全部何もかもマスターデュエルとアルセウスのせいです

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攻子機(アサルドローン)がサードレマ市街を駆け抜ける。広範囲の索敵能力はなく、堅牢な防力も持たないがカメラを通した遠隔作と多の頑丈さを備えている攻子機はまさしくドローンとして運用することでサードレマ大公城で作するモルドの目となり足となる。

（屋に潛伏してる？ 地下……はどうだろう、流石にスナイパーがそこまで線切るかな。でも下水道を通って別の場所に移している可能は高い、流石にもうインパクトソナーは撃てない………そうなると………）

その時だった。サードレマの空に飛翔するの一撃。それは周回軌道で移していた索子機(サーチドローン)の一機を撃ち抜く。

「狙撃！？」

中樞を貫かれ散した索子機に目もくれず、モルドは斜線を辿って狙撃點を特定する。狙撃は出來ない、索敵の為に攻子機を作している弊害だ。

「位置は近い……ドローンで位置を割り出す！」

片手で作できる攻子機を両手で二機、それぞれをメットに表示したサードレマ市街地のマップに従って巧みに作しながらモルドは狙撃手を挾み撃つように攻子機を狙撃點へと急行させる。

街道に姿は無し。攻子機Aを上空に移させつつ、モルドは數秒ほど迷った末に攻子機Bに搭載されたショットガンで民家の扉を破壊して突させる。

「いない………いや違う！」

カメラを真橫に向ければ、そこにはでかでかと壁に開けられた大きな……そして、風通しの良くなった壁から見えるは攻子機Bに銃口を向けた戦機の姿。

「～～～～～～～っ！」

反的に攻子機Bを作する腕が強張る。だが完全な不意打ちではなく、もしかしたらと予想していたからこそモルドは無理やり強張った左腕から意識を引き剝がして右手にのみ意識を集中させる。

攻子機Bのカメラから送られた映像に一瞬が瞬き、信號が途切れる───

だが、

「見つけた……！！」

攻子機Bを切り捨て、攻子機Aにのみ集中していたモルドはついに敵狙撃手を完全に程圏に捉えていた。さしもの相手(ジンジャーエール)も撃直後に橫から狙われたのでは対処は出來ない。

家屋と家屋の間、小道にいる標的を狙って攻子機Aから放たれた散弾を全で浴びる事となった敵狙撃手だったが………その機に目立った傷はない。

なにせ攻子機に搭載されているショットガンは非常に威力が弱い。それこそVITに全くパラメータを振っていない半という、そうそうない條件を満たしていなければ致命傷を與えられない程だ。

『こけおどしか……？ まぁいい』

すぐさま銃口が攻子機Aへと向けられ………映像ごと信號が途絶えた。それを無言で眺めていたモルドだったが…………

「よし」

その表は、失敗とは程遠い笑みの形となっていた。

◇

「生想定だったのか……？」

標的にされたドローンを即座に捨て、もう一つのドローンで攻撃を仕掛ける。敵が即座の割り切りと瞬間的な判斷に秀でていなければできないアクションをしたことにそれなりの衝撃をけていたジンジャーエールだったが、そのあまりにも低すぎる威力のショットガンに首をかしげていた。

「あの程度じゃ戦機相手じゃカスダメにもならない。なら何故攻撃を仕掛けた……？」

恐らくゲームバランス的にドローンにはそもそも高火力の武が搭載できないのだろう。もしそれが可能ならば、とっくの昔にこのゲームはドローン戦爭になっているはずだからだ。下手をすれば戦機を裝備していない生ですら仕留め切れないのではないだろうか。

だからこそ、ショットガンで撃という行に納得がいかない。もしジンジャーエールが攻撃側であったのならば……

「普通、ドローンにC4くっつけて突撃とかだろう……」

それがセオリーだろう。わざわざ重量を割いてまで低威力の武を搭載するくらいなら、薬でも積み込んで自特攻させるのが一番費用対効果的に優れている。だがそれをしなかったのはわざとか、それとも油斷か。

「とにかくこれで三機撃破。殘るドローンは三つ……広域探知をノーリスク低コストで出來るとは思えない、あれを破壊すれば探知はできない筈だ」

狙撃銃をリロードし、また別の民家で息をひそめながらジンジャーエールは窓から上空を見上げる。何をするにしてもこちらの報が向こうに筒抜け、というのは非常によろしくない。そうしてじっと外を見ていたジンジャーエールはふと気づいた。

「何か飛んで……───」

◇

アーサー・ペンシルゴンと配信戦線(ライブライン)。表立って活しているか裏で暗躍しているかの違いこそあれ、共に今回の王國騒においてはプレイヤー達のいを決める指揮のような立ち位置にいる者達だ。

だがこの二つには明確な違いがある。それは人數ではなく方針でもなく、格の悪さや目的ですらない。それらはそもそも比較する必要がない。

論ずべき點はただ一つ。それは立場だ。

今回の王國騒にあたり、配信戦線もアーサー・ペンシルゴンも総大將たる新王アレックス、及び前王トルヴァンテから開拓者達を率いる者としての立場を與えられている。とはいえ、NPCならともかくプレイヤーが大規模なイベント戦で総指揮を取ることのデメリットは両者共に重々承知している。（そもそもプレイヤーが指揮系統にる確証もない）

故に「正統王國開拓者軍指揮」なる立場を與えられた配信戦線はそれをひけらかすことすらせずに君臨すれど統治せず、あくまでもプレイヤー個々の活という形を取り………「サードレマ特別相談役」の立場を持つペンシルゴンは開戦までの”裏方”を擔っているというでその存在すら明かしてはいない、無論王國騒イベント期間中も何か指示を出しているわけでもなければ號令をかけているわけでもない。

共に得た肩書きとそれによるメリットを捨てるところまでは同じ。だがそれでも肩書きそのものの意味合いが違う。配信戦線のそれはあくまでも現場指揮的なものに過ぎないのに対し……アーサー・ペンシルゴンの持つ相談役の肩書きはサードレマの政治中樞に影響力を持つ。

サードレマ大公、ひいては前王トルヴァンテに対して特別相談役ペンシルゴンが提案したのは極々シンプルなものだ。すなわち──────

「おいおいおい……！ 本拠地でミサイルぶっ放すだと！？」

サードレマにおける大規模火力作戦の認可である。かみ砕いて言えば………勝つためならサードレマの半分までなら更地にして(・・・・・)も構わない(・・・・・)、という言質に他ならない。

「うおおおお！？」

潛伏していた民家から慌ててジンジャーエールが飛び出した直後、民家に八発のミサイルが著弾する。火に衝撃を伴う発が隣接する民家ごとターゲットを吹き飛ばし、なんとか即死を免れたジンジャーエールが振り返れば、そこには民家の痕跡すら殘さない瓦礫の山が燻っていた。

「…………まずい事になったかもしれないな、これは」

ジンジャーエールの口から思わず、といった様子で言葉がれる。

潛伏は完璧だった、であるにも関わらずミサイルは的確にジンジャーエールが潛伏していた場所を狙ってきた。それはすなわち、自の座標がどういうわけか向こうに完全に補足されているという事。

「作戦変更だ……！」

ジンジャーエールが見上げた先、自めがけて殺意の數々が飛來する。

このサードレマを守るために！！（民家砕）