《【書籍二巻6月10日発売‼】お前のような初心者がいるか! 不遇職『召喚師』なのにラスボスと言われているそうです【Web版】》第179話 アンノウンの正
お久しぶりです。生きてました!
「お疲れ様。いい勝負だったわね☆」
第二試合を終えて観客席に戻ったコンと滅をドナルドたち竜の雛のメンバーが出迎えた。
「相変わらずわかりやすいなぁ」
「捜す手間が省けてよいではないですか」
コンの言う通り、ぎゅうぎゅうに賑わっている観客席においても、竜の雛が陣取る周囲には、他のプレイヤーたちはいない。
「もうしこっちに來てくれてもいいのにねぇ☆」
何故なのかしら? と首を傾げつつ、ドナルドはポテトを頬張った。コンはドナルドの隣に腰掛けると、バトルフィールドを見下ろす。
「まだ始まってへんのやね」
「……第三試合は20分置いてからやるらしいよ」
「なんや、それなら別にゆっくりでよかったなぁ」
「……次の対戦、気になるの?」
「試合の容よりは、スタープレイヤーの正が気になるんよ」
「……ああ」
第三試合の組み合わせは、プレイヤー側からは神聖エリュシオン教団のダルク&ライル。
スタープレイヤーはアンノウンと、正を伏せられている。
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「イケメン俳優とかやと盛り上がるんやけど」
「そうねぇ。ジョニーズとかだとテンションとか、他にもイロイロ上がっちゃうわ☆」
「そんな有名なヤツらなら、最初から正明かしてるんじゃないか?」
コン、ドナルド、レンマの會話に、遅れてやってきたオウガが加わる。
「アラ、もうお化け屋敷の準備はいいのかしら☆」
「うっす。大終わって、明日から本格スタートです。他のみんなも後で來ると思うっす」
「へぇ~」
「……。なんすか?」
そんなオウガをニヤニヤとした目で見つめながら、心の底から楽しそうにコンが言った。
「ウチらの応援にはきいひんかったのに……ゼッカちゃんの応援には間に合うんやねぇ?」
「いやだから、お化け屋敷の準備してて……」
「へぇ……うふふ。そうなんやね」
「めんどくせえなこの人!?」
などとやっているに、時間は過ぎて。
いよいよ、試合開始の時間となる。
黒いフードで全を覆い隠した男2人が場してくる。會場全が期待に包まれるのがわかっる
運営は一どんなサプライズを用意しているのだろう?
オーロラビジョンにも、配信でこの様子を観戦している者達の正予想コメントで溢れていた。
會場全が見守る中、アンノウンたちがフードに手をかけ……ばっと取り払った。
『なんとおおおおお! アンノウンの正はアメリカのプロゲーマー【マイク】と【ボブ】だああああああ!!』
アナウンサーの興した聲が響く。スタジアムには、プロゲーマーというよりは軍人と言われた方がまだ納得ができる、屈強な男二人が立っている。
そして。
會場に居る誰もが、この瞬間、こう思った。
「いや誰?」
――と。
***
***
***
遡ること一ヶ月前。
某アメリカの某州の地下施設。
薄暗い教室のような場所に集められた屈強な男たちを前に、一人の老人がプロジェクターに映し出された容を説明している。
彼らは『5G's』と呼ばれるプロゲーマー集団である。だが、彼らが表彰臺に上り栄を摑むことは決してない。
彼らは決して表に立ってはいけない闇のプロゲーマーなのだ。その仕事はゲーム大會の勝利者をコントロールすること。
ゲーム大會は表向きはイイスポーツなどと呼ばれクリーンなイメージがつきまとうがその実、裏での賭け……ギャンブルでり立っている。
そのため、主催者は勝ち上がらせるものをコントロールする必要があるのだ。
そんなときに使われるのが彼らである。
彼らは主催者が負けてしい相手を倒し、主催者が勝ってしいプレイヤーに負けることが出來る腕の持ち主なのだ。
そんな彼らに、日本のビッグ企業神永からお呼びが掛かった。その目的は大會の勝敗のコントロール。一般プレイヤーを蹴落としスタープレイヤーを勝ち上がらせるため、江良Pがアンノウンとして呼び寄せたのが彼らだったのだ。
そして今、日本行きのメンバーを決める選抜を兼ねた講習會が行われている。彼らのボスが直々に日本の文化や歴史を教えているのだ。
プロジェクターに映し出されたのは日本の歴史、文化、そしてVRMMOのり立ちだった。
「……このように日本人の発想力は時として我々の想像を大きく超えてくる。日本が初めてアニメや漫畫、ゲームを作り始めたのは江戸時代初期と言われている。その頃から日本には【自己責任】や【同調圧力】を始めとした文化が濃く付いていた。つまり日本人は常に死と隣り合わせ。日々プレッシャーに曬されながら日々を生きている。そんな張狀態から解放されたいという思いで、こういった文化を育ててきたのだろう。なんせ21世紀となった今でも一日に30人以上が【ハラキリ】で亡くなっているというのだから驚きだ」
「ヒュ~」
「クレイジー」
「そう。彼ら日本人は勤勉で真面目で……どこか狂っている。人口の約8割が【HENTAI】と呼ばれていることからも日本人がどれだけヤベー連中かということが理解できるだろう。そして何より恐ろしいのは……【HENTAI】は他者へ染するということだ。そう……あれは確か20年前のことだった。仕事で日本へ行った私のフィアンセが居たのだがね」
ボスの顔が悲しみに染まる。
「連絡が途絶えた。仕事は続けていたようだが……そして一ヶ月後、私の元へビデオレターが屆いた。そこに映っていたのは変わり果てた彼の姿だった。絹のようだったブロンドの髪は油でギトギトだった。私が好きだったサファイアのような目は死んだ魚の目のように濁っていた。ブランドしか著ないと豪語していたにもかかわらず服裝はアニメのキャラクターの顔がプリントされた糞ダセーTシャツに変わっていた正直見るに耐えなかった。私が好きだった小鳥の囀りのようだった聲で『アスキラテェテェ』などと訳のわからない呪文を唱えていた。背景には男のキャラクター同士がで抱き合う本が大量に並べられていた。本當におぞましい景だった。そして悔しいのは私と一緒に居たときよりも幸せそうな顔をしていたことだよ。私はね、今でもあの時の悪夢に魘される。私のフィアンセは日本に行って変わってしまった」
「……OH」
「マジかよベイベー」
「クレイジージャパニーズ!?」
「さて話を本題に移そう。日本のビッグ企業【神永】からの依頼だ。人數は2名。報酬はめっちゃ凄い。だが先ほど話したように日本はマジでヤベーところだ。戦場より危険かもしれない。最悪君たちが君たちでなくなってしまう可能だってある。つまり……死を覚悟してもらう必要があるということだ」
ボスの聲が低くなる。脅し……ではない。命を捨てる覚悟のある者に立候補してもらいたいのだ。
「おいどうする?」
「ジャパンの萌えに興味あるが」
「【HENTAI】の仲間りはゴメンだぜ」
ざわめくプロゲーマーたち。だが、そんな中靜かに手を上げる人が二人。
「おおマイク。それにボブ! 行ってくれるのか!」
「當然だぜボス」
「イキったニッポンジンたちをフルボッコにしてやるぜ」
「ふむ。では君たちにはこれから【対HENTAIワクチン】の摂取とプログラムの実施を……」
「おっと必要ないぜボス」
「ああ。以前日本のゲーマーと対戦したことがあるが……たいしたことなかったよ」
「いやでも君たち……あの」
「わかってるってボス。クライアントの意向には従うさ」
「適當に準決勝辺りで負けてくる。まっ、簡単な仕事さ」
「なぁボブ。仕事が終わったら日本の寺を巡らないか?」
「いいねぇ……GEISYAやJKとも遊びたいぜ!」
もう仕事の後の観の話題で盛り上がるマイクとボブ。
「あーこういうの日本語でなんて言ったっけ……ああそうだ思い出した。【フラグ】……」
そんなボスの言葉が二人に屆くことはなかった。
想復活させました。
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