《【書籍二巻6月10日発売‼】お前のような初心者がいるか! 不遇職『召喚師』なのにラスボスと言われているそうです【Web版】》第10話 初ランキング戦
イベント當日。
『びえええええんんん哀川せんぱあああいいいいたずげでくだざいいいいいいいいいい』
と泣きつく後輩を見捨て、予定通り午前中で仕事を切り上げた圭。力をつけようとファーストフード店でハンバーガーとポテト・コーラを貪り、一時帰宅。ランニングを済ませ風呂にて神統一。萬全の狀態でログインする。
「まだ10分前なのに凄いわ……」
雪の城塞都市の中央広場には大勢のプレイヤーが集まっていた。
そしていつもより殺気立っているようにじられた。彼らの頭上に表示されるレベルは30、40、中には50とかなり強い。
(もしかして、この中で私が一番弱いのでは?)
なんてヨハンが考えていると、無機質なブザーが鳴り響く。そして目の前が真っ白なに包まれたかと思うと、次の瞬間、古代ローマの闘技場のような場所へと転移させられていた。
周囲には4、50人のプレイヤー。そして客席の方には何故かオーロラビジョンが設置されていて、イベント開始のカウントダウンが表示されている。
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『5……4……3……2……1……第一フェーズスタートで~す』
「「「「うぉおおおらおおおおおお」」」」
プレイヤーたちが一斉に武を取り、戦いを開始する。
「始まった……」
これから20分間、逃げ場のないこの空間で戦い続けることになる。ヨハンは軽く深呼吸する。
「予定通りやろう……【明化】発」
ゴーストのスキルである【明化】を発させる。これにより、ヨハンは攻撃ができなくなった代わりに、相手から一切姿が見えなくなった。
「これで安心して召喚ができるわ」
クワガイガー戦での反省を活かしているヨハン。
ヨハンが真っ當な召喚師かどうか別として、召喚師は召喚したモンスターを戦わせる職業だ。だが攻撃によって召喚の邪魔をされると何もできなくなってしまう。
なので、一度明化することでその弱點をカバーする作戦だった。
「召喚獣召喚――ヒナドラ!」
「もっきゅ!」
気合い十分の黒い竜が姿を現す。
「うふふ。【明化】を使っている間は攻撃できない。けど、私が出した召喚獣は攻撃できるのよね」
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通常の召喚師には真似できない極悪コンボを平然と行うヨハン。ヒナドラの姿こそ敵からは丸見えだが、この混戦とサイズの小ささで、的にされにくいという利點があった。
「もっきゅ!!」ブラックフレイム!!
「「「ぎゃあああああああ」」」
2、3人が集まる混雑した場所を狙ってブラックフレイムを撃ち込むヒナドラ。ヨハンと同じ15~18のレベル帯のプレイヤーたちが集まったこの部屋では、ヒナドラのブラックフレイム一発でHPを削り取れる。
もちろんここに居るプレイヤーたちは、それぞれクワガイガーを乗り越えてきた猛者たちである。 もし1VS1でヒナドラと対面していたなら、その攻撃をけることはなかっただろう。全て回避できるはずだ。
それを理解しているからこそ、ヨハンは漁夫の利、つまりプレイヤー同士が戦っているところへブラックフレイムを撃ち込ませる。意識の外からの攻撃には対応し辛いのだ。
「よし、行けるわ!」
ヒナドラのMPではブラックフレイムを1発打つとMP切れで消滅してしまう。ヨハンはその都度、新しいヒナドラを召喚し、送り込む。
この作戦は大功し、7全てのヒナドラを使い切った時、生き殘っているプレイヤーは殘り一人となった。殘り一人ならば、こそこそする必要もないと、【明化】を解除するヨハン。
「ふぉううふぁくふははふぉふぁらふぁひたふぁ!」(ようやく姿を現したな)
「な、何を言っているのかわからない……」
目の前に立つ男は両手に一本ずつの剣を裝備している。
それだけならばいいのだが、目の前の【ソロ】というプレイヤーは何故か口にも剣を咥えているのである。
「さ、三刀流・・・・・・」
「ふぇあ……あふぉふぁはんふぁふぉふぉれのふぃいいふふぃや(せや、あとはアンタとワイの一騎打ちや)ふぁふぉふぃいほうふにふぃようふぁふぁいは(楽しい勝負にしようやないか)」
「どうしよう……何言ってるかわからないけど、この人きっととんでもなく強いわ。何せあの伝説の三刀流だもの……」
剎那、ヨハンの記憶が蘇る。子供時代。とある國民的漫畫の戦士の真似をしている男子たちが何人いたことか。
(掃除時間に何度男子にホウキで切られたことか……恐ろしいわ。いったいどれほど強いのかしら)
否、実は【三刀流】は條件さえクリアすれば簡単に取れる剣士用のスキルである。頭の裝備スロットにも剣を裝備することで攻撃能力をさらに強化できるスキルだ。だが一見強力に思えるものの、口に剣を咥えると何を言っているのかわからなくなってパーティメンバーに迷が掛かったり、そもそも口に咥えた剣で攻撃するのが難しいことなどからネタスキルとして有名である。このソロという男も、三刀流に拘るあまり、誰にもパーティにれてもらえなくなった口である。
(私に近接戦闘スキルはない……近づかれる前に倒す……!)
「ふょうふふぁ(勝負や)!!」
ヨハンに三刀流のソロが迫る。
「ブラックフレイム!!」
「ふぁふぁほおおおおおおおおお!?」
ヨハンはヒナドラのスキルを発させる。魔力520という極振りプレイヤー並の高火力から放たれる攻撃に、防の薄いソロは一撃でHPを持っていかれてしまう。
「やった!? 勝ったわ!」
第一フェーズを無傷で生き殘るヨハン。初めての対人イベントとしては、最高のスタートだったと言えるだろう。10分ほど余った時間が過ぎた後、アナウンスが流れる。
『第一フェーズ終了~。続けて第二フェーズへと移行しまーす』
第二フェーズ。
第一フェーズでの戦績を基に、今度はレベル帯もごちゃ混ぜで再び部屋へ割り振られる。ヨハンが次に飛ばされたのは、前と変わらぬ闘技場。だがそこに集まっているのはほぼ全員がレベル30以上と、前の部屋とは比べものにならない実力者揃いだった。
「あれ……? 使い終わった召喚獣がまた使えるようになってる?」
本來召喚獣は一度召喚したら24時間は使用できないはずだ。それが復活しているということは、フェーズをげば再び使えるようになるということを意味していた。
(出し惜しみはしなくていいのね。なら、最初からアレを使ってみようかしら)
『それでは、第二フェーズ開始~!』
「「「「うおおおおおおおお!!!」」」」
おそらく第一フェーズをヨハンと同じような戦績で勝ち抜いてきたであろう猛者たちの雄びがフィールドに轟く。ヨハンはターゲットにされないうちに召喚石を取り出す。
「召喚獣召喚! ――クワガイガー!!」
巨大な魔法陣が展開し、中から巨大なクワガタ型のメカモンスターが姿を現した。ヨハンはクワガタの頭上に乗る。
「ちょっ待てよ! なんでモンスターがここに!?」
「これ、一層のボスモンスターじゃねーか!」
「ランキング戦でボスが出るなんて聞いてねぇぞ!?」
「クワガイガー、【放電】!!」
「ギチィイイイイイ」
カタカタと不愉快な鳴き聲をあげながら、クワガイガーはフィールド全に電撃を放つ。その電撃は混の中に居たプレイヤーたちを襲い、大ダメージを與えた。HPや防にポイントを振っていないプレイヤーはこの時點で消えてしまう。
「う、けねぇよ」
「ぐ……ボス戦の時と同じ仕様かよ……」
そして、10秒間のスタン狀態を付與する。なんらかの対策をしていないプレイヤーはきを封じられる。
「いいわよ。さらに【充電】を発! スタンさせた人たちからMPを吸い取るわ!」
「ぐああああああ」
「ぎゃあああああ」
召喚獣クワガイガーはボスとして配置されていた時と同じ能を持っている。一つ違うのは、「MPが切れると消滅してしまう」という召喚獣のルールが追加されたことによる弱化。
しかし【放電】でスタンさせ【充電】でMPドレインをするというコンボにより、召喚獣にあるまじき場持ちの良さを発揮するに至っている。
「おい、クワガイガーの上に人が乗ってるぞ!」
「信じられないが、奴の召喚獣だ!」
「召喚者を殺せ! そうすればこの化けは消える!」
「みんな一時休戦だ。まずはあの化けを倒そうぜ」
たまたまスタン対策を持っていたためかろうじて生き殘ったプレイヤーたちは、階層ボスが召喚獣として使役されているという異常事態に対して、咄嗟の停戦協定を結ぶ。
だが。
「クワガイガー【放電】!」
「ギッチギチイイイイイ」
「「「シビベエエエエエエエ」」」
無慈悲にも二度目の【放電】がフィールドのプレイヤーたちを襲う。突如現れたボスモンスターの前に、第二フェーズの猛者たちは為すもなく散っていくのだった。
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掲示板
【GOO】ランキングイベントROM専の集い【雑談】
132.名無しの冒険者
もろちんさんのイベ配信見てたんだがやばいプレイヤーが居た
133.名無しの冒険者
kwsk
134.名無しの冒険者
魔王みたいな鎧とマントつけてクワガイガーに乗って50人を瞬殺してた
135.名無しの冒険者
ちょっと何言ってるかわからない
136.名無しの冒険者
まるで意味がわからんぞ
137.名無しの冒険者
クワガイガーって一層のボスだろ?
適正レベル詐欺
スタン対策積みまくって5~6人でゴリ押ししないと勝てない奴
138.名無しの冒険者
今日やってるのランキング戦だろ? サプライズでボス投とか運営寒いわ
139.名無しの冒険者
いや、どうもプレイヤーが召喚したぽい
指示出してた
140.名無しの冒険者
ってことはサモナー? この前のナーフ祭りの後にまだサモナーとか居たんだ
141.名無しの冒険者
ボスを召喚獣化する方法見つかったのか?
142.名無しの冒険者
わからん
その配信者の人は滅茶苦茶すぎて大笑いしてた
143.名無しの冒険者
対人イベントに參加したと思ったら、ボスモンスターが待ち構えていた
何を言っているかわからねーと思うが
144.名無しの冒険者
実際見てみないと信じられないわ
今日のイベントって公式配信されてたっけ?
145.名無しの冒険者
されてない
日付変わる前にハイライト畫はアップされるはず
146.名無しの冒険者
あー!?
気になってしょうがねー
147.名無しの冒険者
とりあえずもろちんさんの配信のURLるわ
それで確認してくれ
148.名無しの冒険者
おk
149.名無しの冒険者
頼むわ
【書籍化&コミカライズ決定!】10月5日コミカライズ連載スタート!10月15日文庫発売!追放された元令嬢、森で拾った皇子に溺愛され聖女に目覚める
※舊タイトル【追放のゴミ捨て場令嬢は手のひら返しに呆れつつ、おいしい料理に夢中です。】 「私はただ、美味しい料理を食べたいだけなんだけど」 幼少期にお腹を空かせてばかりいたため、食いしん坊 子爵家の養女となり、歌姫となったキャナリーだが、 他の令嬢たちは身分の低いキャナリーを標的にし、こきおろす。 「なんでもポイポイお腹に放り込んで、まるでゴミ捨て場みたいですわ」 不吉な魔力を持つ娘だと追放され、森に戻ったキャナリー。 そこで怪我をしていた青年二人を助けたが、 一人はグリフィン帝國の皇子だった。 帝國皇子と親しくなったキャナリーに、 ダグラス王國の手のひら返しが始まる。 ※本作は第四回ビーズログ大賞にて、特別賞とコミックビーズログ賞のダブル受賞をいたしました! 目にとめていただき、評価して下さった読者様のおかげです。本當にありがとうございました! 【書籍情報】 2022年10月15日に、ビーズログ文庫様から書籍として発売されます! また、書籍化にともないタイトルを変更しました。イラストは茲助先生が擔當して下さっています! 先生の手による可愛いキャナリーと格好いいジェラルドの書影は、すでにHPやオンライン書店で解禁されていると思いますので、ぜひ御覧になっていただけたらと思います! 中身は灰汁をとりのぞき、糖分を大幅に増し、大改稿しておりますので、WebはWeb、文庫は文庫として楽しんでいただければ幸いです。 【コミカライズ情報】 コミックビーズログ様などにおいて、10月5日からコミカライズ連載がスタートしています! 作畫はすずむし先生が擔當して下さいました。イメージ通りというより、はるかイメージ以上の素敵な作品になっています!漫畫の中で食べて笑って話して生き生きとしている登場人物たちを、ぜひチェックしていただきたいです! 【PV情報】 YouTubeにて本作品のPVが流れております! キャナリー役・大坪由佳さん ジェラルド役・白井悠介さん と豪華聲優様たちが聲を當てて下さっています!ぜひご覧になって下さいませ! どうかよろしくお願いいたします!
8 76最弱能力者の英雄譚 ~二丁拳銃使いのFランカー~
☆あらすじ☆ 世界では、能力者という者が存在している。そんな世界で、能力が無いと判斷され、落ちこぼれの烙印⦅Fランク⦆を押された少年タスク。彼は能力者を育成する學園において、実戦授業が受けることができない唯一の最底辺だった。しかしある日、伝説にして、最強にして、無能力者の極致である恩師、剣・ミサキにより、戦闘技術の才能を見込まれ、能力者學園で開催される、通稱ランク祭に出場することとなった。最底辺を生きるタスクは、その才能を開花させながら、自身の隠された能力⦅さいのう⦆に気づき、學園最強の戦士へと成り上がる。――なろうじゃなくてな、俺はなるんだよ!! 1章と2章はまったくの別物なのでご注意ください。
8 129りんご
とある先輩と後輩と林檎の話
8 85Skill・Chain Online 《スキル・チェイン オンライン》
Skill Chain Online(スキルチェイン・オンライン)『世界初のVRMMORPG遂に登場』 2123年、FD(フルダイブ)を可能にするVRギアが開発されてからニ年。 物語の様な世界に期待し、いつか來ると思い続けてきた日本のゲーマー達は、そのニュースを見た瞬間に震撼した。 主人公・テルもその一人だった。 さらにそこから、ゲリラで開催された僅か千人であるβテストの募集を、瞬殺されながらもなんとかその資格を勝ち取ったテルは、早速テスターとしてゲームに參加し、すぐにその魅力にはまってしまう。 體験したSCOの世界はあまりにも、今までの『殘念ソフト』と言われていたVRゲームと比べて、全てにおいて一線を害していたのだ。 來る日も來る日もβテスターとしてSCOの世界にログインする。 SCOの正式オープンを向かえていよいよゲームが始まるその日。SCO専用の付屬部品を頭のVRギアに取り付けて仮想世界へとログインした。 ログインしてすぐ、始まりの街で言い渡されるデスゲーム開始の合図。 SCOを購入する際についてきた付屬部品は解除不可能の小型爆弾だったのだ。 『ルールは簡単! このゲームをクリアすること!』 初回販売を手に入れた、主人公を含む約千人のβテスターと約九千人の非βテスター約一萬人のゲーマー達は、その日、デスゲームに囚われたのだった。
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