《貞観念が逆転した宇宙人の軍隊でエースパイロットの俺だけが唯一男な話【書籍化決定!】》第七十四話 四天會議(3)
「まずはわが軍の大まかなきを説明する」
會議室の大型モニターに星図を表示しながら、ディアローズが言った。四天は、一応は全員真面目に話を聞いているようだ。わざわざ自らが出向いて説明してやっているのだから、真面目に聞かねば電磁鞭でシバきまわしていたところだとディアローズは心考えていた。
「皇國軍どもの目標は単純明快、センステラ星系の解放だ」
自信ありげな表で、ディアローズは差し棒を振る。
「通の要衝であるこの星系を抑えられると、我々帝國軍のきは大幅に制限される。下手をすれば本國への出もままならなくなるのだから、絶対に失陥するわけにはいかぬ」
「センステラ星系と言えば確か、裝甲材用のレアメタル鉱山もありましたわよね?」
「うむ。ここのレアメタルは皇國の主要な収源の一つ。ま、向こうからすれば是が非でも取り戻したい場所の一つであろうな」
頷くディアローズ。センステラ星系の鉱山はすでに帝國の手で再稼働しており、採掘された鉱石はすべて本國の工廠へと送られている。そういう意味でも、帝國としては手放したくない場所の一つだった。
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「だからこそ、餌として機能するのだ。ストライカーや突撃艦隊で皇國艦隊を漸減しつつ、本隊はセンステラ星系の可住星……センステラ・プライムでこれを迎え撃つ」
「星戦か。面白い」
腕を組みながらニヤリと笑うテルシス。その言葉遣いに、ディアローズの眉が跳ね上がる。しかし彼は帝國屈指の大貴族の令嬢だ。帝姫とはいえ文句は言いづらい。こほんと咳払いしてから言葉を続ける。
「センステラ・プライムには既に星軍を展開している。ストライカーも多腳戦車も潛水艦もたっぷりとな」
ルボーアでの敗北は、帝國が攻める側だったという點も大きい。攻守を変えてルボーアの再現をしてやろうというのが、ディアローズの作戦だった。
「ま、こんなことは貴様らには関係のない事だろう。雑魚を潰すようなつまらぬ仕事をさせるつもりはないからな」
「というと、やはり」
「うむ。貴様らには例の傭兵への対処にあたってもらう」
その言葉に、四天は思い思いの反応を示した。テルシスとノラは闘志をむき出しにし、エレノールは當然だという表を浮かべる。そしてリレンは無言で懐から封筒を取り出し、ディアローズに走り寄ってそれを渡した。
「は? なんだこれは」
怪訝な顔で封筒をつまむディアローズに、リレンは引きつった笑みとともに答えた。
「辭表。今日限り帝國軍を辭めさせてもらいます」
「は!?」
思わず大口を開けるディアローズ。ノラがぼそりと「あのの笑顔、始めてみた」と呟く。
「なぜ!? なぜこのタイミングで!? 事と次第によってはタダでは置かぬぞ!!」
「"兇星"と戦うなんて勘弁願いたいので」
ディアローズは無言で用の電磁鞭を取り出した。グリップのボタンを押すと、スパークとともにバチバチと騒な音が鳴った。
「もう一回申して見よ、ン?」
「……」
リレンはその問いには答えず、そのまま走りだそうとした。
「あっ、お待ちなさい!」
が、そんな彼をエレノーラが後ろから羽い絞めにした。リレンはジタバタと暴れるが、エレノーラは外見に似合わない怪力を発揮して無理やり抑え込む。
「殿下! この者は四天としての自覚がないのですわ! その鞭で一発をれて差し上げてくださいまし!」
「えっ」
突然の申し出にディアローズは困した。しかしエレノーラは「さあ早く!」と催促してくる。仕方なく、ディアローズはグリップの威力調節ツマミを最小に合わせてから、電磁鞭でリレンを叩いた。
結果、羽い絞めにしていたエレノーラもろとも高圧電流が襲う。二人は同時に悲鳴を上げた。
「あばばばば……」
「馬鹿なんデスかね、あの人」
目を回すエレノーラに、ノラが深いため息を吐いた。
「と、とにかくだ! 貴様には働いてもらわねば困る! 辭表など認めぬし、逃げるようであれば敵前逃亡で銃殺刑だ! 良いな!」
「そんなぁ」
半泣きのリレンだが、そこまで言われればもう逃げられない。すごすごと席に戻っていった。
「ま、安心すればいいのデスよ。ヤツはこのワタシが仕留めるデス。リレンさんにはお鉢が回ってきませんとも」
腕組みしたノラがふふんと笑った。けないリレンの姿を見て自信が戻ってきたようだ。
「おっと、それはどうかな? 順番で言えば、次は拙者だろう」
「ワタシの獲を奪う気デスか? テルシスさんとはいえ認めないデスよ?」
「待て待て」
好き勝手言い始める二人を、ディアローズが半目で止めた。
「ヤツには……北斗輝星には、四天全員でかかってもらう。ヤツの戦闘力は異常なのだ。戦力の逐次投などという愚策は取らぬ」
ただでさえ、ノラが単獨で輝星に挑み完全敗北しているのだ。わざわざ四天を一人ずつ輝星にぶつける気など、ディアローズにはさらさらなかった。
「ヤツにはよくゼニスが二機隨伴しているが、これも妾(わらわ)の子飼いの部隊を使って分斷する。四対一だ。絶対に負けられぬ戦ゆえな、必勝の布陣で行く」
「ま、待て! 殿下はそのような騎士道に外れた行為を拙者にやれと申すのか!」
「歩く厄災のような手合いに騎士道がどうとか言っている場合か!」
「そんな」
テルシスがなおも抗弁しようと口を開いたが、それより早くリレンが意地の悪そうな笑みを浮かべながら言った。
「殿下が"兇星"に懸想しているという噂を聞いたことがある。この布陣で戦えば、さしもの"兇星"も死んでしまうかも。そうなれば、想いは遂げられなくなる」
嫌味半分、そしてもう半分は無理に輝星と戦わせるのをやめてもらおうという考えの発言だった。
「け、懸想!?」
思わぬ反撃にディアローズは顔を真っ赤にした。汗をかきながらそっぽを向き、口を尖らせる。
「顔を合わせたこともない相手に惚れる馬鹿が居るものか。妾(わらわ)はたんに、の程を知らぬ莫迦者に種馬としての本分を思い出させてやろうと……」
そこまで言って、ディアローズは首をぶんぶんと振った。今はそんなことを言っている場合ではない。
「そ、それはさておきだ! 殺して死ぬような手合いなら、妾(わらわ)はここまで対応を苦慮しておらぬわっ! 殺す気でかかったところでピンピンしておるに決まっておる!」
「確かに」
深く頷くリレンに、ノラが「そこで認めちゃうんデスか……」と困した。
「そうであろう? 今はとにかく最大限勝率の高い作戦を立てて対処する。細かい作戦を伝えるから、しっかり聞くがいい」
熱くなった頬をぺちぺち叩きつつ、ディアローズはそう言った。
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