《【書籍二巻6月10日発売‼】お前のような初心者がいるか! 不遇職『召喚師』なのにラスボスと言われているそうです【Web版】》第25話 妖王の試練
幻蝶の森の最深部に、神殿のような場所があった。蝶の幻影が舞う神殿の周りは魔法陣のような水路があり、中央部には玉座が置かれている。
ヨハン達が近づくと、幻影の蝶達が集結し、やがて人型となり、煌びやかな裝にを包んだ老人が姿を現した。
「良く來た。我は妖王。そしてここは、妖郷とこの世界をつなぐ境目」
妖王と名乗った老人は、耳がエルフのように尖っており、白いはの加減でプリズムのように輝いて見える。
「旅人よ、我が試練をけるがよい。もしこの試練を突破することが出來たなら、蝶の霊を授けようぞ」
『イベントクエスト【妖王の試練】が開始されました』
「始まったわね」
「ええ、戦いでしょうか?」
好戦的な笑みを浮かべ背中の剣に手をばすゼッカ。
「待て旅の者達よ。我は爭いを好まぬ。お主達には、我が用意した謎に挑んで貰う」
「……謎か」
「今までやったことの無いタイプのクエストだわ」
ヨハンは困ったように首を傾げる。
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「ここは私に任せてくださいヨハンさん。私、謎解きとか得意なんですよ! 何せ、IQ100なんで!」
「「は?」」
ドヤ顔のゼッカに疑問を浮かべるヨハンとレンマ。一この子はIQ100の何を誇っているのだろう。
「IQ100って」
「……中の中だよゼッカ」
「え……あれって100點満點じゃないんですか?」
ゼッカの顔がみるみる赤く染まる。アニメが好きならIQ200の天才! なんてキャラを見かけそうなだが、どうやら今まで気が付かないで生きてきたらしい。
「ではIQ100の天才よ。我が試練をけてみよ!」
「なんか妖王さんまでイジってくるんですけど!?」
「では第一問!」
妖王の頭上に畫面が表示され、そこに問題が5つ書かれている。
「……何かと思えば、試練ってクイズなの?」
「もっと高度な謎解きとか、パズルみたいなものを想像していたんだけど」
とは言っても、書いてある問題はジェネシス・オメガ・オンラインに関するクイズで、なかなかの難易度を誇る。ちなみにヨハンには一つもわからなかった。
「どうしましょうか」
「……」
ヨハンが首を傾げていると、ゼッカが一歩前に出て、口を開く。
「1、スライム。2、5つ。3、マスターソード。4、王様。5、この蟲野郎!!」
「全問正解である」
どうやら、問題の答えを順番に答えたようである。ゼッカは正解した事に心ほっとすると、振り返ってガッツポーズを決める。
「どーですか! GOOの知識なら誰にも負けませんよ!」
「ゼッカちゃん凄いわ」
「……やるね」
「流石IQ100じゃわい」
「妖王さんもう許してくださいって」
これにて第一の試練を突破。そして、第二の試練が始まる。
「次のクイズでは、お主達の絆が試される」
「ついにクイズって言っちゃいましたよこの人」
「この試練では3問中2問正解すればオーケー。但し、問題によっては回答権の無いプレイヤーが居る。注意じゃぞ」
三人が息を飲む。
「では第1問」
『プレイヤーヨハンが今まで付き合った男の人數は何人でしょう?』
「ちょっと待て」
妖王のクイズにもの申すヨハン。
「おかしいでしょ! え? 待って、答え知ってるの?」
「知らん。正解かどうかは他のプレイヤーが答えた後、本人から発表してもらう」
「ああそういう事ね。それなら安心だわ……って全然良くない!」
「ちなみに仲間を勝たせようと正解だと噓をついても、それはバレるので注意じゃ」
「ううう……難しいですね」
「……お姉ちゃんはの私から見ても魅力的……男達が放っておく筈がない……」
「その通りです。10……いや、20は超えているのでは?」
「……三桁もありうる」
「うそぉ……意外に二人とも真剣に考えてる……」
その後も二人は真剣に考えたが、どうやら答えが見つからなかったらしい。祈るようなポーズで答えを口にした。
「「5人!」」
「だ、そうじゃが? お? どうなんじゃプレイヤーヨハンよ?」
(妖王ウザいわね)
ヨハンは何も言わず、両腕で×を作る。
「不正解じゃ!」
「すみません……ヨハンさん」
「別にいいのよ。そういう話はしなかったしね」
「……ちなみに教えてしい。5人以上なのか、5人以下なのか」
「我も知りたいのう」
「妖王、し黙ってろ」
「ええと……5人以下よ」///
(っていうか、本當は男と付き合った事とか無いんだけど……)///
中高子校だったので仕方が無いと言ったところか。
「さて、それじゃあテンションも上がってきたところで、次の問題に行っちゃうぞい!」
「この妖王(ジジイ)、なんか最初とキャラ違くないですか?」
だんだんハッチャケ始めた妖王のテンションに引きつつ、次の問題を待つ。
「では第二問」
『プレイヤーゼッカの持っている下著ので、一番多いは何でしょう』
「セクハラじゃねーか!!」
「はーキレそうです……」
ゼッカの目が據わっている。早くこのイベントをクリアして、ここを去る必要がありそうだった。
【ダークエルフの拷問】といい、運営の脳が心配になるイベントだった。
「でも問題だしね……真面目に考えましょう」
「……そうだね。ゼッカの自慢の裝備から予想してみよう……」
ゼッカの裝備を改めて見てみる。
ベースは【ファントムミラージュ】という、黒いレオタードのような服。そして足には【ファントムブーツ】という黒い防付きのブーツ。さらに肩にはマントのように黒いコートを裝備していて……。
「答えは黒かしらね……?」
「だ、そうじゃが? どうなんじゃ? 何の下著が一番多いんじゃ?」
「黒……正解ですよ。流石ヨハンさん」
「そう……なんか、ごめんなさいね」
「いえいいんです。私は私服も、下著も、靴下も制服も全部黒しか持ってませんから」
人を殺しそうな程ドス黒く虛ろな目で妖王を見つめながらゼッカは言った。
気まずい空気が流れる。男プレイヤー同士なら、結構盛り上がるイベントなのかもしれなかったが、子パーティでここまでゲスな問題を出されると、逆に空気が悪くなる。
「それじゃ、最終問題じゃ。行ってみよー」
『プレイヤーレンマの一番大好きな食べは?』
「私たちの時と問題の質が違くないですか!?」
「セクハラ神はどこへ行ったの!?」
「え、だってレンマは15歳以下だし? 子供にそんな質問出したら、かわいそうじゃろ? あれ、それとも15歳以下のの子にセクハラしちゃってもいいわけ? お主たちの倫理観、どうなってるの?」
((腹立つ~!!))
「ホレ、さっさと答えんか」
「……う~ん。ボクの好きな食べか~ちょっと難しいかもしれないねぇ」
著ぐるみゴリラがし恥ずかしそうに後頭部を掻く。ヨハンとゼッカの二人は顔を見合わせると、口を揃えて答えを言った。
「「バナナ」」
「答えは?」
「……正解だよ! よくわかったね二人とも!」
「ええ……まぁ……その」
「私たちとレンマちゃんの仲じゃない!」
「よくぞ二つの試練を突破した。続けて、最終試練じゃ。この最終試練こそ、最後にして最大の試練。お主達のプレイヤーとしての腕が試される。その容とは……」
『最終試練。妖王を倒し、その力を示せ』
どうやら最終試練は、妖王とのバトルらしい。
「ヨハンさん、私今、目の前の敵をこの手で倒せることが、嬉しくて堪りません!」
「私もよゼッカちゃん。うふふ……楽しいバトルになりそうね」
「言っておくが我はかなり強いぞ……ん? どうしたんじゃ? なんでそんなに嬉しそうなんじゃ? え……ちょっ……待」
……。
……。
その後行われたのは、戦いではなかった。強者が弱者の尊厳を奪い、徹底的に弄ぶ、只の殺だったという。
かくして、ヨハン達は最強の召喚獣【プレレフア】の召喚石を手した。
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