《【書籍二巻6月10日発売‼】お前のような初心者がいるか! 不遇職『召喚師』なのにラスボスと言われているそうです【Web版】》第17話 ヨハンのと新しいスキル
コンマイ語が生まれてしまう理由がわかった気がする……。
「……そういえばお姉ちゃん、MPはどうしてるの?」
敵の第一陣が止み、攻撃が収まっている時間帯。イヌコロにサイリウムを集めさせているヨハンにレンマが疑問を投げかけた。
「……MPポーションとか、使ってないよね? ……もしかしてMP極振り?」
「きょくふり?」
ヨハンは首を傾げた。レンマの質問の意味がわからなかったからだ。ちなみにヨハンはレベルアップで得たポイントを一回もステータスに振り分けていなかった。その事実に皆が驚愕するのは、かなり後になってのことである。
「……召喚獣、召喚するとMPを使う。何度も召喚するなら、MP回復は必須」
「ああ、そういうことね。それなら」
ヨハンはストレージから召喚石を一つ取り出す。それはかつてゼッカから貰った召喚師スターターキットの最後の一【リトルウィザード】。
攻撃を司るこの召喚獣のスキルは三つ。 無屬魔法攻撃を行う【初級魔道弾】。さらに魔道弾を三連発する【初級連続魔道弾】。どちらも直接使えば使いやすいスキルだが、ヨハンが【ブラックフレイム】の方を積極的に使うため、今まで日の目を見ることはなかった。
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そしてヨハンが見せたいのは三つ目のスキル【マナ加速】。10秒ごとにMPを5回復するスキルだ。
「……なるほど。でもそれだけじゃ足りないよね?」
「え、足りるけど……」
「……え?」
「え?」
會話がかみ合わない。
「……だってお姉ちゃん、召喚獣の強力な攻撃スキル連発してるよね?」
「ああ、なるほどね。ようやくレンマちゃんの聞きたいことが理解できたわ。つまりこういうことよね? 召喚獣のスキルを連発しているけど、その分のMPはどこから確保してるのか?」
レンマはコクリと頷く。
「結論から言うと、【暗黒の伝子】で召喚獣のスキルを発するとき、私のMPは減らないのよ」
「……は?」
驚くのも無理はない。
「……いや、待って待ってお姉ちゃん。さすがにそんなことはありえないよ」
「それがあり得るのよ。【暗黒の伝子】の効果は召喚獣のスキルを自分が使えるようになるスキルじゃないの」
「……え?」
「召喚獣のスキルを『発することができる』なのよ。つまり、召喚獣のスキルを発させるまでが【暗黒の伝子】の効果。みんながMPを使って発させているスキルを、私はスキルを使って発させているの。だからMPの消費はないのよ」
「……な、なるほど。滅茶苦茶だけど、納得した。……スキルが使えるようになるスキルじゃなくて、スキルを発させることができるスキルってことだね」
「そういうこと。日本語って難しいわね」
「……ボクも言ってて訳がわからなくなってきた」
ヨハンのデタラメな強さの一端にれたレンマ。そして得意げに語っているヨハンであるが、全てゼッカが考察したことのけ売りである。ゼッカが疑問を持たなければ、MPの消費なんて初心者のヨハンは全く気にも留めなかっただろう。
「それとねレンマちゃん。MPの心配も、もう無くなったのよ?」
「……え?」
ヨハンがMPを使うのは実質、召喚獣を召喚する時だけだ。召喚獣に戦わせておけば、後はリトルウィザードの【マナ加速】で勝手にMPは回復していく。それで十分では? と思うレンマだったが、ヨハンはその想像の先を行っていた。
「メテオバードを覚えてる?」
「……うん。……あの隕石みたいな火の鳥」
「そう。あの子がね、新しいスキルを覚えたの。【羽休め】って言うんだけど」
メテオバードの第二スキル【羽休め】
・10秒間地上に降りることで、HPとMPを最大値の50%回復する。
「……飛行系の召喚獣が地上に降りるのはかなりのリスクだけど……あれ、これお姉ちゃんが使うとどうなるの?」
「永続スキルじゃないから、常に発しているわけじゃないけど、使えば普通に地面に立ってるだけで回復できるわ」
「……デメリットがデメリットになってない……」
まさにローリスクハイリターン。
「回復の10秒をガッツ後の無敵と組み合わせれば、強力よね!」
「……ボク、ランキングとか興味ないけど。お姉ちゃんと戦わなきゃいけない人が素直に気の毒だよ」
等とレンマが呟いた時だった。アイドルの歌う曲が変わり、高難易度クエストの開始が宣言された。
「來たわねビッグホエール。私が相手よ!」
ヨハンはメテオバードを召喚。それを空高く飛翔させると、解放したばかりの第三スキル【メテオレイン】を発。上空から火球を五連弾放つ技だ。それによりビッグホエールの背中のクリスタルを破壊。二目のメテオバードと共に上空へと飛翔すると、【増】によって分裂。そして三人のヨハンが【ファイナル・メテオ・インパクト】を放ち、KOした。
レンマはその様子を呆然と見上げていた。
「これなんのゲームだっけ?」と言ったとか、言わなかったとか。
***
空母ビッグホエール撃破後。
ヨハンは『新しいスキルを習得しました』というメッセージをけ取った。
「久々ね。どんなスキルなのかしら」
「……もしかして、ユニークスキルかな!」
「う~ん、殘念ながら違うみたいだけど……でも結構強いスキルよ?」
【闘魂・極】
武を裝備していない時に発可能。3分間、筋力と魔力の數値が倍になる。
《手條件》
武を使わずに1000のモンスターを討伐。
ヨハンは防のカオスアポカリプスによって、頭、、右手左手、足の全ての裝備スロットが埋まっている。なので、現狀のまま筋力と魔力を倍にすることができるようになったというわけだ。単純に火力が二倍。恐ろしい話である。
「……偶に素手で戦っている人を見るけど、このスキルで戦ってたんだ。なるほどね」
と頷くレンマ。ちなみにレンマの著ているゴリラの著ぐるみ、通稱【ゴリラアーマー】も防力に特化した全防であるため、【闘魂・極】の発條件を満たしている。だが単純にモンスターの討伐數がないため、まだ覚えられていないのだろう。やがてこのスキルをマスターすれば、守備と攻撃を切り替えるスイッチゴリラとしての活躍が見込めるはずである。
「さて、ゼッカちゃんにいい土産話もできたし、そろそろ戻りましょうか」
「……うん。貴方が、むならキリッ」
「もうやめてー」
「……うふふ、お姉ちゃん、面白い」
(ちょっとはレンマちゃんと打ち解けられたかしら? ってみて良かったわ……それに、楽しかった)
楽しかった今日の戦いを振り返りながら、二人はイベントエリアから撤収した。
こうしてアイドルスターズコラボイベントは幕を閉じた。ユニーク裝備こそ手にらなかったが、ゼッカ、レンマという友人を得たヨハンは、VRMMOの魅力を、また一つ知ったのだった。
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☆2022.7.21 ミーティアノベルス様より電子書籍化して頂きました。 「婚約を破棄致します」 庭園の東屋で、フローラは婚約者に婚約破棄を告げる。 ほんの二週間前、「婚約破棄してみようかしら」などと口にしたのは、退屈しのぎのほんの戯れだったはずなのに――。 末っ子の第四王女フローラは、お菓子と戀愛小説が大好きな十五歳。幼い頃からの婚約者である公爵家の嫡男ユリウスを、兄のように慕っている。婚約は穏やかに続いていくはずだった。けれど、ユリウスが留學先から美しい令嬢を伴って帰國したその日から、フローラを取り巻く世界は変わってしまったのだった――。 これは、戀を知らない王女と不器用な婚約者の、初めての戀のお話。 *本編完結済み(全20話)。 *番外編「婚約者は異國の地にて王女を想う」(全3話)はユリウス視點の前日譚。 *番外編「『綺麗』と言われたい王女と『可愛い』と言いたい婚約者」(全3話)は本編から約2ヶ月後のフローラとユリウスを描いた後日譚です。
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