《シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜》リアルとゲームの天秤
「ふぅ…………」
リアルで目を覚ませば、カーテンの隙間から朝日がれている。分かってはいたが徹夜でシャンフロをやってしまった、やはり神ゲーは神ゲーなんだよなぁ……健康やリアルでの用事がなければずっとログインしていたい衝に駆られる。とはいえ、今日は終日ログイン、というわけにもいかない。俺は水を飲み、用を足してから我が家のキッチンへと向かうのだった。
「おはよう」
「はいおはよう、隨分やり込んでいたようだけどちゃんと時間と約束を守れて偉いわね楽郎」
「ログアウト(理)はもう懲り懲りだから……」
セーブしていなかったせいで8時間分のデータが消えた時は虛無で暫く食べの味が理解できなかった。あの悲劇を繰り返さないためにも俺が我が家のルールを破ることはない。ヘッドギアの方に予備バッテリーが備えられていて突発的な切斷にも対応していることを理解した上での理的切斷は中々に巧妙な手口だ……二度と喰らいたくはないが。
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我が家はよく「家庭環境大丈夫?」とよく心配される。というのも、ウチは両親も子供も全員がバラバラの趣味に沒頭しているために、の繋がった家族としては恐ろしい程に顔を合わせないためだ。
父、務 仙次(せんじ)は病的なレベルの釣り好きで、毎年有給を使って魚を釣り上げに行く。
母、務 永華(えいか)はその道の専門家に名を知られる程の蟲マニアで、最近は南米の蝶を育てる為に家の一室を南米の気候にカスタムした。
俺、務 楽郎は言わずもがなゲーマーで、家で過ごす時間の殆どはVRに意識が飛んでいる。
妹、務 瑠(るみ)はファッションガチ勢、両親に頼み込んで特別に自分の部屋を二つ持っているし、月の小遣いでは足りない勢いで服を買うのでブラック企業もかくやな勢いでアルバイト漬けの毎日を過ごしている。最近は読者モデルがなんたらで狂喜舞していたのを覚えている。
中學生の時にこの話をした所教師に三者面談を半強制的にさせられた辺り、我が家は頭がおかしいように世間からはけ取られるらしい。実際は全くそんなことはないのだがなぁ。まぁ俺と妹、二人して三者面談沙汰になったことで流石にまずいと判斷し、毎週日曜日の朝と晩は絶対に一緒に食事をし會話をする、というルールが我が家には存在する。
「父さんは?」
「昨日から釣りに行ったわ………今帰ってきたみたいね」
かつてカジキ釣りに行ってルール違反したために釣竿を売られた悲しみを背負う父もまた、ルールを破ってまで釣りを続ける勇気はないらしい。カジキは味しかった。まぁ家族は皆、服をネットオークションで格安で売ったり(実行犯:母)、蝶を野生に返したり(計畫犯:俺、実行犯:妹)、クソゲーの限定版を売られたり(実行犯:父)と互いに互いを牽制する関係だが仲は良好です。いやほんと。
「ただいま、いい鱚が釣れたんだ。今日の晩は天ぷらで頼むよ」
「おはよー……あ、おとーさんお帰り、マグロは?」
「流石にこの裝備じゃ無理かなぁ」
かつて知り合いの漁船について行ってクロマグロを釣り上げた実績を持つ父が言うと言葉の重みが違うね、そんなこんなで全員揃っての朝食である。母は蟲の世話をする為に席を外しているが、それくらいは許容範囲だろう。
「お前達、最近はどうだい?」
「俺は最近新しいゲームを始めたけどこれが中々に楽しい」
「私はモデルのバイトが來たよ、宣伝よろしくっ!」
「お父さんは最近カジキ釣りをしてる人と友達になってねぇ、ちょっと遠出しようかなと思ってるよ」
味噌にご飯、納豆と焼き鮭……こと魚介類に関しては定期的にほぼタダで手にるため我が家の食卓は魚料理が多い。蝶の世話を終えた母が食卓に座り、家族全員での食事が始まる。主な話題は大自分の趣味に関してであり、時々學校の績などの話にも変わったりする。
朝食を済ませれば各自各々の趣味の世界へと戻って行く。恐らく夜の七時まで顔を合わせることは殆どないだろう……何せ全員自分の部屋に引き込もってしまうか、バイトに出かけてしまうのだから。最近でも近所の優しいおばさんに妹共々育児放棄されてないか訊かれるけどちゃんと家族してますから、だから児相談所呼ぼうとするのはやめてください。
「ん、メール?」
さてシャンフロに戻ろうか、と言うところで、VRヘッドギアとリンクした攜帯端末にフレンドからメールが來ていることが通知される。誰かと思えばモドルカッツォともう一人、俺とモドルカッツォの共通のフレンドからだ。
現実で顔を合わせたことはないが、互いのメールアドレスくらいは知っている仲であり、三人ともメインとするゲームのカテゴリが違う為に時折メールで相談を持ちかけたりするが、どうも件名からして雙方とも違うらしい。
件名:俺も買ったぜ
差出人:モドルカッツォ
宛先:サンラク
本文:俺もシャンフロ買ったぜ、サンラク今どこらへん?すぐ追いつく。
「モドルカッツォもシャンフロ買ったのか。」
あいつ確か格ゲーのプロゲーマーらしいけど時間管理大丈夫なんだろうか。今のご時世、プロゲーマーは立派なアスリートとして定著している。オリンピック……ではないが世界大會が存在するくらいだし、モドルカッツォは全てのゲーマーの憧れとも言える。
大會近いんじゃなかったかな……まぁいいや、とりあえずユニークシナリオをやってる最中であることは伏せて進行合だけ送っておこう。
もう一人は………
件名:明日は槍の雨かな?
差出人:鉛筆戦士
宛先:サンラク
本文:モドルカッツォ氏から聞いたけどクソゲーしかプレイできない病のサンラク君が神ゲーに手を出したってマジ?
お腹壊してない?アレルギー反応とか出てない?
あ、私シャンフロで結構ガチのプレイヤーだからフィフティシアまで到達したら一緒に何か狩りに行こうね^^
ファンメール並の煽りメールだったわクソが、フィフティシアって確か今解放されてるエリアの中で最新の場所だったろ。畜生、後でエムルの畫像だけ送りつけてやる、ユニークシナリオの気配をじて悶絶するがいい。
どうせなので、シャンフロにログインする前にある程度報収集するかな。別に攻略サイトを意地でも縛ってるわけじゃないし、思ってる以上にこのゲームは複雑怪奇だ。
まぁ自分でも「ろくに家族と顔すら合わせない」友人とかいたら心配します。
一応買いを頼むときとか最低限のコミュニケーションはちゃんと立していますので家庭不和とかそういう心配はないものとしてお願いします。
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【コミック第2巻、ノベル第5巻が2022/9/7同日に発売されます! コミックはくりもとぴんこ先生にガンガンONLINEで連載頂いてます! 小説のイラストは柴乃櫂人先生にご擔當頂いております! 小説・コミックともども宜しくー(o*。_。)oペコッ】 【無料試し読みだけでもどうぞ~】/ アリアケ・ミハマは全スキルが使用できるが、逆にそのことで勇者パーティーから『ユニーク・スキル非所持の無能』と侮蔑され、ついに追放されてしまう。 仕方なく田舎暮らしでもしようとするアリアケだったが、実は彼の≪全スキルが使用できるということ自體がユニーク・スキル≫であり、神により選ばれた≪真の賢者≫である証であった。 そうとは知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで楽勝だった低階層ダンジョンすら攻略できなくなり、王國で徐々に居場所を失い破滅して行く。 一方のアリアケは街をモンスターから救ったり、死にかけのドラゴンを助けて惚れられてしまったりと、いつの間にか種族を問わず人々から≪英雄≫と言われる存在になっていく。 これは目立ちたくない、英雄になどなりたくない男が、殘念ながら追いかけて來た大聖女や、拾ったドラゴン娘たちとスローライフ・ハーレム・無雙をしながら、なんだかんだで英雄になってしまう物語。 ※勇者パーティーが沒落していくのはだいたい第12話あたりからです。 ※カクヨム様でも連載しております。
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