《【書籍二巻6月10日発売‼】お前のような初心者がいるか! 不遇職『召喚師』なのにラスボスと言われているそうです【Web版】》第15話 初のパーティ戦とその後
一時間が経った頃。最終的にステージの前で守りを重ねる意味はないと判斷し、3人で協力して敵を倒していた。ヨハンはワンコロにサイリウムの回収をさせつつ、本は様々なスキルを使って敵を殲滅。レンマは攻撃的なスキルを持たないものの、ゴリラスーツのパワーによって格闘で敵を倒していた。
そして戦闘も一段落。集めたサイリウムの山を前に、三人は一息ついていた。
「結構集まりましたねぇ」
「ゼッカちゃんが大暴れしたおね」
「……ボクはほとんど何もできなかった」
「ドロップ増加アイテムくれたじゃない。あれだけでも大助かりよ」
さてこのサイリウムの山をどう分配しようかと悩んでいると、突如、空が赤く染まり、重厚な音楽が流れ始める。それはさながらボス戦のBGMのようだった。
ステージで歌うアイドルたちの曲の雰囲気が大きく変わったのだ。何か大きな戦いを予させる演出に三人は一斉に立ち上がり、構える。
「……何よこれ?」
「おそらく、一定數の敵を倒したのでボスモンスターが登場するのかと」
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「うふふ、なるほど。レアアイテムの予ね」
「そうですね……レアは出ないにしても、大量のサイリウム獲得のチャンスです」
しばらく待っていると、上空に巨大な全をサイボーグ化した鯨のようなモンスターが現れた。そして。
『高難易度クエスト発生:彼の歌は世界を救う ~Pされるよりも、ピーしたいマジで~ 開始』
《勝利條件》
全ての敵の撃破。
《敗北條件》
プレイヤーの全滅。又はステージ上のアイドルのHPが0になる。
というメッセージが表示される。そして、クエスト開始の合図と共に、空に浮かぶ鯨型のモンスター【空母ビッグホエール】の腹部ハッチが開き、そこから先ほど戦っていたゴブリンたちがパラシュートで降下してくる。
「拠點防衛系かぁ……燃える!!」
「ゼッカちゃん、私こういうの不慣れだから、指示を頂戴」
「……」コクリ
「了解です。まず、レンマちゃんはステージ前で待機。ここから私たちに防バフをかけつつ、敵の強力な攻撃が來たらステージを守って」
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「……」コクリ
「ヨハンさんは飛べる召喚獣で鯨本を攻撃。さらに降りてくる敵も攻撃してください。地上の敵は私が全て倒します」
「「了解」」
ヨハン、そしてレンマはすぐに行に移った。
「ようやく出番ね。召喚獣召喚――【メテオバード】!!」
玩型の召喚石から新しい召喚獣を呼び出すヨハン。中級召喚獣メテオバード。バチモンコラボの一。ヨハンの手持ちで空を飛べる唯一のモンスターである。火の鳥が隕石でできた鎧を纏ったような姿のそのモンスターは羽を広げ飛翔する。
「貴方はビッグホエールを攻撃して」
「ぎゃるうう」
「そして私は……ブラックフレイム」
メテオバードを見送ってから、ヨハンは上空からパラシュートで降下してくるゴブリンたちを焼き払う。すでに著陸しているゴブリンたちはゼッカに任せ、ひたすら上空の敵を狙い続けた。
「ちょっと手數が足りないか。それなら……【増】」
スケープゴートのスキル増を発し、ヨハンは三に分裂した。
「「「ブラックフレイム!」」」
そして、三が同時に暗黒の炎を放つ。空を埋めていたゴブリンたちは一瞬で蒸発し、ドロップアイテム、サイリウムの雨が降る。見通しの良くなった空を見上げれば、メテオバードがビッグホエールにとりついたところだ。
「今よ、メテオバードスキルを発――ファイナルメテオインパクト!」
メテオバードのが輝き、より強い炎のオーラを纏う。その狀態で、敵に向かって全力で當たりを行う。その攻撃はビッグホエールのを大きく揺らすが……。
「そんな……」
「HPバーはほとんどいていません」
ほぼノーダメージと言って良かった。それどころか、ビッグホエールは口を大きく開くと、メテオバードにかみつき、一撃で撃破。そのまま頭部をこちらに向ける。
そして再び大きな口を開いて――。
「敵の必殺技がくる――」
「ぶおおおおおおおおおおお」
ビッグホエールの攻撃スキル【超撃音波】がフィールド全に降り注ぐ。その攻撃範囲は凄まじく、デコイを発したとしてもカバーできないだろう。
「ボクに……任せて……スキル発【ルミナスエターナル】!」
レンマの足下から魔法陣が広がり、フィールド全を包む。そして、パーティー全に10秒間の【無敵】と【狀態異常回復】を授ける。そしてこの効果は、護衛対象であるステージ上のアイドルにも有効だ。降り注いだ敵の音波攻撃からヨハンたちを守る。
「凄いわね!」
「流石! 守護者(ガーディアン)の最強スキル。さて、それじゃあ反撃ですよ」
「ええ、私に任せて頂戴」
ヨハンはそう言うと、二目のメテオバードを召喚する。
「乗ってゼッカちゃん。二人で接近して倒しましょう」
「ナイスですヨハンさん!」
二人はレンマをステージに殘し、メテオバードの背に乗って飛翔する。幸いゴブリンたちは先ほどのビッグホエールの攻撃に巻き込まれ全滅しており、二人の接近を邪魔するものは誰もいない。またビッグホエールも強力な攻撃を続けて撃つことは難しいらしく、驚くほど簡単に接近に功。
「背中の部分にクリスタルが埋まってますね……多分アレを砕けば攻撃が通用するはず……行ってきますヨハンさん!」
ビッグホエールの背中に飛び移るゼッカ。巨大な背中を凄いスピードで駆け抜けたゼッカは自慢の雙剣デッド・オア・アライブでザクザクと切り裂き寶石を破壊する。
「ぼええええええんんん」
「試しに撃ってみましょうか……ブラックフレイム!!」
敵の腹部に攻撃を當てると、ビッグホエールのHPバーは減する。
「やっぱり! あの寶石がこいつの守備力を上げていたんですね!」
喜びながらビッグホエールのを切り刻むゼッカ。敵のHPがぐんぐんと減っていく。あと大技一発と言ったところか。
「後は私に任せて! はっ」
そう言うと、ヨハンはメテオバードから飛び降りる。ゼッカとレンマは何が起こるのか見守った。
「スキル発――ファイナルメテオインパクト!!」
ヨハンが発させたのはメテオバードの突撃攻撃スキルだ。全に炎を纏い、跳び蹴りのポーズで敵に突撃する。中級モンスターはレベル30程度のステータスを持つ。ヨハンはレベルこそ16だが、そのステータスはレベル50のプレイヤーより高い。そんなヨハンが放つファイナルメテオインパクトの威力は桁違いだ。
「はあああああああああ!!」
「ぼげええええええええええ」
ヨハンのはビッグホエールのを貫通し、向こう側へと突き抜ける。ボスモンスターであるビッグホエールは斷末魔の咆哮を上げながらを粒子に分解し、消滅した。
『スキル【ガッツ】が発しました』『スキル【ガッツ】が発しました』
地面に落ちたヨハンとゼッカは即死級の落下ダメージをけるも、スキルガッツによりなんとか存命。高難易度クエストをクリアすることに功した。
『みんな、本當にありがとう! 今日のライブは、私の一生の思い出だよ♪』
アイドルのライブステージはそんな言葉で締めくくられ、フィールドには「どうやって回収するの?」というくらいに大量のサイリウムが降り注いでいた。
***
街に戻って。
使い切れないほどのサイリウムを手にれた三人は、各々でしい素材を換していた。ヨハンは中級モンスターたちのスキル解放に必要な素材を大量に換。レンマは自らの推しアイドルの裝を換したようだ。
「ちょっと著てみせてよレンマちゃん」
「私も見たいです」
ヨハンとゼッカの二人にせがまれて、レンマはアイドル裝に裝備を切り替える。すると必然、著ぐるみゴリラで隠されていた彼の素顔が見られるわけなのだが。
「「……可い」」
ヨハンとゼッカの二人はレンマのかわいさに絶句した。年齢は中學一年生くらいだろうか。輝くような青い髪に青い瞳。き通るような白いは、頬だけが照れくさそうに桃に染まっている。
レンマのあまりのっぷりに、ヨハンとゼッカは言葉を失った。
「あの……変?」
「「変じゃないよ!!!」」
(ち、ちょっと可すぎないかしらこの娘? 持って帰りたいんだけど!?)
(何故これほどの貌を隠す? 安売りはしないということなのか!?)
と悶えるお姉さんたち。そんなヨハンとゼッカを見てくすくす笑うと、レンマは二人にも同じステージ裝を取り出してきた。
「え?」
「くれるの?」
「うん。あと……一緒にボクと寫真……撮ろう? それを……著て」
「おお、いいアイディアですね!」
瞳を輝かせて裝をけ取るゼッカ。さすが子高生と言ったところか。コスプレに抵抗がない。だがOLのヨハンはそうはいかない。
(うぅ……背中開きすぎ……元見せすぎ……スカート短い……くっ……この歳で……コレを著るのはなぁ~ううぅむ……)
一人悩んでいたヨハンだったが、潤んだ瞳でこちらを見つめているレンマに気が付く。
「……ボクと一緒は……嫌?」
「いいいいい嫌じゃないわよ!」
漆黒の魔王裝備からアイドルの裝に著替えたヨハン。その顔は恥心で真っ赤だった。
「似合ってますヨハンさん! 可いです」
「……綺麗」
「そ、そうかなぁ……あははははははははは」
そして、若者二人に上手く乗せられ、後に見る度に死にたくなるようなスクリーンショットを取りまくってしまうヨハンであった。
次回、中級バチモンが真の力を解放。
ユニーク裝備は手にりませんでしたがヨハンさん(28)にアイドルの裝を著せられて満足したぜ……
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