《【書籍二巻6月10日発売‼】お前のような初心者がいるか! 不遇職『召喚師』なのにラスボスと言われているそうです【Web版】》第196話 hello!!

18:30。

エンディングレイドが開始されると、ヨハンとミュウはレイドエリアへと飛ばされる。

そこは宇宙ステーションの上のような場所だった。だが周囲は宇宙空間ではなく、真っ白い空間。しかも、ドーム狀に覆われている。

「うわぁ……なんですかここ? 宇宙ステーションみたいですけど?」

「正確に言うと宇宙ステーションのネットワークがバーチャル化された電脳空間ね。劇場版バーチャルモンスターのボスモンスター【デモンチュラス】は戦いの後、実は生き殘っていて、続編の映畫でも復活するわ。復活したデモンチュラスは人工衛星を掌握。地上に落下させ、地球全をバーチャルワールド化……バーチャライズしようとするの。そうすることによって、地球全を洗脳しり、遠い宇宙へと旅立とうとしたのね。ほら見てミュウちゃん。レイドの説明文には、戦いを生き殘ったデモンチュラスの殘黨を始末しようって書いてある。生き殘りが宇宙ステーションのネットワークエリアに逃げ延びたという設定を利用した殘黨狩りのような戦いだわ。本當に素晴らしいわね」

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「そ、そうなんですね」

フィールドが視界にるなり滅茶苦茶早口で喋り始めたヨハンから距離を取りつつ、ミュウは周囲を見回した。

(ゼッカは家族と用事だから居ないとして……それでも知っている顔がちらほら……)

「ヨハンさーん!」

などと思っていると、早速遠くからヨハン目掛けて駆けてくる影がひとつ。

亜麻の髪を控えめなツインテールにした小學生、メイだった。

「あらメイちゃん! バチモンコラボを遊んでいたのね!」

「はい! なんとかコンプリートできました!」

「うふふ、いいこいいこ」

「はう~」

「でも良かったのメイちゃん? みんなとメダモンコラボの方を回らなくて」

「はい。メダモンの方は……別に召喚師特化イベントってじではないですし」

「そうなんだ……」

「ヨハンさん、やはり來ていましたか」

そして、次に聲をかけてきたのは元最強のプレイヤーロランドだった。

黒い長髪を優雅になびかせ、笑顔を攜えやってきた。

「こんにちは、ロランドくん」

「こんにちは。時間が時間とはいえ、知っている顔がないですね。姿をお見掛けして安心しました」

この場に集まったのは30人ほど。

ヨハン、ミュウ、メイ、ロランド以外は見たことないプレイヤーたちだ。裝備の質やレベルから察するに夏祭りを期に始めたプレイヤーが多いようだ。

レベルは平均20程度、高くて30。レイドバトルも初めてなのか、どこかそわそわした様子でこちらを窺っている。

「メダモンに人が吸い寄せられているとはいえ、バチモンファンのヨハンさんとしては、この人數はし寂しいのでは?」

「そうかしら? さっきまで一人を覚悟していたし」

「流石ですねヨハンさん……」

20年來のマイナー作品ファンを舐めてはいけない。

「あ、あのう……」

そんな話をしているヨハンたちに、中學生くらいの子プレイヤーたちが話しかけてきた。

「どうしたの?」

「あの、私たちレイドバトルって初めてで……」

「皆さんの足を引っ張ったりしないか」

「不安でして……」

「い、今からでも抜けた方がいいですか!?」

ヨハンたち以外の全員が同じ不安を持っていたのか、気が付けば集まった全員がこちらを注目していた。

始めて一ヶ月にも満たない彼たちから見れば、ヨハンたちは相當やりこんだプレイヤーに見えるのだろう。

また、ゲームによっては足を引っ張れば厳しい言葉を投げかけるプレイヤーも居る。

ヨハンたちもそうなのでは? 自分たちも怒られてしまうのではと怖がっているのだ。

「どうして? 抜けなくていいわよ! 一緒に楽しみましょう」

ヨハンの言葉にロランド、ミュウ、メイも同意する。

「で……でも」

「全然わからないし……」

場違いだったのでは? とすっかり萎してしまったプレイヤーたちに、ロランドが明るい笑みを浮かべながら語りかける。

「皆さんはどうしてエンディングレイドバトルに參加したのでしょうか? 大勢のプレイヤーと楽しみたい。勝利の喜びを共有したい。そう思ったからではないのですか?」

ロランドの言葉に皆は頷く。

「私たちも同じ気持ちです。キャラクターのレベル差こそあれ、ここに上下関係は一切存在しません。ですから気楽に。協力プレイを楽しみましょう」

「そうよ。レイドバトルは一人じゃ勝てないし、何より楽しくないわ。私はみんなが來てくれてとっても嬉しいのよ」

ロランド、ヨハンの言葉を聞いた初心者プレイヤーたちの顔に生気が戻る。

そして、各々活気を取り戻していく。

「多分皆さん、タッグトーナメントエキシビションのヨハンさんとロランドさんの試合を知ってるんでしょうね……」

「有名人が來たから焦っちゃったんだね。もしかして場違いかも? って」

メイ、ミュウの言葉にロランドは頷く。

「レイド前にその認識を修正することができて良かった。せっかくの特別なボスとのバトル、萎していては勿ないですから」

「相変わらずですねロランドさん……」

どうやらロランドはボスとのバトルを楽しみにしていたようだ。

イベントではバチモン同士が戦いプレイヤーは指示を出すだけなので、直接戦うことはできない。

つまり、このエンディングレイドがボスと戦う最初で最後のチャンスとなるのだ。

『回復アイテム【データ修復フロッピー】×50がストレージに送られました』

突如メッセージが鳴り響く。

「ふろっぴい……って」

「何ですか?」

フロッピーという単語に首を傾げるミュウとメイ。

「そうか、若い二人は知らないのね……まぁ私も実際使ったことはないけど」

20代後半のヨハンでさえ、父親が買ったものが家にあるのを見たことがあるくらいだ。

「フロッピー……私も知りませんね」

「君もなのね……」

どうやらロランドも知らないらしい。

「あ、アイツだ!」

「ついに來た!」

ヨハンが今は亡きフロッピーについて思いを馳せていると、ついにボスモンスターが現れた。

『ケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラ』

の蜘蛛男を思わせるそのバチモンの名はデモンチュラス。

赤子に似た不快な鳴き聲を響かせる最悪のバチモンが姿を現したとき、レイド開始の合図が鳴り響いた。

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