《【書籍化】外れスキル『目覚まし』、実は封印解除の能力でした。落ちこぼれの年は、眠りからさめた神達と優しい最強を目指す。【コミカライズ企畫進行中】》1-7:自由への一歩

――――

<スキル:太の加護>を取得しました。

『白い炎』が使えるようになりました。

『黃金の炎』が使えるようになりました。

――――

「よかった、リオン。君には魔力があるね」

ほっとしたようにソラーナはを押さえる。スキルを手した僕は、淡く輝く両腕を眺めていた。

「これで、君はわたしからより多くの力を引き出せるよ」

どういうことだろう?

僕は遅れながら変に思った。スキルは一生に一回のはずなのに。

を包む暖かい魔力はレベルアップや、スキル<目覚まし>を初めてけ取った時と同じだ。

「神と人が出會う時に、特別な力が生まれる。2つの異なる存在が出會ったときにおこる変化を、君達は『スキル』と呼んでいるのだろう。神々を起こせば、ひょっとしたらまだまだスキルが手にるかもね」

さらっと、とんでもないこと言われた気がする。

「か、神様、まだいる……いらっしゃるんですかっ?」

「わたしが目覚めたということは、おそらくね。封印の眠りについている神々はいるだろう」

Advertisement

ソラーナは口を尖らせ、ぐっと近づいてくる。指を僕のにあてた。

「それより。『様』とか、敬語はやめてくれないか」

「でも、神様ですよね!?」

「尊敬はけっこう。だが、わたしは君たちと最後まで一緒にいる神でありたい。だから、普通の口調でいいし、『様』もいらない」

「そ、ソラーナさん……」

「ソラーナ」

「…………はい」

ソラーナさ……ソラーナに促されるまま、僕はルゥのおでこに右手を置いた。汗ばんだ額がかわいそうなくらい熱を持っている。

気を落ち著けよう。

スキルで救うんだ、今。

――――

<スキル:太の加護>を使用します。

『白い炎』……回復。太の加護で呪いも祓う。

――――

右手から白い炎が生まれ、瞬く間にルゥを包んだ。

妹はどんどんがよくなっていく。やがて寢返りを打ち始め、僕は大事なことに気づいた。

「そ、そういえばソラーナ……って見えてるの?」

「? どうしてだ?」

「……ど、どうしてって、君のこと妹にどう説明したら……!」

息を整えて、流れを想像してみる。

――お、お兄ちゃん、この人誰?

――え、ええと。神様で、ルゥを治してくれたんだ! もう大丈夫!

――…………???

だめだ、突拍子もない。妹に心配をかけたくないし、ルゥのことだからあれこれ聞いてくるのは間違いなかった。

洗いざらい話すと今度は母さんの問題がある。

母さんは回復魔法を使えて施療院で働いていた。つまり、オーディス様の敬虔な信徒なんだ。

神殿に話が伝わったりしたら、僕とソラーナのことがどんどん大事(おおごと)になってしまう。

「なるほど、慎重にいくわけだね」

安心しろ、とソラーナはワンピースのに手を當てた。ふんっと得意げに鼻息。

「大丈夫。大切な信徒の頼みだ。ならば、わたしの姿は今は君にしか見えないようにしようではないか!」

自信満々な神様を、ぱっとが包み込んだ。

「よし! 今、わたしの姿は君以外の目には映らない」

「本當? そんなに変わったようには見えないけど」

「ああ。神話時代の巫のように、敏に神を察知するスキルがあれば別だがね! ふっふっふ」

ソラーナの笑いにつられたわけではないだろうけど、ルゥが目を開ける。

空みたいな青の瞳だ。

「お、お兄ちゃん?」

「ルゥ……!」

一目見てわかる。

がよくて、聲がかすれていない。2年以上見ていない、妹の元気な目覚めだった。

目頭が熱い。僕は抱き締めていた。

「よかった……! よかったぁ……!」

ルゥは目をぱちぱちした。

「あれ? がいつもより、すごく楽……」

ルゥは信じられないといった風に、何度も深呼吸している。

「お、お兄ちゃん?」

「なに?」

あれ、変だな。ルゥが僕の後をみているような。

抱くのを緩めて、僕は尋ねた

「る、ルゥ……? なにか見えてるの?」

「え、あー……」

大きな目がくりくりといた。

「う、ううん! 何も見えてないよ!」

ルゥはの前で握り拳を作る。

よかった。ルゥが言うなら安心だ。

ばっちりソラーナと目があっていた気がしたけど……本人(妹)が言うなら間違いない。

「リオン、今、この子……」

「ルゥは見えてないって言ってたよ」

「……なるほど! うむ、信徒が言うならそうなんだろう!」

納得したソラーナに、僕も力強く頷いたのだった。

――――

リオン 14歳 男

レベル 4

スキル <目覚まし>

『起床』 ……眠っている人をすっきりと目覚めさせる。

『封印解除』……いかなる眠りも解除する。

スキル <太の加護>

『白い炎』 ……回復。太の加護は呪いも祓う。

『黃金の炎』……能力の向上。時間限定で、さらなる効果。

――――

その日はルゥの様子をみるため、家にいることにした。調が急変しても大変だ。

久しぶりに元気なルゥと話しをして、寢かしつける。今までとは違う穏やかな寢息を立てる妹を見守りながら、僕は明日からの方針を考えた。

『封印解除』で新しい力を手にれた。

目指すのは自由。

家族と僕自を、借金から解放することだ。

「東ダンジョンの戦闘層に、行ってみよう」

戦闘層とは、地下3階以降のことだ。

1・2階の探索層とは違って魔の出現が本格化する。

リスクはあった。でも魔が落とす魔石を集めれば、今よりもずっと早くお金を貯められる。稼ぐお金が増えれば、家族を早く借金から解放できるんだ。

生きるためにさえ強さがいる。

でも僕は、最低限の強さを手にしたのかもしれなかった。

「ソラーナ」

金貨に向かって聲をかけると、明るい聲が応えてくれた。

『ああ、やろう。君にすべて賛だ』

なにより、掲げた誓い――『優しい最強』を目指すことで、僕は初めて『冒険者』になれた気がした。

    人が読んでいる<【書籍化】外れスキル『目覚まし』、実は封印解除の能力でした。落ちこぼれの少年は、眠りからさめた女神達と優しい最強を目指す。【コミカライズ企畫進行中】>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください