《シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜》リアリティはクオリティに影響しないがその逆は別とする

『遙かな太古、神代と呼ばれる時代があった。』

ああ、プロローグ的なアレか。

『偉大なる神人達は後世に命を紡ぎ、その姿を消した。』

『時は流れ、神人の志継ぐ我々は彼らが願ったように地に広がり、そして大いなる命の流れを紡いでいく……』

…………。

『今を生きる我々は、歴史と跡の中に息づく過去の産から神人達の「スキップ。」プロローグをスキップしますか?』

「スキップ。」

取説で読んだよそこらへん。

問答無用でプロローグをスキップし、ついにフルダイブした意識に覚が到來する。長や格がリアルと異なるからかすべく周囲を見回すと……

そこは森だった……いや、知ってはいたんだが。出「彷徨う者」は他の出と違って初期スポーンが「ビギナー用エリアのどこか」であり自力で街に到著する、もしくはモンスターに倒される事で「夢オチ」という形で街中でリスポーンできるらしい。忌み子なんかは街の路地裏スタートらしいし、やけに凝った作りだとつくづく心させられる。

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「とりあえず現狀把握だな。」

ステータス畫面を開く。

————————————

PN:サンラク

LV:1

JOB:傭兵(二刀流使い)

9,000マーニ

HP(力):30

MP(魔力):10

STM (スタミナ):20

STR(筋力):10

DEX(用):15

AGI(敏捷):10

TEC(技量):15

VIT(耐久力):1(2)

LUC(幸運):30

スキル

・スピンスラッシュ

・ナックルラッシュ

裝備

左右:傭兵の雙刃

頭:凝視の鳥面(VIT+2)

:無し

腰:無し

足:無し

アクセサリー:無し

————————————

貫祿の紙裝甲、そして割りかし高めな幸運。変態と勇者の境界を征くほぼ半裝備に二刀流。

「もう迷わない、葛藤はキャラメイクに置いてきた……!!」

とりあえずこれからどうするべきか。裝備を整えるならなんでもいいからさっさと死んでリスポンすべきだろうが、とりあえず試しで戦闘をしてみるのもいいかもしれない。

「凄いな……がスムーズにく。」

こればっかりは開発時期の問題だが、フルダイブタイプのVR黎明期に作られたフェアクソは何というかきが々ぎこちなかったのだが、このゲームのアバターは極めてリアルに近いきができる。

確かゲームきがリアルに影響を出さないよう毎回ログアウト時に現実のと意識との同期システムがあるが、その必要がないとじるくらいに思い通りにくな。

「ギギッ!!」

「おっ」

栄えあるシャンフロ初戦闘の相手はファンタジーというジャンルにおいてドラゴンに匹敵するメジャーモンスター。

オトナしか見れないファンタジーだとやたら強くなる緑の醜悪な人形モンスター……

「ゴブリンか。」

「グギャギギッ!!」

ゴブリン……というかプレイヤーより小さめの人型モンスターは戦闘要素のあるゲームではほぼ確実に現れるタイプの敵MOBだ。當然クソゲーにもその手のモンスターは出るわけで、一瞬脳裏に全方位から無限湧きする人型モンスターの悪夢がよぎるが頭を振って追い払う。

「……ほっ。」

「ギャッ!?」

あまりに素直な挙で突っ込んできたゴブリンの突進をかわし、足を引っ掛ける。ゲームによっては武以外でれると問答無用で死ぬオワタ式なものもあったが、このゲームではぶつかる程度ではダメージ判定は出ないらしい。ただ理的な演算はしっかり働いているようで、足元を掬われたゴブリンが顔面から地面にすっ転ぶ。

「肋骨に対して……平行!!」

「ギャァァア!!?」

リアリティを増した分、描寫はともかくただ毆るだけではダメージが出ないのが今時のフルダイブアクションゲームだ。適當に毆るだけでダメージが出るクソゲーと、臓に至るまでガチで作り込んでいるためにちゃんと急所や耐久が存在するクソゲーとピンキリのため、一応試してみたがシャンフロはそこらへんしっかりと作り込んだ神ゲーのようだ。傷口からはではなく赤のポリゴンが飛び散り、どうやら一撃でHPを削りきったのかゴブリンは泡のようにポリゴンとなって分解、消滅した。

から剝ぎ取るタイプではなくドロップアイテムだけ落ちるタイプか、一時期リアルにしすぎて犯罪沙汰になった事件があったし、そこらへんの配慮だろう。

あの時は「ゲームが価値観を歪める」と反ゲーム派の批判が凄かったなぁ。何処ぞの知識人ぶったタレントが「娯楽に負ける教育しか出來ないなら子供なんて作るな、親も教師も小學校からやり直せ」なんて過激な発言をしたことでんなところにヤバいくらい飛び火しまくっていた記憶がある。

確かその頃はスリリング・ファームでトウモロコシを育ててたなぁ、全部巨大モンスターに踏み潰されてキレてたなぁ懐かしい。

「ドロップは……おっ。」

基本的に全てポリゴンになって消滅する、つまりその場に殘ったものはドロップアイテムということだ。

お世辭にも上等とは言い難い、木の棒に石を蔦紐で巻きつけただけの石斧を拾い上げると、それは分解されてインベントリへと収納される。

「ふむ……「ゴブリンの手斧」か。」

二刀流対応、耐久は半分を切っている……まぁゴブリンが落とす武としてはテンプレートだな。

メイン武として使うことはないが、今使っている傭兵の雙刃の耐久をケチる時に使うくらいか……ならもう一本要るか。

「確かこのゲーム空腹度とかも隠しパラメータであるんだったか……」

となると、ある程度モンスターを狩って何をドロップするのか確かめないといけないか。

………あぁ、この覚はクソゲーも神ゲーも分け隔てなく來るものだな。

新しい世界に飛び込んで、これからどうしようかと考えるこの瞬間の高揚はリアルじゃ滅多に得られないものだ。

「さぁ、エンジョイを忘れずやっていこうか!」

俺は道なき森の中に、目標という道を探しながら一歩踏み出すのだった。

ちなみに半スタートのプレイヤーは結構な確率でいます。

実はキャラメイク畫面で裝備を売った方がゲームの鍛冶屋で武を売るより高く売れるためです。

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