《【書籍二巻6月10日発売‼】お前のような初心者がいるか! 不遇職『召喚師』なのにラスボスと言われているそうです【Web版】》第186話 メイちゃんを怒らせてはいけない

メイちゃんはクラスで問題が起こった時、迷うことなく先生に報告するタイプです。

オウガたちがガルドモールたちの接客をしている頃。

4Fではトラブルが起きていた。

「にゃごおおおお! お化けだぞ~」

三人組の客を脅かす、化け貓に扮した小學生。

「ショボ、おもんな」

「所詮キッズか」

「飽きてきたわ」

「うっ……うっ……」

中學生ほどの三人組の態度に、化け貓に扮していた小學生プレイヤーは心を折られたのか、涙ぐんでしまう。

「飽きてきたし……そろそろ狩るか」

そして、そのの一人が手に剣を握る。

「お、お客さん? ここでは武の裝備は止で――」

「関係ねぇよ――【ファイナルセイバー】!!」

「きゃああああああ!?」

中學生プレイヤーの一人が攻撃スキルを発した。

化け貓に扮していた小學生プレイヤーはその攻撃でHPを失い、消滅してしまう。

仮裝していたため、戦闘用の裝備をしていなかったので、無理もないと言ったところか。

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「こら君たち……何をやって――」

「うるせよっ――【ゲイボルク】!!」

「ぐあああああああ」

そして、次に中學生たちは騒ぎを聞きつけてやってきた別の客にも攻撃を始めた。

「コラー! 何やってるの! 戦闘行為は止だよ!」

騒ぎを聞きつけたメイたちがやってくる。

そして、4Fの慘狀を見て思わず顔をしかめた。

中學生たちの攻撃によって脆かった壁にが空き、裝も滅茶苦茶になってしまったからだ。

激怒した様子のメイを見て、中學生たちは煽るような表をつくる。

「はぁ? 戦闘止? なんで?」

「そもそも街の中じゃ戦闘できないでしょー……って、あれ?」

「ようやく気が付いたか」

デュエルシステムを使わない限り、街の中では戦闘行為はできない。そもそも振り回した剣を當てたところでダメージを負うことはない。

それは、この廃病院の中でも同じだった。

はずなのだが。

「よくわからねぇが昨日から街中でも相手プレイヤーを攻撃できるようになったのさ」

「だから目障りなお前等の邪魔をしに來たって訳だ」

どうやらシステムの不合で、町中での攻撃でダメージを與えられるようになってしまったらしい。

それを発見した中學生たちは、自分たちと同じお化け屋敷をやっている、この廃病院へやってきたのだ。

「だからって、こんな酷いこと……」

「酷い?」

「システムでできるんだからやってオッケー」

「そもそも俺たちがお化け屋敷をやってるのに、目の前で真似し始めたお前たちが悪い」

「糞が……こうなったら俺たちも!」

「ああ、ぶっ飛ばしてやる」

遅れて駆けつけてきた小學生たちは、怒りをわに武を取る。

「駄目!」

それをメイが制した。

運営から與えられた廃病院のステージは脆い。クロスがぶつかったら壊れるほどに。ボロく加工できるよう、敢えて攻撃のダメージが通るようにしていたからだ。

だがそれが今、完全に裏目に出ている。

集団でのガチバトルに発展すれば、もう後戻りできないくらい滅茶苦茶になるだろう。

怒りにを震わせながらも、メイは冷靜な判斷を下した。

だがそれを中學生たちが理解することもなく。

「おー可いね」

「ブルっちゃって……やっぱキッズだな」

「最初から大人しくしとけばいいんだよ。ホラ」

勝ち誇った中學生は、ストレージから何かを取り出すと、それを地面にバラ撒いた。

メイが地面に落ちたそれに目をやると、どうやら中學生たちの企畫したお化け屋敷のチケットのようである。

「みんなで來いよ」

「俺たちのお化け屋敷見てしは勉強しろ」

「じゃあなキッズ共」

「……」

ぎゃはははと笑いながら去って行く中學生たちの後ろ姿をメイは黙って見送っていた。

***

***

***

「ふざけんなあああああああ!!」

數分後。

一時的に閉鎖となった廃病院の4Fに、事を聞いたパンチョの怒りの聲が木霊した。

「大人げないな……」

若干引いた様子でオウガも呟く。

やられてしまった化け貓の格好をした小學生が泣きながら「ごめんねごめんね」と謝っていたが、それをみんなで勵ます。

悪いのはアイツらだと。

「酷いよね……」

「せっかく楽しくやってたのに……」

と、他の小學生たちもしょんぼり気味だ。

そんな中、黙々と裝備を固める者が現れる。

「え?」

「クロスくん……何してるの?」

「何って……逆襲だよ」

自慢のユニーク裝備を手に持ちながら、にこやかに笑うクロス。表こそ穏やかだが、その瞳は怒りに燃えていた。

あまり手伝ってはいないクロスだが、夏休みのみんなの頑張りを見ていて、何か思うところがあるのだろう。

「クロスくん……」

「しゃべってるだけで何も手伝ってなかったのに……」

「それなりに楽しんでたんだね……」

「當然さ。なぁにあんな雑魚ども、みんなで掛かれば一瞬さ」

「初めてお前と気が合ったな! 俺も賛だぜ!」

それに乗っかるパンチョ。

「だ、だよね……やっぱり許せないよ」

「先に手を出してきたのはあっちだし」

「中學生と戦うのはちょっと怖いけど」

「大丈夫、クロスくんあんなでも強いから!」

「みんな乗り気だな! よし、向かいの廃ホテル、更地にしてやるぜえええええ」

「「「「「おおおおおおおお」」」」

(これは……)

(ちょっと不味いな……)

よくない方向に団結したみんなを見て、オウガとゾーマはしだけ冷や汗をかく。

向こうが100%悪いのは間違いないとはいえ、この人數で攻め込めば、問題になる。

最悪、竜の雛の面々に迷をかけることになるかもしれない。

(さて、燃え上がったこいつらをどうやって諫めようか……ん?)

オウガとゾーマが何か上手くこの場を納められないかと思案していると。

「駄目だよみんな」

メイの強く靜かな聲が4Fに響いた。

「な、なんでだよ!」

「そうだよ……私たち何も悪くない!」

「あっちが先に始めた戦爭だろうが!!」

「先に妨害されたからやり返す。それじゃあの中學生たちと同レベルになっちゃう。だから駄目。私たちがやるべきことは、一刻も早くお化け屋敷を再開できるように修理すること。へんなバグのせいで困ってるって運営さんに報告することだよ」

きっぱりと言うメイ。凜とした表は先ほどの中學生たちとは比べものにならないほど大人びて見えた。

「け、けどさ……このままじゃ俺たちの怒りは収まらないぜ?」

「ああそうだとも。すくなくとも彼らには、何か罰があってしかるべきじゃないのかな?」

パンチョとクロスの言葉も、もっともだった。

二人の意見についてメイは「それは考えてある」と言って、中學生たちがバラ撒いていった、彼らのお化け屋敷のチケットを拾う。

「確かさっき……『みんなで來いよ』とかほざいてたよね……」ブツブツ

メイはブツブツ言いながらメニューを開くと、誰かに電話をかけたようだった。

「お……おい、誰に電話してるんだよ?」

「……」

「……なぁ」

「……」

メイは答えない。

――プルルルル。

――プルルルル。

――プルルルル。

――ガチャッ

『ハァイ、メイちゃん。何かワタシに用かしら☆』

――果たして電話の相手とは!?

先日、8つ目のレビューを頂きました。ありがとうございます嬉しいです!

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