《シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜》華やかなる樹の海
1話ごとの文字數増やそう計畫、始。
なんやかんやてんやわんやあったとはいえ、とりあえず最優先目標(マストオーダー)は達した。
俺のきを完璧に読み切ってみせたサイガ-0というプレイヤーとの遭遇というアクシデントもあったが、結果だけ見ればまぁ平和的解決と言える。
「ふみゃあ、めっちゃ強そうな開拓者サンでしたわぁ」
「だろうな……多分俺の四、五倍強いだろうし」
「サンラクサンもヴォーパル魂でなら負けてないですわ!」
「そりゃどうも」
別に人と話すのが苦手というわけではないが、ハクスラやってる最中にいきなりシミュレーションゲー展開に切り替わったようなもんで、妙に疲れた。
「まぁなんだ、比較的話のわかるリュカオーンと會ったと割り切って切り替えていこう」
プレイヤーとの駆け引きも面白いが今はファンタジーにハクスラしたい気分だ、これから挑むエリアを全力で楽しんで、っこの先端まで攻略し盡くしてやろう。
そんなこんなでサードレマでの張はどこへやら、俺とエムルは驚く程平和に千紫萬紅の樹海窟に到著する。
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「サードレマ離と諸々の補填のために所持金を使い切ったからなぁ、探索と稼ぎを両立しねーと」
所持金驚異の100マーニ、薬草をかろうじて買えるかどうかの素寒貧なので金策は急務だ。採取系はそれを作業とする場合は一気に面倒になるが、探索の一環としてなら楽しい冒険に早変わりするし、ぼちぼちやっていくか。
インベントリが嵩みすぎるとAGIに影響出るからそこらへんの兼ね合いも考えないとなぁ。
トンネルを抜けると、そこはファンタジーであった。そんな経験は幾度となくしている、トンネルを抜けたら鼻先をライフル弾が突っ切ったこともある。
ああ、一番酷かったのはトンネルを抜けたら目の前を隕石が突っ切った時だったな。黃い線の外側で電車の通過を見るかのごとく目の前を隕石が橫切ったというのに、當たり判定の関係で無傷だった時は流石に苦笑いして……隕石の後ろから飛んで來たプレイヤーの飛び膝蹴りが頭に命中してリスポーン、いい思い出だ。
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「わぁ、窟の中なのに明るいですわ!」
「る苔……そっち系か」
まさに名前の通り千紫萬紅、様々な周囲の花が鮮やかな花弁との香りを撒き散らす花の絨毯。そして窟だというのに森というには深すぎる木と植が織りなす樹の海……樹海。現実ではありえない幻想の景を照らすは壁や天井にびっしりと生えたる苔。現実のヒカリゴケは太のを反する、とか聞いたことはあるがこれは完全に自らを生み出しているな……世界観次第では擬似太が浮かぶゲームもあったし、それを活用(・・)する可能も考えると、こう言った確認は重要だ。
「さて、まず何からしたものか……お」
目を凝らした先、早速モンスターを発見する。
それは巨大な蝶の翅を持つ……球? いや違うな、よく見ると中を黃金ので満たしたバスケットボール大の(それ)と比べるとあまりにも小さいピンポン球程の頭がくっついている。
「る程……そんな思わせぶりに腹を揺らしちゃってまぁ……」
ムラっと(ドロップアイテム狙い的な意味で)くるよね、うん。俺は湖沼の短剣を取り出し、一気に駆け出す。
こちらに気づいたらしい蝶……便宜上風船蝶と呼ぶが風船蝶は腹に大量の、恐らくは花を蓄えているにも関わらず軽快なきで飛び去ろうとするが……遅い。
追い越しざまに翅へ一閃、風船蝶がバランスを崩して空中で不自然な隙を作った瞬間に頭へ一突き。腹に一切のダメージを與えることなく翅と頭へクリティカルを叩き込めば風船蝶はポリゴンと共に散、そして予想通りポリゴンの中から地面に落ちんとする風船をキャッチ。
「まぁ絶対これはレアドロップとしてあると思ったわ」
「わぁ、アタシもってみたいですわー!」
水風船をもうし分厚くしたじ、だろうか? 取り扱いを間違えればすぐにでも割れてしまいそうなそれをブニブニと押すエムルを制しつつ、インベントリにれてアイテム説明を見る。
・ストレージパピヨンの袋
ストレージパピヨンが集めたを貯蔵する腹袋。衝撃に弱く、が溜め込まれた狀態のものを手にれるのは非常に困難。
食べて楽しむも、投げて楽しむも正解。
「投げる……?」
いや確かに思い切り蹴り飛ばしたいはしていたが。
まぁいい、どうせこのアイテムだけでも三、四個は集めるだろうしそしたら一つくらいぶん投げてみるか。
「さぁ、次行ってみようか」
花のを集めるのは蝶だけではない。そして、実在の生をモチーフにモンスターをデザインする場合、蝶よりもメジャーなやつがいる。
「やっぱりいたか、蜂型モンスター」
「あわわ、エンパイアビーのワーカービーですわ……!」
ふむ、エンパイアビー・ワーカーと言ったところか? 蟲特有のあのなんとも言えない質の軀が先程のストレージパピヨン同様バスケットボール大の蟲型モンスターというのは人によっては非常に地獄めいたエリアではないだろうかここ。
蜂をそのまま巨大化させたようなそれは先程のストレージパピヨンと同じく、その大きなでせっせと花からを採取している。いや、だけじゃなくて花もか?
「そうだな……俺の見立てでは針がレアドロップと見た」
とはいえとりあえずは狩って何が泥するか見るか。俺は先程と同じように駆け出し、切り裂き、突いて……と、その瞬間だった。
バシュッ、とエンパイアビー・ワーカーのから何かが空へと出される。それは花火のように空中で破裂すると、黃金の末となって周囲に散る。恐らくあれの正は花だろう……いや、そこは重要ではない。
こんなじの絵面、どこかで見たことがありますねぇ……的に言うと、ミリタリーなじのゲームにおける救難信號(・・・・)の照明弾的な……
「きゃああ! ハンタービーの群れがぁぁぁぁぁ! ですわぁぁぁぁ!! 」
その語尾のつけ方はちょっと無理ない?
「ワーカーと比べると攻撃的というか、ぶっちゃけスズメバチだな」
る程、役職によって現実における別種の蜂がモチーフなのね。
羽音がリフレインする中、俺とエムルに強い敵意を向ける複數匹のエンパイアビー……恐らくハンターは、スズメバチに似た極悪な面構えで顎をカチカチと鳴らす。
「數は五……いや、奴らもワーカーと同じように増援を呼ぶとしたら最悪鼠算的に増える可能も……」
「サンラクサン!? 私も加勢しますわ!? というかむしろ自衛しますわ!」
「そうだな、エムルは自分の方に來たやつだけ相手してくれ。それともう一つ指示を出す」
「は、はいなっ!」
「適當に採取してて」
ずこーっ! とコケかけたエムルだが、なくとも雑魚戦でまでエムルに頼っているようじゃな……多數上等、こちとらマジョリティハウンドで慣らしてるんだよ。
マジョリティハウンド程上等ではない、と言っても司令塔(コマンダー)を失ったワンコ共よりは上等なきで俺へと殺到する……こっちには六、二はエムルの方に。
「っしゃ!」
シンプルに正面からケツの針で刺しに來たビー・ハンター1をスキルではない、自前のテクニックによるパリィで弾き、低軌道から噛みつかんとするビー・ハンター2を足で頭を踏みつける。
ビー・ハンター3と4は距離が遠いので放置、ビー・ハンター1の後ろに追隨するように攻撃を仕掛けていたビー・ハンター5の噛みつき攻撃に対して、きを加速させるアクセルを起しつつこちらから短剣を突き出して迎撃。
始は後手でも先に當たれば則ち後の先(・・・)である。ビー・ハンター5の顎の先、口腔へとスキルの補正をけた短剣が捻じ込まれ、さらにスパイラルエッジを起しビー・ハンター5の口腔をズタズタに躙した短剣を引っこ抜く。
「奇襲仕掛けるならその翅音(バイブレーション)も消すべきだったな、うるさすぎ」
反響定位(ソナー)とまで言うつもりはないが、ビー・ハンター6が上に飛んで行ったのを見ていれば事前に備えることもできるし、音で大の位置は把握できる。
ループスラッシュ起、スタミナが続く限り全を回転させながら斬撃を放ち続けるスキルで腰に捻りをれ、本來は橫回転の連撃を縦に捻じ曲げる。一撃目がビー・ハンター6の右翅を打ち據え、二撃目でひしゃげた右翅を斷つ。手首で刃の向きを調整しつつ三、四、五撃でビー・ハンター6の腹にクリティカルを三連。
「ふっ!」
任意でスキルを中斷できる、という點でこのスキルは非常に優秀だ。散したビー・ハンター6のポリゴンを浴びながら、スタミナを回復。數秒の間に殘った奴らの位置を確認する。
1は背後、2は怯み終了で目の前、3と4はエムルに注意が向いてるな、レベルと火力で俺に勝るエムルはヘイトを集めやすい。だが態々「仲間を呼ぶ」コマンド持ちのモンスターだ、総合的なヘイト判斷は質ではなく量だろう。さてそろそろ5は……
「よいしょっと」
四、五度突いてビー・ハンター5はポリゴン散、と。軽く歩く、ステップする程度ならスタミナは消費しない。
攻撃時のきは割と素直なビー・ハンター1、2の攻撃を軽くいなしてスタミナ回復……うん、まだアクセルの効果は持続してるな。
「オッケ、方針決定!」
まず狙うのはビー・ハンター2。振り向きモーションを向こうがしている隙に薄し、アクセルで上昇したSTRとAGIにモノを言わせた連撃を叩き込む。このエリア攻略の適正レベルがいくつかは知らないが、レベル30ならまぁそこそこ戦えるようだ。
飛び散るポリゴンの中を駆けてビー・ハンター1にラッシュスラッシュ起。回転連撃なループスラッシュとはまた別の、オーソドックスな連続斬撃を浴びせ、フィニッシュに一発蹴り込んでやればビー・ハンター1もポリゴンへと変ずる。
「お待たせ」
アクセルの効果時間が切れる、だが殘ったわずかな時間は距離を詰めるには十分。ビー・ハンター3、4のヘイトは最終的に四のビー・ハンターを倒した俺へと向いたらしい。
二同時の攻撃が俺を狙うが、なくとも俺に本気で一撃れるつもりならフェイントとディレイは必須だぞ? 直線の攻撃を食らうとしたら、まぁ流石に銃撃は食らう。ただ、條件が揃っていればピストルくらいなら回避できるかな……?
スライドムーブ、瞬間的にるような回避を可能とするこのスキルを、自前のステップで回避した二のビー・ハンターへ追隨(・・)する為に使用する。スライドムーブで稼いだ距離に、二歩のバックステップ、腰を捻って下から上へ斬り上げれば……!
「はっはぁー! ビンゴ!!」
冴えてる、冴えてるぜ俺! 完全に見切ったビー・ハンターのきからだいたいこの辺りだろうとアタリをつけて放った雙剣二本の斬り上げは見事ビー・ハンター……どっちだこれ、多分4かな? ともかく、ビー・ハンターの腹に命中する。む、このはクリティカルは出せなかったか、流石に勘で振った攻撃をクリティカル命中させるのは難しいな。
「リキャスト終了!」
三度の攻撃でビー・ハンター4はポリゴンと散り、その一瞬を狙ったビー・ハンター3が俺へと最後となる攻撃、顎をガチガチと音立てながら噛みつきを敢行する。
「これ當たり判定は何処なの……っと」
疑問は口に、実証は剣に。レペルカウンターによって最後の攻撃ですら俺に傷一つつけられなかったビー・ハンター3にしだけ哀れみをじつつも、當たったらこちらが死にかねないのでプレイヤーはプレイヤーらしくMob狩りをさせてもらうとしよう。
螺旋のエフェクトを帯びる湖沼の短剣、突き刺さり捻れる蜂、そしてビー・ハンター3はポリゴンとなって砕け散る。
「ふぃー、疲れましたわ」
「また真似っこですわー!」
今のはわざとではなく……いや、無意識のうちにエムル語尾に染している……!?
そんなくだらないことを考えながらも、俺とエムルはせっせと地面に落ちたドロップアイテムを拾うのだった。
とりあえず5000字をノルマにしています。1萬時はちょっと毎日更新が隔日になりそうなので斷念しました。
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【コミカライズ決定しました!】 一個下の幼馴染で彼女の花火は、とにかくモラハラがひどい。 毎日えげつない言葉で俺を貶し、尊厳を奪い、精神的に追い詰めてきた。 身も心もボロボロにされた俺は、ついに彼女との絶縁を宣言する。 「颯馬先輩、ほーんと使えないですよねえ。それで私の彼氏とかありえないんですけどぉ」 「わかった。じゃあもう別れよう」 「ひあっ……?」 俺の人生を我が物顔で支配していた花火もいなくなったし、これからは自由気ままに生きよう。 そう決意した途端、何もかも上手くいくようになり、気づけば俺は周囲の生徒から賞賛を浴びて、學園一の人気者になっていた。 しかも、花火とは真逆で、めちゃくちゃ性格のいい隣の席の美少女から、「ずっと好きだった」と告白されてしまった。 って花火さん、なんかボロボロみたいだけど、どうした? ※日間ランキング1位(総合)、日間・週間・月間・四半期ランキング1位(現実世界戀愛ジャンル)になれました 応援いただきありがとうございます!
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