《【書籍二巻6月10日発売‼】お前のような初心者がいるか! 不遇職『召喚師』なのにラスボスと言われているそうです【Web版】》第190話 パンドラのファイル
「ドナルド・スマイルと煙條P、四階に侵攻……!」
「止まりません……どうしましょうエリリンさん」
「ぐぬう……」
同士たちが次々と落していく様子を見て、思わず爪を噛むエリリン。
萬事休すか……そう思われたとき。
「俺たちに任せて貰えないか?」
「貴様らに?」
何やら自ありげにエリリンの肩を叩いたのは、この厄災を招いた犯人であるA、B、Cの三人だった。
エリリンはギロっと三人を睨むと、その自信の在処を問うた。
「まぁそれは」
「見てのお楽しみってことで」
「それじゃ、行ってくるぜい」
エリリンや周囲からの圧から逃げるように、A、B、Cは階段を降りていった。
「何が目的でしょう?」
「さぁな……。しかし」
「しかし?」
「こうなったのも全て彼奴らのせい。その命で、責任を果たしてくれればいいのだが」
「いやぁ……あのバカ三人じゃ無理だと思いますけど……」
「同……」
エリリンはため息をつくと、三人が配置についた部屋の映像を開く。
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「怖いな怖いな~」
ああは言ったものの、いざ死が目の前に迫り、怯えるA。
普段からイキってはいるものの、こういったところはまだ普通の中學生だった。
「しっ。靜かにしろ。そろそろ來るぞ」
「気合いをれろ」
「この慘劇はここで止める」
「やつらを退けたら、GOOでの俺らの知名度は大幅アップだぜ」
404號室、通稱【中腰の間】を擔當することになったA、B、Cの三人は、そろそろ現れるだろうドナルドたちを待ちけていた。
まるで削巖機でも使っているようにガタガタ震えるに気合いをれ、じっとその時を待つ。
目の前には高さ1メートルほどのトンネルがあり、その出口でゾンビの仮裝をした3人は待ち構える。
しゃがまなければ進めないトンネルにより、客の行を制限。行を制限することによって恐怖心を倍増させ、ドキドキさせながらトンネルを進ませる。
そして「出口だ!」と安心したところで脅かし、トドメとばかりに【神ゲージ】を削り切る。
それがコンセプトの最終セクションだった。
「おや、次はトンネルですか……高さは1メートルほど。しゃがんで進む他ないようですね」
「怖いわ~☆」
((((來た……!!))))
「しゃがみながら進むことで行を制限させる……」
「そんな狀態で脅かされたらたまらないわねぇ……あ、そうだ☆」
「何か閃いたのですか?」
「ええ。煙條ちゃん、人間は元々四足歩行だったって知っているかしら☆」
(なんだ?)
(何の話をしているんだ?)
揺する中學生たち。
それは煙條Pも同じだったようだ。
「赤ん坊のハイハイの話でしょうか」
「いいえ。その前。人間が人間になるずっと前の話よ☆」
「進化論の話でしょうか? 人間の前はサルのような生だったと記憶しておりますが」
「そのお猿さんのもっと前。小型哺類だったころの話よ☆」
「遡りまくりますね。それで、それが何なのでしょうか?」
「実はね、人間になっても、ワタシたちにはその頃の本能が殘っている……という説があるの。
人間は四足歩行をすることで、その時の野生の力を一時的に取り戻すことができるのよ☆」
「ほう……」
「さっきから彼奴ら何を言っているんだ?」ヒソヒソ
「意味がわからん」ヒソヒソ
「そもそも奴ら人間とは別の何かだろ」ヒソヒソ
「さも自分は人類みたいな言い方やめてしい」ヒソヒソ
「これから人間の……獣の本を解放するわ――変態(トランスフォーム)☆」
「うわ……」
「これがワタシのビーストモードよ。さぁ、行くわよ~☆」
ガサガサと、ドナルドが何らかの方法でトンネルを進行してくる音が聞こえてくる。
「待て待て待て! ビーストモードって何!?」ヒソヒソ
「わかんねーよ!」ヒソヒソ
「つーかさっきの會話全部意味不明だったろーが」ヒソヒソ
「お前ら集中しろ……來るぞ」ヒソヒソ
得の知れない何かの接近をじ、脅かす勢にる中學生たち。
だが、その心境は脅かす側とはまるで真逆。まるでお化け屋敷に行った時のように、どんな怖い目に合うのだろうか、怯えている。
「そろそろ出口かしら~☆」
「來るぞ」
「タイミングを合わせろ」
「よし、せーの……」
***
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***
目が覚めると、俺は自室のベッドで眠っていた。
VR機は外れているのか、天井が見えた。カーテンの隙間からが差している。どうやら、朝のようだった。
「あれ……お化け屋敷は……GOO夏祭りは……どうなったんだっけ?」
スマホで日付を確認する。すると、日付が変わっている。
おかしいな。
今日は頑張るぞって気合いをれて、エリリンに挨拶して。
そんでBやCと一緒に小學生共のところに行って……。
その後何かあったような気がするんだが……。
うっ……頭が……痛い。何も思い出せない。
その後のことを思い出そうとすると、砂嵐のような景が浮かんで眩暈がする。
「そうだ。畫像ログが殘ってるかも」
俺は何があったのか思い出したくて、VR機を手に取った。何かあった時のために、一定間隔でに目に見えた景を自スクショしているから、そこからヒントを得られるかもしれない。
昨日の日付の畫像フォルダを開こうと手をばしたとき。
ゾクっとした。
背筋が凍る覚。
一瞬、自分以外の世界の時間が止まったような覚があった。
「うん。なんかやめておいた方がいい気がする」
第六が。守護霊が。前世の魂が。未來の俺が。
総出で「見てはいけない」と俺を引き留めたような気がした。
「こういうのってあるんだな……」
「あつひこ~起きたの~? ご飯よ~」
ドアの向こう。一階の臺所から母親の聲が聞こえる。
隨分久しぶりに聞いた気がする母の聲。何故か、溫かい涙が頬を伝った。
「あれ……?」
聞き慣れた聲のハズなのに。何故か、とても安心している俺がいる。
「いま行くよ母さん!」
俺は扉を開く。
VRゲームにログインするのは、しばらく辭めておこう。
何故かそう思った。
そして。
「ん? スマホに著信? うわ……BとCからめっちゃ來てる……」
「あつひこ~?」
「ま、後ででいいか。朝飯朝飯」
***
あつひこことAはスマホをベッドの上に投げ出し、部屋を出ていった。
Aがすべてを思い出すのは、この日の深夜だった。
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これは、Aの畫像フォルダに記録されていた畫像である……。
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ドナルドの言っている説はデタラメですのでご注意を。
ただ、健康診斷の前にブリッジをすると背筋がびて長がちょっと盛れます。これはマジ!
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