《シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜》當日:Ready→Steady
當然!「更新」だッ!!前話から連続する「更新」ッ!それが流儀ィィッ!!
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翌日
「いつも通りっちゃそうだけど、生活リズムがガッタガタだ………」
年末年始はともかく一月ひと桁日が終わるまでには生活リズムを整えないと酷いことになりそうだ。
日中ぐっすりと眠って軽くストレッチをして栄養補給、そうやって今……12月20日午後17時から深夜に向けてピークタイムに向かうよう活時間を調整した俺は、シャンフロにログインしてのそのそとエイドルトの宿屋でベッドから立ち上がる。
そもそも、今の俺の主目的はクリスマスというリアルにおける一大イベントとダブルブッキングする形で総攻撃を仕掛けてくるらしいあんにゃろーにお禮參りすることだ。故に本來、舊大陸に來る必要は無かったのだが………これでも一応クラン所屬、そして【旅狼】が王國騒に関わっている以上、俺もいつまでも無視を決め込むわけにはいかないわけで。
ペンシルゴンに半分脅迫じりの招集命令をかけられた俺は、奴からとあるミッションを押し付けられた。
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「最終日のラスト六時間、ありったけ目立て…………ねぇ」
一見して「サボってた分せめて最後くらい派手に働け」と言っているようにも見えるが、これを言われたのはつい先日だ。その場ですぐ出てこいではなく最終日のラスト六時間という時間指定までして…………このやり口にはなんとなく”既視(デジャヴ)”がある。
まぁなんにせよ、こっちもこっちで好都合な面もある。相手陣営の主導をしてるのが確か大人気配信者なんだったか、奴らが釣れれば(・・・・)萬々歳なんだが………
そんなことを考えながら裏路地を通ってこの街に存在する「蛇の林檎」に店。あいかわらずコピペしたように同じ顔の店主に軽く手を上げて挨拶しつつ、店の隅の方にあるテーブルへと向かう。
「待たせたか?」
「ううん、今來たとこっ」
「そういうことにしたいなら機の上は片づけてもらっておくべきだったな」
機の上に空の料理が並んでいる辺り、まぁ噓だろう。とはいえ今回はこいつにもフルタイムで協力してもらうので今回ばかりはそんなに邪険にも扱えない。
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「というわけでまぁ、改めて………今回は協力してくれて謝する。イムロン………あと、ディープスローター」
「まぁ、こっちもボランティアってわけでもないし構わない。準備は………まぁ、謝の一つでもなけりゃキレそうなくらいにはきつかったが」
「んふふぅ………もう私無しじゃあいられないになっちゃったんだネ、サンラクくぅん………私に染まっちゃったんだァ………中の中まで………」
まぁまぁまぁ落ち著け。如何にコレ(人を指す)がアレ(神的異常を指す)であっても今回ばかりは我慢だ我慢。まだアラドヴァルを抜くのは早い。無骨なおっさんのロールプレイのつもりなのか、背もたれに深く腰掛けて何故かずっとジョッキを持っているイムロンと、くねくねしているディープスローターに視線を向けつつ………當初の予定には含まれていなかった人にも視線を向ける。
「で、あんたは何で同行してくれたんだ? エリュシオン」
「いや、特に何をするわけでもないんだが千古不易の実戦データを集めておきたくてね」
程、いてもいなくてもどっちでもいい枠と。とはいえ例のメイド服はこれから飽きるくらい実戦テストするわけだし結果を聞くよりは実際に見た方が良い、ということだろう。
「それならサンラク、ちゃんとわ、俺が作ったトラディション&レボリューションも使えよな」
「はいはい」
「私も使っちゃう?」
はいはい。マジでぶっ飛ばしてやろうかなこいつ……いや我慢我慢我慢。おっと指がってアラドヴァルをインベントリアから出してしまった。
「エリュシオンは見學として……今回は王國騒イベント最終日、そのイベント終了時間21日0時まで6時間ぶっ通しで奧古來魂の渓谷を……封鎖する(・・・・)」
俺の言葉に、計畫を聞かされているイムロンとディープスローターは特に反応を示さないが、特に計畫と関係なくついてきたエリュシオンは骨に疑問符を浮かべた。
「それは……現実的な話ではない、のではないかな? 確かに奧古來魂の渓谷は一本道のシンプルなマップではあるが………広いぞ?」
「まぁ、そうだな」
奧古來魂の渓谷は確かに他のエリアと比べると恐ろしくシンプルなマップだ。なにせ馬鹿正直な一直線だからな……普段なら瘴気によってスリップダメージが発生する中、シンプルなマップ故にすぐにこっちを見つけてくる上にやたらしぶといアンデッドモンスターを相手にしないといけないというエリアだ。(崖の上に関しては論ずるまでもない、崖の下を半で突っ走る方がよっぽど踏破率は高いだろうよ)
だが今回のイベント中はボスモンスターが出現しない、それはこのエリアの瘴気を生み出している発生源である(厳には瘴気を生に対して有害なものにしているのがあのハミング骸骨なんだったか)エリアボスが出現しない。つまり今の間だけは視界を微妙に薄暗くするただの靄でしかない。
いやそういうのはどうでもいいんだ。重要なのはただ一點、奧古來魂の渓谷の崖下一本道の橫幅は一人二人が両手を広げた程度で塞げるほど狹くない、という一點のみ。ここを理的に封鎖する、ってのは………まぁ、あまり現実的ではないな。やるとしても二、三人でやるもんじゃないだろう。新大陸で々建築してる大統領だか超棟梁だかのジョブ持ちを五人集めた上で資材調達班が後ろに二十人くらいいてようやく、六時間の封鎖ができるかどうか……いやそれでも難しそうだな。プレイヤーの突破力はヤバいしそもそも空飛べる奴だってもう珍しくない。
「いいんだよ、理的に塞ぐが理的に塞ぐわけじゃないんだ」
「何か腹案があるようだが………その矛盾を一どう解決するつもりなのか興味が湧いてきた」
エリュシオンはちら、とディープスローターとイムロンを見る。なくとも俺、ディプスロ、イムロンの三人でそれをするつもりだったのだと気づいたのだろう。
あるいはディプスロの魔法で土石流でも起こすか?それともイムロンがその場で武を撃ち続けて半永久的な武リソースで全員斬り倒すのか?
全部不正解。正解は案外シンプルで………戦爭とはかけ離れたところにある。
「そんな難しい話じゃない…………例えば突然アイドルがゲリラライブを始めたとしたら? 例えば未知のど真ん中に「俺を倒したら豪華景品贈呈」って看板と一緒に立ってる奴がいたら? 例えば……でっけぇ人混みが道いっぱいに広がっていたとしら?」
俺の言葉でエリュシオンは俺達が何をするつもりなのか、おおよその理解を得たようだ。
……イベント最終日なんぞ、サボってた奴かガチ勢しか本気で走らないマンネリのピークだ。なんならログインすらちょっと面倒くさくなるようなタイミングで、今言った全てが一か所で起きたとしたら?
「戦爭なんてロクなもんじゃない、とはいえ人間ってのは毆り合うのも誰かの毆り合いを見るのも大好きなもんだ。だったらやればいいのさ、毆り合いのお祭りをな」
さぁ行こうか。本日は18時から奧古來魂の渓谷でツチノコさん主催の喧嘩祭りだぜ。告知は無いから祭囃子を聞き取って現地集合してくれよな、特別ゲストは今をときめくスーパーアイドル・ドールだ。
これからすることに対しての、心に結構な割合で殘っている恥心と面倒くささを両頬をパシンと叩いて振り切る。
「よしいくか」
「私もイきたい! スパンキングをヘイカマーン!!」
刃點火。
「よしディプスロ、ゆっくり振り下ろすから白羽取りしろ」
「あつあつに燃えてるよぉ?」
「いいからほら白羽取り」
「両手が焼けてくゅのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! っちょ、サンラクくぅん本気で押し込んでなぁい!? STRで勝てないから顔が真っ二つになっちゃうぅぅぅぅぅ! サンラク君の熱くて立派なもので消えない傷を刻まれちゃうのおぉぉぉぉ!」
店主に「倒錯的な行いはご遠慮ください」と止められなかったらそのにやけヅラをハーフアンドハーフにできたものを………
勇者たちよ、よくぞきた!
星辰は満ちた、祭りの時間だ!
二號人類最速のプレイヤー、変態サンラクは、今、おぬしらを待っている
勇者たちよ、戦いたまえ!譽れと共に大敵を葬り、景品(ヒーン)をその手にするがよい!
さあ、戦祭りじゃ!ツチノコ祭りじゃ!
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