《【書籍化】外れスキル『目覚まし』、実は封印解除の能力でした。落ちこぼれの年は、眠りからさめた神達と優しい最強を目指す。【コミカライズ企畫進行中】》2-14:ユミール
『終末』の言葉が出たからだろう。
封印解除された神様達が、金貨から飛び出してくる。大きさはみんな人形サイズで、それぞれテーブルの上に乗った。
「これが……神々」
パウリーネさんの呟きに、ミアさんが口を曲げる。
「なんかみんな小さいな」
「む……この建には、ダンジョンのような封印の魔力をじる。この姿の方が長く話せるだろう」
ソラーナの言葉だけど、僕には小さい方がありがたかった。
本來の姿だとトール神とかまた家をこわしてしまいそうだし……。彫り細工がった棚とか、暖爐脇の壷とか、ここで家の寢室みたいなことになったらまた借金生活になってしまいそう。
金髪をなびかせて、ソラーナが円卓の中央に浮き上がった。
「初めまして。オーディスの信徒よ」
ソラーナから順に名乗り、神様達は本當の神話について語る。
雷神トールは、創世の神話と終末のきっかけについて。
薬神シグリスは、人間たちの果敢な戦いぶりについて。
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狩神ウルは、狩人の目から見た戦況について。
魔神ロキは、全ての中心であった神オーディンが、封印をなした理由について語った。
「――謝します」
パウリーネさんが深く息をはいた。
「初耳の部分もありますが、王族が引き継いでいる神話と大筋は同じです」
「知ってたんですか……」
ええ、とパウリーネさんは頷く。
考えてみれば當然……なのかな。パウリーネさん達がダンジョンの管理をしているなら、戦士団にだけ伝わっているがあるのかもしれない。
「王族だけは、建國時から真実に近い神話をけ継いできました。だからこそ、ダンジョンを管理することの重要さを知っているのです」
王様は、ちらりと母さんの方を見やる。
「一般の方には、違う形で伝えていますが」
僕も心配だった。母さんは呆然として、言葉を失っているみたい。頭の中はローブと同じくらい真っ白かもしれない。
「……ごめん母さん。びっくりしたよね?」
母さんはこめかみに手をやった。
「そう、そうね。驚いている、けど……どちらかというと……リオン、あなたの力にね」
ため息をつくと、母さんはちょっとんだようにみえる。それだけ深いため息だったんだ。
僕が黙っていたせいでもあるから、が痛い。
ルゥもテーブルの上に浮いているソラーナを見上げている。
「め、神様だったんですね……」
大きな空の瞳がぱちぱちする。
「お母さん、私のがよくなったのも、あそこの神様が治してくれたからなの」
ソラーナが金髪を揺らして頷いた。
「そう……そうなのね」
母さんは小さく呟いてから、僕に笑いかけた。
「大丈夫よ」
言いながらテーブルの神様を見る。
「確かに信じてきたこととし違ったのかもしれないけれど――教えや、施療院でやってきたことはきっと正しいと思うから」
母さんは立ち上がって、浮いているソラーナと目線を合わせる。そうしてからゆっくりと一禮した。
「ルイシアを治していただいたなら、お禮をいわなければいけませんね。ソラーナ様……ですか?」
「な、なんの! こちらこそ、だ」
ソラーナは照れたように頭をかいてから、ふわりと僕の方に飛んでくる。
「よい母君だな、リオン」
そんな風にちょっと耳打ちされた。僕も誇らしい。
パウリーネさんが微笑した。
「……お母様はまことの信徒といえるのかもしれません。とはいえ私も、主神が名前を変えていたことまでは知りませんでした。また時間をおいて、知識を確かめあう必要があるでしょう」
パウリーネさんは円卓に置かれた黒い灰に目を落とした。
人形サイズで顕現した神々も、袋を囲って立っている。みんな真剣な目をしていた。
「この灰の正も確かめなければ。終末に現れた、炎の巨人……それは確かなのですか?」
黒いローブのロキが、深々とパウリーネさんに一禮する。
「うん、ほぼ間違いなくねぇ。気配がそっくりだし、神々の封印を破る炎となると限られる」
「そうなると、どこかにその巨人のがあるのでしょうか……?」
俯くパウリーネさん。
隣の席でフェリクスさんが肩を落とした。
「また探索事項が増えますね……団員は休めませんな」
ウルが目を潤ませて何度も頷いていた。わかるわかる、前線は大変だよね――。
苦労、してたんだなぁ……。
パウリーネさんが神々に禮を言い、話を戻した。
「では、この灰を用いている敵の話をしましょう」
パウリーネさんは僕らを見渡した。
「終末の『やり直し』とは、ダンジョンを甦らせている存在が、の戦士団に直接言った言葉でもあるのです」
その場所が、とパウリーネさんは言葉を切る。
「『の夕焼け』――王都の西で起きた、魔の大量発生です」
僕達家族は固まってしまった。
「父さんが死んだ戦いです」
「の戦士団も多くの戦士を向けていました。そして失いました」
パウリーネさんの聲はし暗くなっていた。
王様は灰に手をばして、こぼれた部分を指先ですくう。灰はすぐに黒い煙になって消え、手袋は真っ白に戻った。
「灰も奴隷商人も、當時から存在は知っていました。しかし、2つを結びつけることまではできていませんでした。ダンジョンにおいて封印が緩んでいる――その現象は摑んでいましたので、団員は積極的に調査をしていましたが」
パウリーネさんは僕を見る。
緑の目はきれいだけど、とても強い気持ちを宿しているような気がした。
呼吸が淺くなりそうなのを、背筋をばしてこらえる。
「続けてください」
「『の夕焼け』が起きた場所は、実は未発見のダンジョンが埋まっていたのです。付近で魔も見つかっていました。そのため調査の一貫として、このフェリクスと、あなたのお父上のパーティーが向かいました。そこで――」
し言いよどんだのは、辛い展開だからなんだろうか。
「強大な魔が、地下から蘇りました」
「どんなやつだ」
トールの言葉に答えたのは、フェリクスさんだ。
「巨軀でした。姿は人間によく似ていましたが、長は2メートルを越えていたでしょう。鎧などはなく、はほとんど剝き出し。ですが障壁のようなものがあり、攻撃が通用しませんでした」
フェリクスさんの語り口は靜かで落ち著いてる。でも、迷宮で一緒にいた僕には、この人が怖がっているのがわかった。
時々、手をぎゅっと握りしめて、震えるのを耐えるように見えたから。
「戦いの跡地からは同じ灰が見つかりました。間違いなく迷宮に封じられ、そして蘇った存在です」
「スコルより強いのかい?」
ミアさんに、フェリクスさんは苦笑した。
「比べになりません。レベル50を含む冒険者パーティーが蹴散らされるのを想像できますか?」
フェリクスさんは頭を振った。
「……失禮。付近から冒険者、そしての戦士団も集められました」
「僕も大きな戦いになったって聞いてます」
「魔と冒険者の決戦のようでしたよ。ほとんどを退治したものの、我々にも大きな損害がでました」
「どれくらい――?」
僕が尋ねると、フェリクスさんはし辛そうにした。
「當時數百名いた団員が、今や100名余り。かつての総長も、この戦いの負傷がもとで死亡しました」
父さんは、王都を襲った敵と――今まさにルゥや僕を狙っている敵と戦って、死んだんだ。
単なる魔じゃない。
冒険者として、本當に僕らを守ろうとしてくれたんだ。
「それほどの被害をけても、敵の主力を逃しました。巨軀の魔は我々から逃れる間際、こう言ったのです」
――我こそは原初の巨人。
――我から創られた世界を、もう一度、我に戻す!
「『よって終末を再開する』……最後にそう結んでいました」
原初の巨人という言葉に、何かがをよぎる。
ソラーナに見せてもらった夢。そこに出てきた最初の生き、ユミールは創造の力を持っていて、創ったけど気にらないものを……
「た、食べてた……!」
ぞっとしてしまう記憶。
その存在にとっては、當たり前なのかもしれない。
だって世界の最初の一人で。
創造の力は、その存在のもので。
全部もともとは、自分のの一部だったんだから。
パウリーネさんがロッドをついた。
「神々のお話から、決まりました。の戦士団を壊滅させ、リオンさんのお父上を死亡させたのは、神話における原初の巨人――ユミールです」
夢で聞いた、世界全てに轟くような産聲。
それが窓の外から聞こえてきたような気がした。
じょっぱれアオモリの星 ~「何喋ってらんだがわがんねぇんだよ!」どギルドをぼんだされだ青森出身の魔導士、通訳兼相棒の新米回復術士と一緒ずてツートな無詠唱魔術で最強ば目指す~【角川S文庫より書籍化】
【2022年6月1日 本作が角川スニーカー文庫様より冬頃発売決定です!!】 「オーリン・ジョナゴールド君。悪いんだけど、今日づけでギルドを辭めてほしいの」 「わ――わのどごばまねんだすか!?」 巨大冒険者ギルド『イーストウィンド』の新米お茶汲み冒険者レジーナ・マイルズは、先輩であった中堅魔導士オーリン・ジョナゴールドがクビを言い渡される現場に遭遇する。 原因はオーリンの酷い訛り――何年経っても取れない訛り言葉では他の冒険者と意思疎通が取れず、パーティを危険に曬しかねないとのギルドマスター判斷だった。追放されることとなったオーリンは絶望し、意気消沈してイーストウィンドを出ていく。だがこの突然の追放劇の裏には、美貌のギルドマスター・マティルダの、なにか深い目論見があるようだった。 その後、ギルマス直々にオーリンへの隨行を命じられたレジーナは、クズスキルと言われていた【通訳】のスキルで、王都で唯一オーリンと意思疎通のできる人間となる。追放されたことを恨みに思い、腐って捨て鉢になるオーリンを必死になだめて勵ましているうちに、レジーナたちは同じイーストウィンドに所屬する評判の悪いS級冒険者・ヴァロンに絡まれてしまう。 小競り合いから激昂したヴァロンがレジーナを毆りつけようとした、その瞬間。 「【拒絶(マネ)】――」 オーリンの魔法が発動し、S級冒険者であるヴァロンを圧倒し始める。それは凄まじい研鑽を積んだ大魔導士でなければ扱うことの出來ない絶技・無詠唱魔法だった。何が起こっているの? この人は一體――!? 驚いているレジーナの前で、オーリンの非常識的かつ超人的な魔法が次々と炸裂し始めて――。 「アオモリの星コさなる」と心に決めて仮想世界アオモリから都會に出てきた、ズーズー弁丸出しで何言ってるかわからない田舎者青年魔導士と、クズスキル【通訳】で彼のパートナー兼通訳を務める都會系新米回復術士の、ギルドを追い出されてから始まるノレソレ痛快なみちのく冒険ファンタジー。
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