《シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜》12月19日:機機會敵
焠がる大赤翅戦を書いてた時に息抜きで先に書いてたルスト視點がようやく日の目を浴びた……というわけで連続更新です
◇
「…………いいね、とてもいい」
戦いの嚆矢となった一撃、サードレマ大公城より放たれた長距離撃が描いたの直線が薄れ消えていくのを眺めながらルストはぽつりとつぶやいた。ルスト自が耳につけたインカムからそれを為したモルドの聲が鳴る。
『ルスト。敵チームは”前報”通りなら八人、ただ後々することも考えるとあくまでも最低數で考えた方が良い』
「………了解。座標は?」
『待って、今ソナーの解析中………うん、その近辺に三人いる。ガルトン武店裏口、第三大通り、あと第五下水道。僕の方は補足した別の三機を足止めしておく』
「………別に、仕留めてもいいよ?」
『ワンショットエスケープが今回のコンセプトだから、程々かな』
「………噓ばっか」
『あはは……』
裏方に回ったモルドは、前線を張るよりも殺傷力が高い。それはネフィリム・ホロウのプレイヤーであれば常識のようなものであるし、ルストにとってはより深い意味を持つ。
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戦機を作するための専用裝備、特殊強化裝甲「カラーパレット」のヘルメット越しにサードレマの街並みを眺めながら歩くルストは視界に小さく映ったそれ(・・)を確認し、インベントリアを作する。
「………まずは様子見………なーんて、ね」
ルストは斥候兵ではない。敵が本拠地に攻めて來たというのならば、それはもう防衛線であり決戦なのだ。そしてルストが今持てる熱を六分割して生み出した六機六のルストシリーズは斥候に使うには………々、強すぎる。
「………挨拶は派手にしないと、ね………展開、【黃梁一粋(コウリョウイッスイ)】」
敵は配信戦線(ライブライン)の中でも屈指の市街戦巧者にして、魔法と神からは程遠い鉄鋼火炎の戦闘に通するGUN!GUN!傭兵団。であるならばこの戦いは彼ら自によって配信されているだろう………ならば、この戦いは世界に向けた発言の場でもある。世界は言い過ぎでもなくとも日本全國には。
『I’m Ready.』
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僅かに宙に浮くようにして格納空間から転送され、報が実の質量を得たことで石畳の上に重厚な音を立てて著地したそれは不思議なであった。例えるなら、亀の甲羅を球にしたようなあるいは小さな板を何枚も使って球を作ったかのような。
「………裝著」
『OK.』
どうやら、敵もルストに気づいたようだ。市街地に合わせたのか、サードレマの街並みと同じカラーリングの戦機がライフルを構え、撃する。狙うはもちろんルスト本………だがその弾丸はルストの左腕に命中し、しかしガキンとい音を立てて弾かれた(・・・・)。
「………実弾、中々渋いチョイス」
人間程度であれば握りつぶしたトマトの如く砕できるであろう弾丸を弾いたルストの左腕は、変形した球によって一回り巨大な鎧に覆われていた。とはいえ、その姿は人間に盾を何枚もくっつけたような鎧と言うには異質すぎる姿であったが、一歩進むたびに盾の集合がルストのを包み込んでいく。
そうして、全を裝甲の形をした盾が覆い盡くして最後に重厚な靴の如き腳部裝甲が裝著された事で戦機【黃梁一粋(コウリョウイッスイ)】の裝著が完了した瞬間………魔力のが黃い盾甲の機人を十センチほど地面から浮かび上がらせる。
「………戦闘開始」
再び放たれる弾丸、今度は連(フルオート)。しかしそれが黃梁一粋(コウリョウイッスイ)に命中するよりも早く、黃い奇妙な鎧がいた。
『ちょ、速ッ…!?』
スラスターを噴かしてはいる、ホバーで移してもいる。だがその両方が併さった事で起きている現象はホバー移だとかそんな生易しいものではない。機は前傾姿勢、その手には展開した奇妙な形をした銃をさらに不自然な持ち方に。足を前に出すたびに加速するその姿は哀れな被害者第一號……GUN!GUN!傭兵団のメンバーであり普段は”フォックストロット”のフォネティックコードを擔當する「フィグ@GGMC」の目にはアイスホッケー選手のように見えた。
「………熱烈歓迎」
『おぐぅ!?』
銃(バレル)を握り、銃床(グリップ)で打撃する。まさしくアイスホッケーの如き(メイス)の一撃がフィグが纏う戦機(ボールメン)「GGMC:アサルトフォックス」の脛を打ち據え、掬い上げた。潤沢な助走距離とそれに比例して加速された走から繰り出されたショットガンによる毆打(・・)は如何に重厚な戦機裝備狀態といえど足元を掬われるには十分すぎる。そして人間に強化裝甲を著せ、さらにその上から機巧の塊を被せた戦機は一度バランスを崩せばあらかじめ覚悟でもしていなければ踏ん張ることは難しく。
『なんかヤバいロボがいる! 黃くて(・・・・)、って───』
「………ネフィリム・ホロウ2を宜しく。できれば配信してほしい、歓迎する」
『なんの宣伝?!』
まるで棒の如く華麗に散弾銃を反転させ、転倒した敵戦機へと銃口を突き付けた黃梁一粋(コウリョウイッスイ)はズゴン!! と至近距離から発砲。放たれた散弾がGGMC:アサルトフォックスの全をくまなく叩き據え打ち砕く。
散弾というものは短程広範囲の弾丸、と思われがちだがそれは大きな勘違いである。現実の散弾銃ですらその程は50メートル、その威力は人間を容易くミンチに変えてしまう。如何にゲームとしてバランス調整がされているとて………れるほどの至近距離から中に人のった裝甲を撃すればそのダメージはあまりにも大きい。
足を掬われた際の打撃によるダメージに加え、至近距離からのショットガン。さらに確実に仕留めるべく二目も叩き込まれたことで、GGMC:アサルトフォックスのフィグ@GGMCの力が全損する。
「………まずは一人」
王國騒中の特別ルールに則り、ギリギリ原型を留めているもののかなくなった戦機だけして消えたフィグ@GGMCから視線を外したルストは次の獲を求めてき出す。
その傍らには、”黒い”三角錐───
ルストのメンタルボルテージはもう止まらない……!
頑張れGUN!GUN!傭兵団!!負けるなGUN!GUN!傭兵団!!
なお今のルストはエナドリを摂取したサンラクと同じくらいのテンションです
・RS:Ο【黃梁一粋(コウリョウイッスイ)】
全裝甲を取り払い、代わりにシールドを取り付けることでコスト軽減を実現した高機”盾甲”ボールメン。
散弾銃をメイン武裝とすることで中・近距離をメインレンジとし、外部衝撃に対して盾甲「正面」からけ止めることで高い防能力を実現している。
ホバー移は重裝甲のタイプメンに多く見られる機手段であるが、限界まで重量軽減に功したこの機のホバー移はスピードスケートに近く、地上移速度に関しては【殲顎緋砕】以上の驚異的機力を誇る。
Q.要するに?
A.ものすごい勢いで走してくるアイスホッケー選手みたいな全に盾をくっつけた黃い戦機が思いっきり鈍で毆りつけてくるしショットガンで確実に殺しに來る。
ちなみに「RS:Ο」は「ルストシリーズ:ボールメン」の略
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