《シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜》増えぬレベル、増える縛り

とりあえず攻略サイトや掲示板を軽く見て分かったことがいくつかある。

一つ、やはりラビッツを訪れるユニークシナリオはあっても兎殿の中にるユニークシナリオは誰も発見していない。

當然ヴァッシュやエムルのようなヴォーパルバニーの存在も誰かが匿していない限りは俺しか知らない事実だ。

二つ、どうも夜襲のリュカオーンのようなユニークモンスターは、有志によるNPCからの聞き込みで彼らが語る「七の最強種」がそれに相當するらしく、判明している中でプレイヤーによって発見されたのは四訳としては

・夜襲のリュカオーン

・深淵のクターニッド

・天覇のジークヴルム

・冥響のオルケストラ

そののリュカオーンとジークヴルムは跳梁跋扈の森以外の全てのエリアでランダムエンカウントするらしく、俺が夜襲のリュカオーンと遭遇したのは完全に大當たり(大はずれ)を引いたらしい。

ただユニークモンスターは遭遇するだけで経験値がるらしく、初心者はほぼ確実に死ぬ事になるが會えたらマジでラッキー、らしい。

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三つ、祝シャングリラ・フロンティア登録者數3000萬人突破……今ファステイアは初心者プレイヤーで溢れかえっているらしい。これは早急に次のエリアに移らないとマズくないか?レベリング的な意味でもプレイヤー同士のゴタゴタ的な意味でも。

ユニークシナリオばかりに気を取られてると本筋のメインシナリオが進まないのは考えものだな……そんなことを考えながら俺はシャンフロの世界へとログインするのだった。

「あ、起きた。おはようですわサンラクサン!」

「ん、あー、そうかリスポン更新したんだっけ」

目を覚ましたのはセカンディルの宿屋ではなく、ラビッツにある兎殿の一室だ。ゲーム時間においてずっと隣にいたのか、それともジャストタイミングで隣に來たのかは分からないが、を起こすとベッドの橫でエムルが跳ねていた。

「聞きたいんだけどさ、俺って今の時點でセカンディルに戻れる?」

「戻れるよー、アタシがいればちょちょいのちょーい!ですわ」

めっちゃ便利だな転送裝置(ヴォーパルバニー)……

「じゃあ一旦セカンディルに戻りたいんだが、とりあえず街は進んでおきたい」

「了解ですわ、しばし待たれよですわ」

暫くして、エムルが【座標移】を唱えると、俺とエムルはセカンディルの路地裏へと立っていた。

「とりあえずおっさんの所に寄って致命の包丁を修理して……レベリングもあるしなぁ」

「あ、そうだ忘れてましたわ。サンラクサンはこれつけろ、っておとーカシラが」

「ん?一なん……っ!?」

突然エムルが持っていた首が俺の首に巻きつき、思わず俺は仰け反る。

『致命魂の首手しました、自で裝備されます』

おいおいおい強制裝備アイテムとかあるのかよ、呪いのアイテムじゃないのかそれ。とりあえず如何なる効果なのかと説明を開いて……絶句する。

・致命魂の首

致命兎の王が作り出した戒めの首、王の許可なくして外れることはない。

取得経験値が半分になる代わりにレベルアップの際に獲得するポイントが2.5倍(小數點切り捨て)になる。

弱者が強さを得るためには、尋常ならざる苦難が必要であるが故に。

「え、ちょ、ここに來て縛り追加とかマジで……?」

「それがマジなんですわー、ヴォーパル魂を忘れるべからず!って」

だからヴォーパル魂ってなんなんだ。

いや、それよりもこいつは中々にハードな縛りが追加されたぞ……実質的に一つレベルを上げるために二つレベルを上げるのと同等の労力が必要になってしまうのは非常にまずい。いや、メリットを考えればある程度裝備が揃っていれば最高クラスのレベリングアクセサリなんだが……というかこれ控えめに言って壊れアイテムじゃないか?レベルが一つ上がれば5ポイント、労力二倍で小數點切り捨てで……大12ポイントもらえるのか。壊れアイテムじゃないか。

「いや、兎に角まずは戦ってみないことには分からないか。」

思えば夜襲のリュカオーンに襲われてから戦闘をしていない、現在のステータスや呪いによるデメリットの実証ができていないのだ、ユニークシナリオで忘れていたが最優先事項じゃないか。

「サンラクサン、サンラクサン」

「ん?」

「今から次の街まで行くんですわな?アタシ手伝おっか?」

『NPC「魔兎エムル」からパーティ申請が來ました。諾しますか?』

……つくづくこのゲームはよく出來てるな。

ソロで行くつもりだったが、とりあえず四駆八駆の沼荒野のやり込みは諦めよう。予想外が重なり過ぎて俺の計畫はズタボロだが、バラバラの布をい合わせれば新しい模様が見えてくる。モチベーションが高まってきたぞ……強行攻略、やってやるぜ。

「宜しくな」

「宜しくですわ!」

思えば、様々な要因が絡み合ったこともあるが、ここでエムルとパーティを組んだことが後々まで続く面倒ごとのフラグだったのだろう。

レベルアップ以外でステータスポイントを得る手段、アイテムは普通に存在します。なくとも二つ、三つ目の街で手にるようなものではないのですが、ハイレベルプレイヤーの協力があれば不可能というわけでもありません。

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