《【書籍二巻6月10日発売‼】お前のような初心者がいるか! 不遇職『召喚師』なのにラスボスと言われているそうです【Web版】》第24話 最強の召喚獣

京言葉のキャラクター萌故、出したくて頑張ったんですが、難しかったです。何かおかしい場所があったら教えてくれると嬉しいです。

二日目。

午前中に鉄壁の森を探索していたヨハン達は、ボスモンスターを倒すことで新しいレアアイテムをドロップした。

【守護者の腕】裝飾品

に+40

三人で相談した結果、これはレンマに上げようと言うことになった。その為か、レンマはご機嫌だった。

「嬉しそうねぇレンマちゃん」

「白いゴリラの著ぐるみが小躍りしてるの、絵面として面白すぎますね」

そんな二人の言葉に、レンマはにっこり顔で振り返る。

「……レアアイテムも嬉しいけどさ。ボクはさっきのボス戦で、三人の心が一つになった気がして、嬉しかったんだ」

「きっと昨日の夜、三人で語り合ったからですよ!」

「……そうかも。好きなアニメの事を知れば、人となりがわかるって言うし」

(そうなの?)

と首を傾げるヨハン。だが、ヨハン自も先ほどの戦いには手応えをじていた。三人の長所が上手くかみ合ったような、そんな覚。

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「私、このパーティ楽しいです!」

「……ボクも。今までソロだったけど、友達が出來るだけでこんなに楽しいなんて」

「友達ねぇ……この歳だと、ちょっとくすぐったいわね」

「何言ってるんですかヨハンさん! 友に年齢は関係ないですよ!」

「……その通り」

「貴方たち……」

なんて可い子達なのかしらと、何かイケナイのタガが外れそうになるヨハン。それを必死に友の力で押さえ込む。

そんなやり取りを繰り返していたとき。

「あ、あれ!」

「メテオバードですねぇ」

メテオバードが空を旋回していた。メテオバード。バーチャルモンスターズコラボイベントで手にる、期間限定召喚獣。とはいえ、8種からランダムで配られる仕様上、誰でも持っていて不思議ではない。だが。

「あれ、私たちをってますよね」

こちらを認識したメテオバードの羽のきは、まるで手招きをしているようだった。そしてメテオバードがう先には……。

「あれは幻蝶(げんちょう)の森……」

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不穏な口調でゼッカが呟く。その森は木々が紫で照らされていて、非常に幻想的だ。

「綺麗ねぇ」

「……うん。ファンタジーだ。でも多分、罠だよ?」

「もしかして、昨日の人達の仲間かしら」

「違うとは言い切れませんね」

だが目の前の幻蝶の森。その並々ならぬ雰囲気に、否応にも三人のは高鳴る。明らかに何かレアなアイテムが手にりそうな雰囲気がある。

「……行こうよ。もし何かの罠でも、ボクがみんなを守るから」

意外にも行こうと言い出したのは、レンマだった。ヨハンとゼッカは顔を見合わせると、うんと頷く。いつになく積極的なレンマの言葉が嬉しかったのだろう。三人は警戒レベルを上げながら、幻蝶の森へと足を進めた。

***

幻蝶の森。フィールドの木々のグラフィックは他の森の使い回しといった所か。だが空中をほわほわと浮かんでいる紫ピンクのパーティクル、そしてヒラヒラと舞う蝶のエフェクトが、どこか異世界に迷い込んでしまったような、そんな気持ちにさせてくれる。

いつしか警戒心も薄れ、この景を楽しみながら進むヨハン達。そして森の奧へったところで、一人のプレイヤーが待ち構えていた。

「よう來はりましたなぁ。待っとりましたえ、魔王はん」

京都弁で話しかけてくるプレイヤーの名は【コン】。Lv50で職業は召喚師。

はらりと揺れる白い髪。白いの上から黒いシャツとスリットりの黒いタイトスカート、さらにその上から白いライダースジャケットを著込んでいて、黒と白のコントラストがしい。

こちらを見つめる切れ長の瞳も相まって、まるでハリウッド映畫に出てくる有能なキャラクターのようでもある。そして、そんなとっつきにくい雰囲気を、茶目っ気たっぷりの狐の耳と尾の裝飾品で相殺している。

「人違いじゃないかしら?」

「いややなぁ。うちは人違いなんてしておらへん。ヨハンはんっていうプレイヤーを待っとったんどす。うち、魔王はんのファンなんよ」

「え、じゃあ私、他の人達から魔王って呼ばれてるの!?」

ヨハンはショックをけた。そんなヨハンの様子を見てクスクスと笑うコン。

「それで? ヨハンさんを待ち伏せしていたのはわかりましたけど、何が理由なんですか?

戦い? それとも略奪?」

敵意むき出しのゼッカを怯えたようなジェスチャーで「嫌や、怖いわぁ」とからかうコン。その態度にゼッカの怒りのボルテージが上がる。

「……ゼッカ。相手のペースに飲まれちゃだめ……戦場では冷靜さを失ったヤツから死んでいくんだ」

「はっ! そうでした……危うく冷靜さを失うところでした。私は正気に戻りました。ありがとうございますレンマさん」

「……ふふ、いいってことだよ」

「あら、そっちのイエティはんには話が通じそうやわ」

「……っ!? これはゴリラだって言ってるだろ誰がイエティだ、潰すぞ!!」

「レンマさん、落ち著いて!」

二秒で冷靜さを欠く白ゴリラ。

「で、そろそろ本題にって貰えます?」

「かんにんしてな? あんさんらがおもしろいから、ついつい調子にのってしまうんよ」

ケタケタと笑うコンを見て、ヨハンは悪い人ではないのかもしれないと思う。前日のように襲撃されるのはごめんだが、こうしてファンだと言ってくれるのは、しくすぐったいくらいで、悪い気はしなかった。

「うちの目的はトレード」

「トレード」

「そうどす。うちの探しとるアイテムを魔王はんらが持っとったらでええんやけど」

三人は顔を見合わせる。トレードなら、いいかと。

「とりあえず教えてください。持ってなければ話になりませんから」

「それもそうやね。と言うても、うちもアイテム名は知らへんのよ」

「はぁ?」

ゼッカが聲をあげた。自分が探しているアイテムの名前を知らない……そんな話があるのかと?

「そう驚くことでもあらしまへん。何せ、このトレジャーイベントには、第三層で実裝されるいう新アイテムが先行実裝されているいう噂やきに」

「アイテムの先行実裝……?」

「そうどす。な? 名前を知らへんのも納得ですやろ?」

「確かに……」

そんな報はゼッカでも知らなかった。てっきり過去に配布されたレアアイテムや、誰にも見つからないままだったユニークアイテムの復刻イベントだと思っていたからだ。

「なんでも既存の裝備やアイテムの能力を拡張させる事が出來るゆう話やけど。その様子やと、知らへんみたいやね」

さしてがっかりした様子もないコン。

「ええ。先行実裝の話自、初耳でしたから」

「そうどすか。魔王はんらも持ってはらへんいうことは、ガセやったんかな」

「そうだと思いますよ?」

「殘念やわ」

言うほど、殘念そうでもない。コンは「ほなまたどこかで」と小さく手を振りながら、ゼッカ達が來た方向へと向かっていく。

「奧へは行かないんですか?」

「へぇ。この森の奧のイベント、そこで手にるアイテムはうちもう持っとるんよ」

「もう持ってる?」

「そうどす。この森の奧で手にるアイテムは、あの【プレレフア】の召喚石どす」

「!?」

コンがその召喚獣の名を口にした途端、ゼッカとレンマが固唾を飲んだ。

「え、知ってるの二人とも」

「……ボクでも流石に知ってるよ、プレレフア。有名だからね」

「魔王はんは知らへんみたいやね」

「まぁ、私初心者だからね」

「ふふ、冗談キツいわ~……って、ええ? 何なん周りの反応。本當に初心者なん?」

始めて一ヶ月半の初心者である。

「で、プレレフアっていうのは?」

「プレレフアいうんはな、最強の召喚獣のことどす。ほうら」

と言って、コンはヨハンに召喚石を手渡した。明なクリスタルの中には、妖のようなモンスターがっている。

「最強って……可いじゃない」

「見た目は可らしいんよ」

【中級召喚獣】プレレフア。サポート型の召喚獣として実裝された、蝶の羽を持った妖型のモンスターだ。

「見た目だけは可いです。ですが兇悪なのはスキル。三つのスキル全てが兇悪なんですが、特に第二スキル【フラワー・オブ・ライフ】。支援スキルで、この効果をけた対象は、一定時間、魔力の數値が三倍になります」

「確かに強いけど……そんなに?」

「なぁゼッカはん。魔王はんってもしかしたら、あの事件の事知らへんのんちゃうん?」

「そうでした。ヨハンさんが初ログインしたのは、あの事件の半月後でしたね」

「事件?」

ゼッカは語る。

ヨハンがログインする半月前にあった、召喚師(サモナー)大幅弱化アップデートの事を。

「召喚師が一度に召喚できる召喚獣の數は一まで。この仕様は、実はこのアップデートで追加されたものなんです」

「ええ、じゃあそれまでは?」

「MPが続く限り、どんどんモンスターを呼び出せました」

ヨハンはここで思い至る。

「あ、もしかして」

「そうです。MP消費を一度だけ肩代わりする事の出來る【アンゴルモア鉱石】を使って一度に10のプレレフアを召喚」

「フラワー・オブ・ライフを全部自分に使うて魔力の數値を30倍に上げる。サモナー5人おらはったら150倍。後は初級火魔法をボン! 簡単なお仕事やわ」

「……今のはメラじゃない。メラゾーマだ! ってじだよ」

「逆やわ……それやと大魔王はん、めっちゃショボくなりはるで?」

どんなクエストやボスが來ても、サモナーが5人居ればクリア出來る。そんな狀態が続いてしまったある日、事件が起きた。それが召喚師大幅弱化アップデートである。

同時に扱える召喚獣は一まで。そしてプレレフアは1プレイヤーにつき一つまでしか所持できないという制限が掛けられた。

「それ、サモナーの人達怒らなかったの?」

「怒りましたよ。でもそれ以上に他の職業の人達が大喜びしたんです」

「あの頃のサモナーは調子に乗っとったさかいね。ヘイト集めてはったんよ」

當然殆どのサモナーは引退。現在もサモナーを続けているのはごく一部である。噂ではアクティブ一桁とか。そんな事件の後もサモナーを続けているごく一部のプレイヤーであるコンも、何か思うところがあるのだろうか。ふと思い立ったように、歩き出す。

「ちょっと喋り過ぎてしもうたわ。ほな、うちはこれで」

そう言って立ち去るコン。そして去り際に。

「最強のプレレフアを手にれたら、魔王はんのプレイスタイルが変わってしまはるのか、うち心配やわぁ」

そうクスクス笑いながら、コンは森の向こうへと消えていった。

***

「嫌な人ですね、あの人」

森の奧。プレレフア手イベントのある場所を目指しながら幻蝶の森を進むヨハン達。

「プレイスタイルが変わるって、どういう事かしら」

ヨハンが訪ねると、それにゼッカが答える。

「GOOは自由度が高いですから、當然こだわりを持ってプレイしている人が多いです。自分の考えた方法で最強を目指すとか。けど、強い裝備を手にれてしまうと、揺らぐんですよ、その思いが」

「……そりゃそうだよね。だって自分なりの方法で勝つ道を模索するより、簡単に勝てる力が手にったんだから」

「コンさんはヨハンさんのファンを自稱してましたし、プレレフアを手にれたヨハンさんが変わってしまうのを恐れたのかも。言い方は気にりませんでしたが」

コンの言葉を真にけたのか、し心配そうな表をするゼッカ。これまで強い裝備を手にれて、変わってしまったプレイヤーを多く見てきたゼッカだからこそ、恐れていた。

「大丈夫よ安心して。私は変わらないわ」

「……確かにお姉ちゃんが最強の召喚獣を手にれたとして……バチモンよりそれを優先している姿は想像できないね」

「言われてみればそうですね」

最早(もはや)最後に呼ばれたのがいつだったかわからない階層ボス【クワガイガー】に思いを馳せる二人。あれだって無雙出來るほどの大きな戦力だ。にもかかわらず、中級召喚獣を使えるようになってからは殆ど召喚されていない。

何故だろうか。今後ヨハンはどんなに強い召喚獣を手にれても。ぶっ壊れな能の召喚獣を手にれたとしても。それをバチモンより優先することは決して無いという厚い信頼が二人にはあった。

「杞憂でしたね」

「……うん、時間の無駄だった」

「さっさと手にれて、次の森を目指しましょう」

ヨハンは決してブレないだろう。安心した二人とヨハンは、最強の召喚獣プレレフアを求めて幻蝶の森を進む。

ついにVRゲームの月間ランキング上位に食い込むことが出來ました。応援してくださった皆様のおです。本當にありがとうございます。

また、総合日刊ランキングでも、ここ數日10位代を上下しつつとどまっております。重ねて皆さまに謝を!

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