《シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜》12月17日:メラメラ・ビートアップ Part.2

チームメンバーは全部で十五人。パーティ參加條件は一回以上レイドモンスター「焠がる大赤翅」とのエンカウント経験がある事………要するに、一回以上焠がる大赤翅に灰にされたことがある者だ。

なくとも考えなしに焠がる大赤翅に毆りかからない程度には攻略への理解があり、なおかつ焠がる大赤翅の行パターンを覚えている者達。野良以上固定未満であっても最低限の連攜が出來れば上等と集まった面々は、土砂降りの中を突き進みながら死火山の山頂で確かに輝く灼熱のを見た。

「目標視認! なんか………いや、燃えてることには燃えてるけど初期狀態よりは明らかに萎んでる!」

「ここまで土砂降りにして効果無かったら流石に公式にお気持ちメールだって! じゃあ全員打合せ通りに!」

このパーティの発起人であり、リーダー(どちらかというと音頭取り)であるオイカッツォの掛け聲で十五人の討伐隊達が三人一組の五パーティに分裂する。

「ケ、じゃなかったカッツォ! ひどい雨だけどこれ本當にいける!?」

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「これが前提(・・)なんだよペッパー! この雨が無いと焠がる大赤翅には誰も干渉できない!!」

オイカッツォと共に行するプレイヤーの一人。オイカッツォが知る中(リアル)と比べると五、六歳ほど年上のアバターを使うプレイヤー「ペッパー・カルダモン」が土砂降りを浴びながらぶ言葉にオイカッツォも負けじと大聲で返す。

気を抜けば足を取られて転倒してしまいそうなほどに雨が斜面を流れ落ちる死火山の大地を踏みしめ、水しぶきを上げながら五組のチームは円を描くように焠がる大赤翅を包囲する。

當然ながらオイカッツォ達以外にも突然のピンポイント大雨に戸いながらも雨天決行と焠がる大赤翅に挑む他のプレイヤーもいるが、同じパーティに屬するプレイヤーのネーム表記はそうではないものと比較して判別しやすくなるシステムを利用してオイカッツォ達は事前の打ち合わせ通りにそれ(・・)を各々が握りしめながらその瞬間を待つ。

『Vooooooooooooooooooooooooob………!』

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焠がる大赤翅のは人類種や他のモンスターとは明確に異なり、質ではない。生きる炎、思考するエネルギー、それこそが焠がる大赤翅の本質。白き神の族たる”赤い”マナ粒子はしかしエネルギーそのものがであるからこそ、ある意味では持つ生以上に理法則による影響をける。

モーション名:蒸気膨張波(きりのしんりゃく)。

水や氷……焠がる大赤翅の溫度を低下させる攻撃をけた際に自らの(エネルギー)を高溫の蒸気に変質させてけたダメージの総合計値分の蒸気衝撃波を自を中心とした周囲に撒き散らす連帯責任型(・・・・・)カウンター技である。

だがこのカウンター、実はオート発ではなく任意発なのだ。ダメージに反応したエネルギーの質変化をドーム狀に放するまでの一連の現象は焠がる大赤翅自が制しているものであり、裏を返せば蒸気膨張波の本質は焠がる大赤翅自が変質とそれに伴った膨張による弾き飛ばしだ。

凄くかみ砕くと………「焠がる大赤翅が凄い勢いで皮して吹き飛んだ皮にぶつかった衝撃で周りが吹っ飛んでいる」とでも言うべきか。

要するに、蒸気膨張波は何度も何度も………それこそ、やまない大雨のような大質量のによる溫度低下に曬され続ける度に発し続ければ、最後には焠がる大赤翅の全てが蒸気に変換されて消滅してしまうことになる。

あるいは焠がる大赤翅が自”だけ”を目的としていたならば、むしろ好都合とばかりに死火山そのものをスプーンでくりぬくようにぶっ飛ばす(・・・・・)ことも可能だ。だが焠がる大赤翅の使命はエネルギーの生産と不足の補完だ、思考するエネルギーであるからこそ「自は良くない」と判斷。

果たして人類たちの取った行によって生じた大雨(とおりあめ)に打たれた焠がる大赤翅は自の蒸気化を自らの思考で中斷し、雨に対する「防形態」をとったのだった。

「なんか………ってる(・・・・)?」

降り注ぐ雨に怨念などないはずなのだが、心なしか焠がる大赤翅にピンポイントでもはや滝のような雨が降り注いでいるが、その雨粒は明らかにおかしい軌道を描いている。

蒸発するでもなく、焠がる大赤翅にれるわけでもなく……例えるならそう、まるでガラス細工の表面を伝って下に落ちていくように。サードレマを超遠距離炎(砲)撃した時とは比べにならない程小さな……しかし豪雨ですら隠し切れないほどの真紅の翅、その表面を水がり落ちているのだ。

「どうするの!? もう始める!!?」

「いや………一発、一発だけなにか別の攻撃を當てよう。あの「」が妙に気になる」

オイカッツォ達が持ち込んだ「対策裝備」は焠がる大赤翅が「灼熱のエネルギー」であることが大前提だ。もしオイカッツォの予想が正しければ焠がる大赤翅の表面に張られた「」……否、あれは──────

「全員に通達。大赤翅の表面が怪しいので一発通常攻撃をぶつける。総攻撃待て、繰り返す総攻撃待て……」

「───俺に任せときな」

と、オイカッツォが全員がベヒーモスで手したインカムを通して指示を出す中………オイカッツォとペッパー・カルダモンとスリーマンセルを組んでいたもう一人が一歩踏み出す。

「あ、ちょっと」

「ま、割と無理言ってついてきたからな………ちったぁお役立ちを見せなきゃな。なぁに、流石に直接毆りに行くほど無鉄砲じゃあねぇ」

インベントリから投擲用の礫(アイテム)を取り出し、渾の力を込めて振りかぶるその姿は…………あまりにも小さく、頼りない。だがベヒーモスを攻略する中で出會ったその人──────

知り合い(半の変態)の知り合い(オギャるマン)を名乗る、見た目五歳児にしか見えないれっきとしたプレイヤーが見た目とは真逆のまるで筋骨隆々の闘士が如き力をめていることをオイカッツォ達は知っている。

「おるるぅああああ!!」

に飢え過ぎて狂ったれの果て、年齢を限界まで下げ続けて行きついた到達點。

ママの不安を取り除くため、「親孝行」を掲げてレイドモンスターの討伐に參加を表明した男……エターナルゼロ。

男が投げた礫は、その姿からは想像もつかない程の剛速球となって不気味な狀態の焠がる大赤翅へと推進する。

ママの不安は俺が祓う。

オイカッツォはサンラクの正気を疑った。でもサンラク君、基本的に変態に起因する行為を否定はしても変態そのものはあんまり否定しないから変態が寄ってくる魔持ってるところあるから…………

鯖癌→スぺクリ→幕末→その他もろもろ、のコンボが謎の寛容を培ってしまった

この流れで宣伝するのどうなの?ってじですがいよいよコミカライズ版シャングリラ・フロンティア~クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす~の5巻が発売されます!

表紙は墓守のウェザエモン!大魔導師不二先生の超絶技巧によってボスとしての風格とキャラクターとしての悲哀が文字で語らずとも絵で伝わってくる最強の表紙です。

特裝版に付屬する小冊子は梨菜が記憶してる限りでは割と前代未聞な「特裝版コンテンツで上下分割」というトンチキムーブをやらかしたTRPG番外編の後半です!! 正直「あの………中編とか………」とは言い出せなかったです! 作者の良心回路はまだ死んでないので!!

しかも、さらに、なんと、単行本には原作:大森藤ノ先生、漫畫:青井聖先生のもはやメドローアタッグと言っていい「杖と剣のウィストリア」とのコラボSSがついています。しかも書いたの梨菜じゃないですからね、大森先生ですからね。マジ? 未だに夢かどうか半々ってところですね……

気になる発売日は8月17日、外はクソ熱い(暑いではなく熱い)しそれを我慢しようにもご時世がご時世なので皆様、クーラーの利いた部屋で楽しむコンテンツとして拙作は如何でしょうか?

5巻は収録容的に激熱展開なので皆さんの家のクーラーが破損したとしても責任は取りません。修理業者を呼んでください

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