《【書籍化】外れスキル『目覚まし』、実は封印解除の能力でした。落ちこぼれの年は、眠りからさめた神達と優しい最強を目指す。【コミカライズ企畫進行中】》1-33:その名は、主神……

達が殘した魔力が、空中にとして殘っている。火事を押しとどめていた猛烈な雨も止んで、春前の夜風が濡れた寒い。

ふと、上から聲が聞こえた。

――――

冒険者の皆様へ。

――――

神様の言葉だ。雷雲が晴れた空から、聲は降り続ける。

――――

我々に敵対する、より強い魔が世界に現れるようになりました。

強大な魔。強大なアイテム。強大な能力。

しかし、あなた方にはすでに戦うべき武があります。

――――

誰もが空を見上げていた。ほとんどすべての冒険者が同じ容を聞いているのかもしれない。

ミアさんも、の戦士団も、他の冒険者も。

王都中――いや、世界中の冒険者に向けられた、神様のメッセージ。

――――

冒険者よ、與えられたスキルを活かし、魔を倒してください。

終末を繰り返さないために。

――――

周りがざわついている。

「終末?」

「ダンジョンの難易度が上がるってことか?」

「こんなメッセージ、聞いたことないぞ」

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「いや――」

冒険者の一人が言った。

「2年前のの夕焼けでも、同じようなメッセージをけ取ったやつはいるらしい。これは全メッセージってやつだろう」

集まった冒険者らが騒いでる。

僕はへたり込んでしまっていた。

強大なスコルを倒した実が、まだぜんぜんない。手も足も震えて、立っていられなかった。

橫をみると、ミアさんも腰を落としていた。

「……生き殘ったな」

「は、はい、なんとかですね」

「ったく、これで報酬もらえなかったら涙が出るぜ? ギルドの建も燃えちまったみたいだが、誰が分け前計算するんだ?」

いつも通りのミアさんだ。苦笑していると、背中をぽんと叩かれる。

「無事だったかのう」

驚く。それは古道屋のおやじさんだった。

最近會えていなかった。

「あ、あの」

「妹を大事にするのじゃよ」

ほっほっほ、とおやじさんは笑って去って行く。

「いやぁ、命拾いしたわい。ありがとう年、本當にね……」

立ち上がれない僕を置いて、古道屋さんは去る。

金貨から聲が聞こえてきた。

『復活できたぜ!』

『新しい薬が実験できるな……!』

『この時代にはどんながいるのかな?』

『みんな、やっとロキ様に會えたね!』

ソラーナでも忙しかったのに……

「もしかして、これからもっと騒がしくなるの……?」

なんか、汗が出てきました。

リオンに聲をかけた古道屋の老人。

大きなリュックを背負ったまま、路地裏へと曲がる。人通りはない。

老人は荷を下ろし、いそいそと古びたローブを取り出した。

背に刻まれているのは、翼の意匠。

老人がローブを羽織ると、変化が起きる。両腕が翼になり、羽が全を覆う。鋭い鉤爪と(くちばし)を備えた、巨大な鷹になっていた。

大きな翼が羽ばたく。

鷹となった老人はぐんぐんと高度をあげていく。

王都を抜け、雲を超え。

やがて至るは、神々の園。

神學者が天界と呼ぶ場所だった。

神達が深々と禮する。スキルの伝達と、神の聲を擔當する3人の神(ノルン)達だった。

「お帰りなさいませ、わが主」

降り立った鷹は、再び姿を変える。

ローブをいで現れたのは、壯年の男だった。

歳月が波打たせた、銀の髪と髭。老練というにはあまりに悍な眼差しだが、瞳の輝きの深さには、何千年もの時が確かに浸み込んでいた。

ゆったりとした足取りで、男は歩く。

向かう先は、天界を見渡す玉座だ。

「うまくいきましたか?」

神の問いに、男は頷いた。

玉座からはに包まれた天界と、雲に隠れた下界がみえる。

思い出すのは、全てを決斷した時。

との戦いに勝ち目がないことを悟った終末、主神として、男は全てを氷漬けにする選択を下した。そして配下であった神々の力を、そのに吸収する。

退治の力を、人々に分配するために。

剣技に優れた神の力は、スキル<剣士>や<剣豪>に。

斧に優れた神の力は、スキル<斧士>や<斧豪>に。

<目覚まし>もその一つ。

「彼は無事にスキルを長させ、妹を守り、目覚めさせてくれるだろう」

かつての主神は、もはや一柱の神ではない。同胞の力を吸収し、いわばいくつもの神の力をたばねた存在である。

ゆえに男は本來の名を、『複數』を示すものに変えた。

オーディス(オーディンの者ら)、と。

「魔が復活した。さて、次の終末は避けられうるか――」

かつて主神オーディンと呼ばれた神は、水鏡に下界を映し出す。

鍵となる兄妹がそこに映り、片方は家で、片方は焼け跡で、互いの再會を待っていた。

お読みいただきありがとうございます。

第1章は以上となります。

第2章は書き留めが終わり次第、速やかに投稿する予定です。

勵みになりますので、ここまででご想、ご評価などいただければ幸いです。

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