《Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜》第16話 ランダム要素が起こした出來事

「よっし、到著だ!」

道中アルと換をしていたが、どうもコケは植系ではあるけど、結構特殊である事が分かった。アルは普通にHPもあるし、群みたいな事は出來ないらしい。

共通して持っている『水分吸収』もどうやら質が違うようである。なくともアルには樹の獲得は出來ないし、吸収した水分もインベントリにはらずHPの回復になるとのこと。

そして他の植を弱らせたり枯らすことで増強強化ポイントが手にり、種族固有のポイント取得は『同種同調』の使用により、融合進化ポイントが貰えるそうだ。

中々有意義な換だったよ。コケと木は同じ植系ではあるけど全くの別種族ってことがよく分かった。

さて換についてはそれくらいにして、マップを見たじかなり端の方にある空白部分に辿り著いた。かなりの急斜面になっていて、直接下りるのは厳しそうな場所である。ただ、一箇所真っ直ぐに線を引いた様に埋まっているところがあるのが気にはなるけども。

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「これは普通なら直線距離で進むには厳しいな。多分かなり回り道が必要っぽいぞ」

「やっぱりかー。でも手前までは埋まってるから、途中までは誰かが埋めたんだろな」

「今、回り道しながら埋めてるとこかもな」

「悪いけどもお先に失禮って事で! まぁその人達も途中までは埋まるだろうし問題ないだろ」

「そりゃそうだ!」

順番などは決まってないのだ。早いもの勝ちである。それにマップの端みたいだし、引き返す事も考えれば回り道して埋めている人達にも悪いことではないだろう。って事で群化で一気に急斜面を降りていくぜ!

急斜面を降りきった後に、端からマップ埋めていたら倒れた蜂が目にった。灰のカーソルって事はプレイヤーか? なんでこんなとこで倒れてるんだ? えーと、とりあえず名前はなんだ?。

「ん?」

「どした、ケイ?」

「なぁアル、例のハチの人の名前ってなんだった?」

「ヨッシだな。それがどうしたよ?」

「その人がなんか行き倒れてんだけど、どうすりゃいいと思う?」

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「はい? どういう狀況だよ、それ」

「さっぱりわからん……。とりあえず聲かけてみる」

「同所屬でダメージは無いとはいえ気を付けろよー! あとPTメンバーの聲は他のプレイヤーには聞こえんし、俺にはケイの聲しか聞こえんから黙っとくわ」

「おう、わかった」

アルには忠告されてしまった。まぁ聞いてる報じゃおっかない人だしな。でも流石に暴走してたプレイヤーが行き倒れてるとかすっげぇ気になるだろ。最悪、ホントに酷いだけの人なら運営に報告すればいいだけだ。

という事で、すぐ近くのコケを群化してそこに移しよう。

「おーい、大丈夫か?」

「……ん、あれ? 何処から聲がしてるの?」

「こっちだ、こっち!」

「んー? ……コケ?」

「そう、そのコケだ!」

「……なんか用?」

「いや、そんなにグッタリと行き倒れみたいになってたら気になるって」

「……あーこれ? 軽く絶してるだけだからほっといていいよ」

力盡きたように地面に倒れているハチの姿を見て放置しろと言われても……。それに絶してるだけって、マップの解放を狙ってたんじゃないのか? いや、勝手な推測でしかないけどさ。

「いやいや、流石に放置できんって。何があったんだ? 話くらいなら聞いてやるぞ?」

「……人の良いコケだねぇ。どうしようもないし、しょーもない話だよ?」

「まぁまぁ、ここで會ったのも何かの縁って事でさ」

「あはは、かなり凹んでるし聞いてもらえば何か変わるかなぁ。……私さ、今年の春に親の都合で引っ越ししたんだよね。それで、今住んでるところで出來た友達と前住んでたところの友達と3人で一緒にこれで遊べないかなって計畫してたんだ……。今日、どっちの友達もそれぞれに紹介しようと思ってたの。2人共私の大事な親友なんだって……」

ヨッシさんが力なく、弱々しく喋り始めた。親の都合で引っ越しか。今が5月だから割と最近の話だな。あぁ、なんとなくあの暴走の理由が見えてきた。

「友達を友達に紹介したかった訳か。……もしかして?」

「あ、予想ついた? そうだよ、ランダムのせいでバラバラになっちゃったんだ。運営の人は事前報なしのサプライズだったのかもしれないけど、おで予定が大狂い。でもさ、リアルで連絡とったらみんな森にいるって分かって、掲示板でマップの事を聞いたから合流出來るように死に狂いで頑張って解放しようとしたんだけどさ……」

この言い方だとやはり掲示板に書き込んでいたのはこのヨッシさんか。運が悪いのか、ランダムが悪い方向に作用しまくってる気がするぞ。

「……それでも駄目って事は……」

「それで群集クエストが始まってマップ解放されたからもう一回連絡してみたんだ。今住んでるところの友達はログアウト中だったけど聞いたじじゃ同じ深部みたいなんだけど、前に住んでたところの友達の方が深部じゃない方だって判明してね……」

「……それはなんというか、災難でしたとしか……」

なるほど、違う場所に住む友人同士で遊びたかったのに出鼻を挫かれた訳か。引っ越した後にもちゃんと友人も出來て、そして前住んでた所の友人とも仲良くし続けたくてオンラインゲームって手段を選んだ訳だ。そりゃ掲示板でのあのブチ切れ方もわからなくはない。まさかこんな初期がランダムばっかりだとは思わないしな。それでも何とかしようと奔走したのが、アルの目撃した暴走って事だろう。

「それでもログインし直してなんとか迎えに行こうかと思ったんだけどね……」

「……まだなんかあるのか?」

「……すぐそこの先がエリア切り替えだよ。行ってみればわかるよ」

「……どういう事だ?」

でも森林と森林深部なら別エリアと言ってもどうにかなる範囲じゃないか? どうにもよく分からないが、言われるがままに先に進んでみる。エリアの切り替えって言ったってーー

<『始まりの森林深部・灰の群集エリア2』から『始まりの森林・赤の群集エリア1』に移しました>

「はい!? なんですと!?」

「……隣接してないみたいなんだよね、『始まりの森林・灰の群集エリア1』とはさ」

まさか隣接エリアが他の群集のものだとは思わなかった。……そうなると『始まりの森林・灰の群集エリア1』どこにあるんだ? 何処にあるのか全然わかんねぇ……。

そりゃヨッシさんも気力が盡きて倒れ伏すよな。運営さんよ、これは恨まれても仕方ないわ……。これじゃ合流できるのはいつになるかすらわかんねぇな……。

「……ヨッシさんは、どうするんだ?」

「……どうしよう。前に住んでたところの友達はこのゲーム買って、お金が底をついたって言ってたから別のゲームを用意ってのもキツいしなぁ……」

「他に共通で持ってるオンラインゲームとかないのか?」

「あの子、基本的にオフライン好きだったからオンラインは持ってないんだよね……」

一昔前には基本無料のゲームも溢れていたが、あまりにも限度を越したアイテム課金に規制がり今は基本無料は廃れている。アイテム課金そのものはまだあるが、それも常識的な金額になっており青天井になるようなシステムにはなっていない。

俺がどうにか出來る手段は思いつかない。それこそ、運営でもない限りすぐにどうこう出來るような容ではないだろう。……ん? 待てよ、運営……?

「ダメ元で運営に要出してみるのはどうだ?」

「……あーその手があったね。課金アイテムでも良いからなんか手段あればいいなぁ……」

ヨッシさんは元気なく呟いていた。駄目だこれは。相當凹みきってる。

「……ありがとね、コケさん。一応運営に要出してみて、友達とも相談してどうするか決めるよ」

「そうか」

それ以上の言葉は出てこなかった。ヨッシさんの友達をどちらも知らないし、運営がどうくかも俺にはわからない。だから、それ以上の言葉は言えなかった。決めるのは俺じゃないからだ。

「それじゃログアウトして、連絡取ろうっと。コケさん、バイバイ」

「おう」

場合によってはヨッシさんはこのままもうログインしないかもしれないから、「またな」とは言えない。ヨッシさんも敢えて俺の名前は呼んでいないんだろう。そしてヨッシさんはログアウトして、ハチの姿は消えていった。

オンラインゲームはプレイを始めた誰もがプレイをし続ける訳ではないんだ。合う合わないはあるし、ヨッシさんは目的を果たせていない。すぐには果たせそうにもない。そうなればこのままもうログインしなくても仕方ない事なんだろう。

「思ったほどおっかない人じゃないどころか、友達思いの良い人じゃねーか……」

「ほう、そうなのか」

「おわ!? アルか、びっくりした!」

「お前の聲だけは聞こえてるって言ったのに、忘れんなよ……」

ちょっと寂寥に浸ってアルの存在を忘れてたとは言えない……。一応アルにも軽く事を説明しとくか。

「ハチの人、友達との合流が相當難しそうで、もうログインしないかもな」

「ん? なんだ、ハチの人もエリア分斷食らった人なのか?」

「ハチの人も? 他にもそういう人いるのか?」

「あぁ、報共有版で軽く炎上中ってじだ。隣接エリアが別の群集のエリアだってわかった瞬間からな」

「そりゃそうもなるか。流石に々ランダムにし過ぎた弊害だな。事前にはここまでランダムだとは公表されてなかったし」

「それで流石に運営もちょっと焦ってるっぽいぞ? 公式サイト開いてみろ」

「へぇ? どれどれ」

ゲームからでも公式サイトの報は普通に見れる。お、最新報のとこに新しい項目が出てるな。

「ふむ、初期のランダム配置についてのお知らせか」

容はランダム配置そのものには変更は加えないし、種族のランダムも変わらないけど、救済用アイテムの実裝とその配布か。ほう、『仲間の呼び聲』ってアイテムを用意するのか。

ログイン畫面で『仲間の呼び聲』を使用して、同じエリアになりたいプレイヤーを識別IDで指定。指定されたプレイヤーが許諾すれば、使用者と同じエリアに転送されてくる。ただし、同群集に所屬している相手限定になる。おぉ、これなら合流できるな!

……海のプレイヤーを森林に呼ぶとどうなるかとか気になるけど、死ぬのかね? あ、それはそれでポイント稼げて味いのか!? とりあえず既存プレイヤーには1個ずつ配布して、新規には標準で渡すアイテムになるわけか。

つーか、普通にこのアイテムしいんだが。あ!? ちゃっかり課金アイテムになってるじゃねぇか!? 月1個限定で3000円か……。

「ちゃっかりしてんなー。課金アイテムかよ、これ」

「1個は貰えるし良いんじゃないか? 々と使いどころはありそうだし、合流不可もこれで一応緩和はするだろうしな」

「それもそうだな。ハチの人、これで続けれたらいいんだが」

「まぁ大丈夫な気はするが、そればっかりは當人の問題だ。あんま気にすんなよ」

「そうだな。それじゃマップ埋めを再開しますか」

「おう、頼むぜ!」

ハチの人ことヨッシさんとの思わぬ出會いと別れがあったものの、気を取り直してマップ埋めの続きをやろう。もうそろそろログアウトして寢る時間も近づいてきているけど、やれるだけはやっておく!

でもマップを埋める時は地道に短距離移の繰り返しだけどな! 明日、サヤがログインしてて時間が合えば一緒にやろうっておうか。倒しきれないから何度か一般生は放置するしかなかったしな。

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