビーマシンガンを撃ち込む。曳弾の束が稲妻のように宇宙を走った。

「……ッ！　流石！」

だが、輝星はこれも見事に避け切った。弾がどこに飛んでくるのか知っていたような、危なげのない最小限の回避運。そこに、サキが素晴らしい加速で突っ込む。

「ちぇすちとーッ！」

「喰らうかよッ！」

電磁抜刀、紫電が走った。普通ならばとても対応できない神速の抜刀だが、輝星はこれをフォトンセイバーで斜めからける。刀はスルリと流され、自機の強烈なパワーに振り回されるようにして"ダインスレイフ"の機が流れた。

「させま……うっ！？」

追撃を防ぐべくブラスターキャノンを向けるシュレーアだったが、輝星はそれに合わせるようにしてブラスターライフルを三発撃った。なんとか回避するシュレーアだが、援護撃をするタイミングは完全に逃してしまう。

「このっ！」

"ダインスレイフ"に迫る輝星だったが、サキは機の左腕を"カリバーン・リヴァイブ"へと向けた。その腕に裝著された裝置から、クナイ型のナイフが出される。

「ほう！」

機を反らして避ける輝星だったが、その時には既にシュレーアが大勢を立て直していた。ヘビーマシンガンの撃が"カリバーン・リヴァイブ"へと向かう。

「撃は苦手だが……できないってわけじゃないんだぜ！」

サキが腰から小ぶりなショートマシンガンを抜き、片手のまま輝星に向かって撃つ。

「十字砲火！　いいな、いいじゃないか！」

すぐさまフットペダルを踏み、輝星はスラスターを全開にした。"グラディウス改"とは比べにならない加速で機はキルゾーンから逃れる。

「ぐ……高能も考えだな」

スラスターを吹かしたのは一瞬のみ。だが、強烈な加速Gに輝星は苦しそうな表を見せた。的に強靭なヴルド人のための機を十全にるのは、貧弱な輝星にはかなり辛いものがある。

「だが……ッ！」

いまだ続く両機の撃をひらりひらりと最小限の加速ときで回避しつつ、輝星はブラスターライフルをサキに向けた。即座に発砲。

「へっ！　狙いが正確でも豆鉄砲じゃあなあ！」

だが、これはマント裝甲に防がれる。防にも移にも使え、可するため攻撃作の邪魔にもならない。なかなか厄介な裝備だった。

だが、輝星の狙いは撃墜ではない。防したため、ショートマシンガンからの撃が止まった。これが目的だ。

「やはりそう來ますか」

機を"ミストルティン"に向けて加速する。サキ機は距離を取れば攻撃手段はない。火力の高いこちらを先に墜とすべきだと考えたのだ。

「くっ」

輝星からの撃をなんとか回避するシュレーア。ロックオン警告音のならない攻撃は、避けにくい事この上ない。なんとか緑の條を回避し、両足のミサイルポッドを発した。六発ずつ左右合わせて十二発の中型ミサイルが"カリバーン・リヴァイブ"に向けて飛ぶ。

「その程度の數ならなァ！」

輝星のブラスターライフルと頭部連裝機銃が吠えた。ミサイルが次々と撃ち落とされる。殘るミサイルはわずか四、輝星はこれを軽々と避けた。

「弾幕が薄かった！？　しかし！」

まだ撃武は殘っている。ヘビーマシンガンを構えるシュレーアだったが、その機の腹部に緑のビームが突き刺さる。一発では撃墜判定は出なかったが、無慈悲な二発目が同じ場所に著弾した。

「く、完敗……」

モニターに表示される撃墜の文字にうなだれるシュレーア。

「まだだ、まだあたしが居る！」

"ミストルティン"を撃墜した輝星の背中にサキが迫った。紫電がとともに放たれる電磁抜刀。

「知ってるよ！」

が、輝星は機を宙返りさせてこれを回避した。空を切る刀のギリギリを避けると同時にフットペダルを踏み込んだ。弾丸のような加速で"カリバーン・リヴァイブ"は"ダインスレイフ"の元まで薄。パイルがその腹に刺さる。

「……クソ！　二人いても同じじゃねえか！」

停止してしまう自機に、サキは悪態をつくことしかできなかった。