《【書籍二巻6月10日発売‼】お前のような初心者がいるか! 不遇職『召喚師』なのにラスボスと言われているそうです【Web版】》第8話 階層ボスの洗禮

「ギチィィィ」

中にると、そこはとても広い空間だった。そして中央には土が盛ってあり、その上には巨大なモンスターが待ち構えていた。

「クワガイガー……かなり大きいモンスターね」

箱でできたような黒いゴツゴツしたに、電子回路のような模様が青白くっている。さながら、メカクワガタと言ったところか。イベントを除けば、今まで戦ってきたどのモンスターよりも強いだろう。

「ギチィィイイイイ」

クワガイガーが不愉快な聲を鳴らすと、中から電撃が迸り、フィールド中に落雷が降り注ぐ。

「噓……速い!?」

そのあまりのスピードに対応できなかった。ヨハンのHPは一瞬で消滅し、殘すところ1となってしまう。

『スキル【ガッツ】が発しました』

召喚獣のスキルを使えるヨハンに、ガッツが適用される。

「助かった……10秒無敵の間に態勢を立て直して……って、ええ!?」

その時、自分のかなくなっていることがわかる。そして、自分のステータス欄に狀態異常【スタン】と表示されていることに気が付いた。

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スタンの狀態異常は10秒間その場でけなくなるというもの。ガッツのメリットが死んだことになる。

「よし、けるようになったわ! 召喚獣召か――うわあああ!?」

ガッツによる無敵狀態とスタンが同時に解除された瞬間、再び雷攻撃がヨハンのに直撃する。これで終わりか……そう思ったとき。

『スキル【ガッツ】が発しました』

「え? どうして?」

なんと再びガッツのスキルが発したのだ。

(どうして? ガッツって一日一度までのスキルだったはず……もしかして!)

ヨハンはマジックゴーレムの持つ【魔力放出】が重複していたことを思い出す。

(ひょっとして、ガッツは召喚獣の數だけ使えるってこと!?)

ヨハンの持つ初級召喚獣でガッツを持っているのはヒナドラとワンコロ。その數は合計で13個。今2回発したから、あと11回ガッツを使える計算になる。

「でもガッツを使えたって……このままじゃ」

ガッツで耐えたとしても、スタンをけてけなくなる。そしてスタンが解除されれば、すぐさま次の雷攻撃が來てしまう。

「無限ループって奴よね……厳しいわ」

この後もヨハンは、一歩もくことができずに雷攻撃によるスタンを食らい続けた。

「く……もう10回目……ガッツも殘り3回……」

しかし、10度目のスタンを食らったとき、狀況が変わった。

『スキル【スタン耐・小】を獲得しました』

【スタン耐・小】

スタン癥狀を50%の確率で無効にする。

手條件》

一定時間に10回スタンさせられる。

「こ、これなら!」

ガッツによる無敵、そしてスタンが解除される。すると、再び回避できない雷攻撃をける。

『スキル【ガッツ】が発しました』

『スキル【スタン耐・小】が発しました』

「やった! 今度はけるわ!」

このチャンスを活かさない手はない。ヨハンはゼッカから貰った召喚獣の一を呼び出す。

「召喚獣召喚――スケープゴート!」

幾何學的な魔法陣から、丸いぬいぐるみのような羊のモンスターが現れる。このモンスターも特別なスキルを三つ持っている。そのの二つを使い、攻撃のチャンスを作る。

「スケープゴート、【増】よ!」

「メェー!」

ヨハンの指示をけ、スケープゴートのが3つに分裂する。【増】は自分の分を2生み出すスキルなのだ。さらにもう一つのスキルと組み合わせることで、絶大な効果を発揮する。

「続けて【デコイ】を発よ!」

の一に発させた【デコイ】は、一定時間の間、敵の攻撃を引きつけるスキル。

「ギィイイイイイイイ」

デコイの効果によって、フィールド中に降り注いでいたクワガイガーの雷撃は、スケープゴートに集中する。自分の想定通りの展開に持っていけたことに、喜びをじる。

「メェエエエエ」

雷撃を食らったスケープゴートの消滅を確認すると、次のスケープゴートにデコイを発させる。これを繰り返せばあと二回、敵の攻撃を無力化できる。

「――ブラックフレイム!」

その隙に、ヒナドラのスキル【ブラックフレイム】を敵に撃ち込むヨハン。【魔力放出】の重複により500を超えた魔力から放たれる炎のスキルは、クワガイガーにとてつもないダメージを與える。

「でもさすがに一撃では無理よね。でも、あと4発撃てるのよ――ブラックフレイム!」

二発目が命中すると同時に、敵の攻撃によって二目のスケープゴートが消滅。最後のスケープゴートにデコイを使わせ、三発目のブラックフレイムを撃ち込む。

「ギチギチギチィィイイイイイ」

三発目のブラックフレイムで、なんとかクワガイガーのHPを削りきることに功した。クワガイガーの姿がの粒子となって消滅し、反対側の扉が開く。そしてクワガイガーが居た場所に、一つの寶箱が現れる。

『レベルが15に上がりました』

レベルは上がったが、新しいスキルを覚えることはなかった。まぁさっき一つ覚えたしいいかとヨハンは寶箱へと手をばす。中にっていたのは召喚獣のクリスタルだ。だがは黃く輝いていて、他のものとは違うことをじさせた。

召喚獣【クワガイガー】

超級:召喚スキルの有無に限らず、召喚することができる。《譲渡不可》

手條件》

召喚師が初挑戦かつソロでクワガイガーを撃破。

「これ、今戦っていたクワガタを召喚できるってこと? 凄い! これでランキング戦? でもきっといい結果が殘せるわ! うふふ、待っててね中級の召喚獣たち!」

ヨハンはクワガイガーの召喚石をストレージに仕舞うと、スキップで第二層を目指すのだった。

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