《シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜》12月X0日:不滅を謳うは遠かれど、永きを謳うに不足無し。なお、

ちょっとばかしよろしくない績だった期末テストの結果を、なんとか「パパ上もママ上もお気にりのルアーとかカブトムシが無くなったり亡くなったりしたら調子崩すことあるじゃん?」で納得させた俺は、次のテストで點數が悪かったら業務用VRシステムをフリマサイトに出品する、という恐ろしいペナルティを課せられつつもなんとか今年度中のゲーム生活の確保に功した。

「次はマジで勉強しねーとやばいな…………」

何がヤバいってあの業務用、割と足がつくというかあんな書き下ろしイラスト付きのVRシステム持ってるの世界でも「顔隠し(オレ)」くらいだろう。ゲーマーライフ以前にプライバシーが掛かっているので流石に次回のテストはマジでやらないとダメだ。

無視するには大きすぎる”憂い”にとりあえずの決著をつけた俺は複數のメールを確認しつつ、VRシステムの電源をれてログインの準備を始める。

まず一通目のメール。

これは「出來次第直ぐに報告するため」と半ば無理やりアドレスを換したエリュシオンから…………容は當たり前というか「史上最高のメイド服が完した」というもの。ただそれだけが本文に書かれているだけなのが逆に不気味だ、いっそ長文メールの方がまだ覚悟が出來たのだが……一何が出てくるやら。

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海中コロシアムの片隅で裁していたかと思えばなにやら近未來ガジェットで糸を作っていたりするし、最後に見た時は何かびながらブリッジしていた。ワンチャンアレが裁系防生産に必要なことなのかとイムロンに聞いてみたりしたが、んなわけねーだろのお言葉をいただいた。

二通目。

これはペンシルゴンから。俺は俗世間から離れていたので殆ど関わっていなかったが舊大陸では今大PvPイベントが開催されている。別に參加が義務というわけでもないし、仇討人は不干渉らしいのでゴルドゥニーネ決戦の方を見據えて新大陸で活していたがペンシルゴンから徴兵令が來た。

なんでも、レイドモンスターの方はカッツォの奴が頑張っているので大丈夫らしいがPvP……つまり新王陣営のプレイヤー達の攻勢が思ったよりヤバいのでお前もこっちに來て働け、とのことらしい。

正直、俗世の醜い爭いは勝手にやっててくださいと返してもいいのだがこっちもこっちで人手が必要なのだ。なにせ敵は超巨大蛇型モンスターを四引き連れた群可能人型モンスター、とでも言うべきクソボスだ。質より數、を言えば質の良い數が必須……というかほぼほぼ全プレイヤーを巻き込んだレイド戦のようなものだ。

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なのでここで恩を売った方が良いというもの………ペンシルゴンからの「指示」の容に従うのは非常に不本意というかやりたくない(・・・・・・)のだが。

そして三通目。これはメールじゃなくてSNS……玲さんからだ。

「24日の予定か………」

24日が空いているか、ではなく24日に的に何をするのかということだろう。隠しジョブに就いた玲さんは來たる日の為にスキル周りのビルドをしつつ王國騒に參加しているとは聞いている。SNSで流れてくる「サードレマ近辺で馬に乗った騎士に踏みつぶされた」という報告と、妙にゴツい馬を撮影したと思しきブレブレのスクショがその活躍の証拠だろう………ホラーゲーっぽいな。

とにかく、玲さんは王國騒で活躍しつつもこちらのユニークシナリオEXについてもちゃんと考えてくれている。一応の「予定」を送りつつ、やはり王國騒への介は避けられないなと覚悟を決める。ついでにエナドリもキメる。

「っし!」

準備完了。あとは……………くそう、二度と開くことは無いと思っていたんだが。

「………しゃーねぇ。エリュシオンへの恩返しもあるしな」

前は不慮の事故だった。今回は──────

……

…………

………………

「來たかパトロン殿」

「ああうん。で、完したのか?」

靜。あれほどまでにメイド服について熱く熱く暑苦しく語っていたエリュシオン・オートクチュールは恐ろしく靜かな様子でログインした俺を出迎えた。

「まずは謝を。君のおかげで………メイド服は、時代の最先端のその先へとたどり著いた……Go Beyond……」

「ああそう………」

通常運転ではあるらしい。とはいえその生産職としての力量はイムロンのお墨付き、そのプレイヤーがここまで斷言するならばなくともそこらの防よりは上、ということなのだろう。

……いや怪しいな、「鎧よりもメイド服の方が優れてる」とシラフで言う奴だから大前提としてそこらの鎧

「ラピステリア星晶は防には向かない。何故なら変形させたり他の金屬と混ぜて合金にすることが不可能に近い上、仮にそれを功させても異になってしまうからだ」

コロシアムの片隅にわざわざ機まで設置して作っていたそれ……偏執的なほど綺麗に畳まれたそれをばさり、とエリュシオンは広げた。

───それは漆黒の夜空が星々の輝きに照らされるが故に生まれる夜空の濃紺と、朝日に照らされた雪の如き純白ので出來た一著の服だった。要するに、案の定、やはりというか………メイド服だった。

「───ロングスカート。王道のクラシカルタイプを選ばせてもらった」

「ああうん、はい」

「語ると長くなるので簡潔に説明していこう」

助かります。

エリュシオンは三分かけて丁寧にメイド服を畳むと、その隣に置かれていた何か……ベルト? と妙なものを俺へと見せた。

ベルトにしてはやけに小さい……なくとも腰に巻くのはちょっと難しそうだ、となると腕……首……いや、もしかしてか?

そして謎の金屬塊。見ようによっては銃弾のようにも見えるし、何か電球のようにも見える。なくともその星空のような輝きから、ラピステリア星晶が使われていることだけは確実だろう。

「このメイド服……決闘級メイド服「千古不易」シリーズは防としての頭、、腰、腳裝備に加えてアクセサリースロットを五枠使用する」

「五枠!?」

いや、五枠空けられないこともないけど……五枠とはまたとんでもない。封雷の撃鉄・災と兇嵐帝痕・極と瑠璃天の星外套を裝備してなお二枠空いてるレベルだぞ。

「一応四枠消費でも運用は可能だが、萬が一を考えると五枠消費を推奨する……この「カートリッジアクセサリー」はある種電池のようなものだと思ってしい。この「カートリッジストラップ」に裝填することで「千古不易」の損傷を修復する」

「これが刻傷対策?」

「その通り、刻傷は通常耐久とは別枠の時間制限型の裝備破損だ。呪詛デバフの中にも似たようなものがあるが、破損そのものは裝備自の自壊であり……外的干渉による破損阻止は可能だ。「千古不易」は基礎素材の繊維そのものがラピステリア星晶であるが故にアクセサリーからの補填で裝備破損を免れることができる、まさしく千古不易のメイド服!」

る程、全く簡潔にできていない気がするが要するにアクセサリーで破損を即修復することで刻傷や通常の耐久値が盡きることでの破損を防ぐってことか。

「大わかった。で、これ最大どれくらい持ち堪えるんだ?」

「仮に一切のダメージをけず、刻傷のダメージだけを無効化した場合はカートリッジ一つにつき三度は破損阻止が可能だ。一つにつき約十分、故に四つのカートリッジをフルで裝備すれば四十分程度は活可能だ」

「ノーダメは流石に理論値だな………となると多めに見積もって三十分か」

「……多めに見て二十分と言おうとしたのだが、そうか君は避けるタイプのアタッカーだったか」

対モンスター戦を考えると心許ないな……ああ、だから決闘(・・)級なのか。三十分でケリをつけられる戦い向けのメイド服、と。ゴルドゥニーネ戦で役立つかな……いや、有用な裝備は一つあれば一つの選択肢になる。いくらでもあって困ることはないか。

「耐としては打撃以外なら大抵の攻撃に強い、ただ服を溶かす系の攻撃には注意してしい。継続的なダメージは原因を取り除かないとカートリッジを延々と消費することになる」

る程ね………分かった。とりあえず作ってくれてありがとう、素材の余りとかなんかあの変な機材とかは俺は使わないしやるよ」

これでけ取るべきもの(・・・・・・・・)は全部け取った。そしてやるべきこと(・・・・・・)も大済ませてきた。ならそろそろ俺も行きますか……「待った」はい?

「なんだよ」

「大事なことを忘れているぞサンラク君」

「なんだよ?」

「───試著だ」

あーる程。

そこでスクショする気満々で待機してた著せ替え隊はそういうことだったわけね。

決闘級メイド服「千古不易」

元々のコンセプトはダメージを「無傷」に置換することで絶対に破損しない、というものだったが「勇魚」の「そんな技確立してたらとっくにリヴァイアサンに使っとるわボケ」というお言葉をいただいたことと、思った以上に寶石織で作られた寶石繊維の質が面白かったことからエリュシオンは「外的ダメージがメイド服を破壊し、に干渉する前にすでに修復が完了している程の再生スピード」という決して壊れぬメイド服を完させた。クラシックメイドスタイル故にの殆どを覆っているメイド服はその大部分がラピステリア星晶繊維(ファイバー)によって構築されているため、カートリッジから供給されるマナを最速かつ最適に浸させることでインパクトが炸裂してから0.1秒以に修復を完了させる。それ故に斬撃や瞬間的な燃焼などの、メイド服としての形狀を崩壊させる攻撃に対する極めて強い耐を副次的に備えることになった。ただし結局のところ服であるため、打撃などの「面」の衝撃や凍結などの服で防しても直接にダメージが行く攻撃に対しては殆ど無力。さらに言えば持続する燃焼や溶解などの攻撃に対してはカートリッジからの魔力供給が延々と発し続けるため制限時間を消費してしまう脆弱を見せる。時に今回はクラシックメイドスタイルであるがこれはサンラクというプレイヤーがロングスカートであっても多の無茶を利かせられるという事とあくまでも防である以上、裝備者の命を守るという防としての基本理念に従ったものでありミニスカートタイプのメイド服を否定するものではないがところでこの「千古不易」には一つ音聲認識機能があり、これはカートリッジストラップに備え付けられた機構であるがこれによって魔力供給バイパスを生して(以下略)

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