《【書籍化】外れスキル『目覚まし』、実は封印解除の能力でした。落ちこぼれの年は、眠りからさめた神達と優しい最強を目指す。【コミカライズ企畫進行中】》2-1:新しい力

見上げる夜空には、無數の星が輝いていた。

激戦のせいで、まだうまく立ち上がることができない。石畳の冷たさをじながら、僕は神様の聲を聞く。

――――

冒険者よ、與えられたスキルを活かし、魔を倒してください。

終末を繰り返さないために。

――――

おそらく多くの冒険者に伝わっているだろう、神様からの全メッセージ。

それはなくとも3回、繰り返されたみたいだった。

「終末……?」

それってなんだろう。

夜はまだ深い。なのに周囲が明るいのは、魔力の殘滓がきらめいているからだ。

強大な魔スコルと、力を取り戻した太神ソラーナ。戦いによって魔力と魔力がぶつかりあい、飛散して、僕らの周りに輝きとして殘っている。

「リオン」

肩を揺さぶられる。

はっとして、ずっとへたり込んでいたことに気づいた。

「ミアさん……」

をかいて、ミアさんは手を差しべた。右腕にまいた鎖がじゃらっと揺れる。

「立てるかい?」

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現実が戻ってきた。

顎を引いて立ち上がる。視界が高くなると、改めて街がどうなったか突きつけられた。

「ひどい……」

ずたずただった。

集していた建は燃えたり崩れたりして、大きな爪が削ぎ落したようにあちこちで街並みが欠けていた。城壁まで見通せてしまうところさえある。

次々と怪我人が運ばれてきた。街の人も傷を負ったみたいだ。

「た、助けないと……!」

頭に聲が響く。

『ならば、シグリスをお使いください』

――――

<スキル:薬神の加護>を使用しました。

『ヴァルキュリアの匙』……回復。魔力消費で範囲拡大。

――――

ポケットからが飛び出して、空中に鎧姿のが現れた。彼が抱えるのは、大きな匙。槍で薙ぎ払うように一振りすると、白いがふりまかれた。

優しい輝きが傷ついた人を包み込む。

「……痛く、ない?」

怪我人の一人が言うと、次々に似たような聲があがる。

冒険者達は顔を見合わせた。

「へ? どうしたんだ?」

「な、治った……? みたいです……?」

異変はまだ続く。立ち上がった時から、不思議な覚があった。

『広がった』ような気がする。今までじ取れなかった音や気配が次々と捕捉されていく。冒険者の言い方だと間合いってことになるのかな。

焦げ臭さと一緒に、誰かの気配。

これ、泣き聲だ。

「……あっちです」

僕は遠い焼け跡を左手で示した。

の子が隠れたままです。早く見つけてあげてください」

きょとんとした冒険者達。けれど互いに急かしあうように、すぐそっちへ向かってくれる。

「ほ、本當にいたぞ……!」

保護されたのは7歳のくらいのの子だ。周りに家族もいたみたい。お父さんとお母さんがそれぞれ抱きしめている。

ミアさんは眉を上げた。

「なんでわかったんだ?」

「泣き聲がして……」

さすがに変だ。ミアさんだって聞こえなかったのに、どうして僕だけ?

その気になれば周りの人すべての位置を把握できそう。全が耳になったみたいに覚が鋭い。

スキル<盜賊>や、より上位の<野伏>。そんなベテランが持つという野生の覚ってこんなじなんだろうか。

「……もしかして」

もう確かめないわけにはいかない。

<目覚まし>は、またとんでもないことをしてしまってる。

「す、ステータスっ!」

――――

リオン 14歳 男

レベル18

スキル <目覚まし>

『起床』 ……眠っている人をすっきりと目覚めさせる。

『封印解除』……いかなる眠りも解除する。

[+] 封印を鑑定可能。

スキル <太の加護>

『白い炎』 ……回復。太の加護は呪いも祓う。

『黃金の炎』……能力の向上。時間限定で、さらなる効果。

『太の娘の剣』……武に太の娘を宿らせる。

スキル <雷神の加護>

『雷神の鎚』……強い電撃を放つ。

スキル <狩神の加護>

『野生の心』……探知。魔力消費で、さらなる効果。

スキル <薬神の加護>

『ヴァルキュリアの匙』……回復。魔力消費で、範囲拡大。

スキル <魔神の加護>

『二枚舌』……2つの加護を組み合わせて使うことができる。

――――

やっぱり夢じゃない。

レベルは11から一気に18へ。初心者出以降はだんだんと上がりにくくなるレベルだけど、7つも駆け上がっている。

スキルに至っては、新たに4つだ。

普通は一生に一つだけを主神オーディス様からもらう。スキルは木に例えられて、長にしたがって『能力』という実をつけていく。

さっきの覚も治療も、スキルの効果なんだろう。

スキルの果実を普通の5倍もけられるとしたら……。

「…………」

ごくっ、とく。

規格外。そんな言葉が思い浮かんだ。

この夜空の星のように、無限の可能

「本當に、次の神様が目覚めたんだ」

改めて金貨を取り出す。

ソラーナが彫り込まれた面とは逆側に、4人の神様が新たに彫り込まれていた。丸い面を4分割して、3柱の男神と、1柱の神が刻まれている。

さすがにちょっと狹そうかも?

そんな風にコインを見つめていると、ソラーナの聲が聞こえた。

『東ダンジョン以外にも、王都のダンジョンには神が封印されていた。<目覚まし>で神話の続きが始まった』

神話の、続き……?

『神と魔の戦いは、終わっていない。氷漬けにされ、中斷しただけ』

東ダンジョンの深部にあったのは、氷漬けにされた魔達。

神話では、神様は魔に打ち勝って、ダンジョンとこの國を僕たちに渡したことになっている。

でも実際は違った。

神様は勝っていなくて、敗けそうだった。

だから封印の氷には無數の魔が閉じ込められたままだ。さっき打ち勝ったスコルだって、そうして力を保っていた魔なんだから。

「だとしたら、終末って……?」

『戦いの続きだ』

メッセージで、神様は『終末』と言っていた。

さっき助けたの子は泣きながら家族に抱きしめられている。妹のルゥを思い出してが苦しい。

『かつて神々と魔が封印された、大封印時代。それを招いたラグナロクとも呼ばれた終わりの日――同じことが近づいているのかもしれない』

すぐ聞き返そうとした。

だけど城門から揺れ歩く影が近づいて、口をつぐむ。ボロボロの貴族裝束に、僕は見覚えがあったから。

お待たせいたしました。

第2章を開始いたします。

本日は22:00頃にもう1話を投稿いたします。

お待たせした分、面白くなっていると思いますので、今後ともお楽しみいただければ幸いです。

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