《【書籍化】外れスキル『目覚まし』、実は封印解除の能力でした。落ちこぼれの年は、眠りからさめた神達と優しい最強を目指す。【コミカライズ企畫進行中】》2-23:馬車の旅
夜が明けたばかりの冷たい空気を、馬車が走っていく。
鉱山街アルヴィースまでは長旅だ。
道は荒い。窪みや石で車がゴトン!と揺れる。
「いたっ」
窓に頭をぶつけるの、もう何度目だろう……。
でも外を見るのはやめられない。
「空が、広い……!」
はいた息は白くなって、すぐに後ろへ流れた。
城壁も建もないって、こんなじになるんだ。
まず空気が違う。遮るものがなくて風がどこまでも渡っていく。
見渡す限りの大地は緑が覆って、川を挾んで見えなくなるまで続いていた。風で波立つ風景を朝日が照らしている。
が熱い。
「気にったようで何よりです」
フェリクスさんがくすくすと笑う。
「リオンさん、おでこが赤いですよ」
「……あ」
僕は座席に座りなおした。
「ずいぶん、外が気になるご様子ですね」
「は、はい……父さん、言ってたんです」
フェリクスさんが目を細める。
「どんな旅も、一回しかできない。だから冒険者は旅を思い切り味わうんだって……」
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僕にとっては、最初の一回。
初めての旅なんだ。
でももちろん、浮ついてばかりもいられない。気を落ち著けて馬車の中を見る。
の戦士団は、5臺の荷馬車と2臺の箱馬車を用立てていた。
扮しているのは、行商人と護衛という組み合わせ。実際は全員が冒険者だ。この馬車には5人が乗っている。
荷臺というよりは小さな部屋という合で、左右の壁沿いに座席が向かい合うように備えられていた。
僕の向かいはフェリクスさんで、念のため旅程を確認する。
「このまま北に向かうんですよね?」
「そうです。アルヴィースは川の上流なので、向かうには馬車がいいでしょう」
朝日を浴びる川には船も見えた。重たい武や鉱石なんかは、水運で運んでくるんだろう。
「同じルートを通る商人は多いのです。紛れるにはいいでしょう」
僕らの誰一人として、戦士団の2頭のマントをつけていなかった。
の戦士団の立場はってこと。
フェリクスさんは額の小冠(コロネット)と杖はいつもと一緒だけれど、土をした厚手のローブにを包んでいる。冒険者の魔法使いの格好だ。
ミアさんも深草のマントをに著けている。その下は黒革の鎧。右腕に鎖をまいて、先は斧につながっていた。
赤髪は貓の耳みたいに結ってある。
僕はというと――ルゥが創ってくれたガントレットをはめて、他は軽裝。
ただ、にだけは白のアーマーをはめていた。
怪鳥コカトリスの革を補強して、魔法耐のある塗料で仕上げたもの。マントの留めにも白羽があしらわれている。
灰の外套との組み合わせは、シュッとして気にっていた。
マントって長旅の必需品だけど、僕にとっては憧れでもあったんだ。
他の戦士団も鎧をつけたり、軽裝だったり、思い思いの裝備をしている。
フェリクスさんが指を立てた。
「西ダンジョンで見つかったゴーレムの件もあります。王都からあまり人手は割けませんが、これもまた隠れて向かうには好都合」
僕はこくりと頷く。
「作戦ってことですね」
「そう。ゴーレムは、奴隷商人が仕掛けた一種のだと思います。ゴーレムはアルヴィースよりも東側のトレドという魔法都市が有名。迷宮もあります。ならばそちらを大々的に調査しつつ、我々はこっそりアルヴィースへ行く――これが的確でしょう」
相手のいに引っかかった振りをする作戦ってことかな。
僕がオーディス神殿にいる間、パウリーネさん達はそういう準備をしてたんだ。
高揚が、張とれ替わる。
『リオンっ』
聲にびっくりした。
ポケットのコインから、急きこんだのはソラーナだ。
『わたし達にも外を見せてくれっ』
ちょっと笑みがこぼれた。
ルゥが作ってくれたコインケースは、紐で僕の上著と結んである。そして金貨をれた狀態でもコインの上半分は外に見えている作りだった。
僕がって『封印解除』しやすいように、あえて金貨がみえる造りにしたんだろう。
「了解っ」
苦笑して、コインを窓にかざす。
「「「「「おおおおおっ!」」」」」
神様の聲が頭に響いた。
『自然が蘇ってる! あんなに大きな川があるってことは、立派な森と山があるぞっ!』
『あの船が積んでるのは武か? ハンマーか?』
『今の時代にしかない薬草もありそうですね。これほど世界がかになっているのなら』
『……みんな、ロキにも見せて? 當たり前のように踏み臺にしないでね?』
神様が窓に殺到して、その下でロキが踏んづけられているのを想像する。不敬も不敬なことだけど、ちょっと笑ってしまった。
空には鳥も飛んでいる。
いつの間にか朝日は高く登って、神様も靜かになっていった。
抜けるような青空を眺めていると、そこから聞こえてきた聲を思い出してしまう。
「……オーディス様には、見えているかな」
今も主神であるなら、そして全メッセージを流したのなら、見えているのかもしれない。
『……助力を期待しているのなら、やめておいた方がいい』
ソラーナの聲がした。図星だったので、口ごもる。
『封印の維持に、人に與えるスキル。これだけでかなりの力を使っているはずだ』
「……そうだね。地上に降りてきて、もしやられたら」
『この2つが消えるリスクがある。軽々しく降りてくることはすまい』
神様は神様でオーディス様には思うところがあるみたいだ。
『助力がないということは、相応の理由がある――わたし達もそう考えることにしているよ』
ソラーナはし寂しそうだった。
……そうだよね。何も知らされずに、封印されたのだものね。
「うん、ピンチにはお願いね、神様」
『うむ!』
今は、手元にある力を信じて進んでいくしかない。
外を歩く魔に出くわすこともなく、馬車は順調に走り今日の目的地へたどり著いた。
ミアさんに「よく飽きないな」なんて呆れられながらも、そしておでこの赤いところを広げながら、旅の初日を抜けたんだ。
辿り著いたのは、川沿いにある大きな街。
城壁もある。商人たちの馬車が外に何十臺も並んでいた。
「カルマルか」
ミアさんがびをした。目をかきながら、
「ん……今日はこの馬車で眠るんだろう?」
「そのつもりです」
頷くフェリクスさんに、僕は首を傾げてしまう
「え。壁にはらないんですか?」
「大勢の馬車をれられるほど市街には余裕がないのです。大抵の街の城壁は、側の民家でいっぱいなのですよ」
そ、そうなんだ……。
考えてみると、王都ほど広い城壁ってあんまりないよね。
「護衛付きの隊商であれば、壁の外で夜を過ごす方が一般的ですね。城外市があり、壁の外にも簡単な街のようなものができています」
厳寒期は別ですが。
そう付け加えて、フェリクスさんは肩をすくめた。
「冒険者は厳しいのです。戦士団の懐も、なかなかに厳しいのですが」
「へぇ……」
な、なるほど……。
城壁の近くに馬車が集まる場所があって、そこに混ぜてもらうみたいだ。焚火の煙が何條も空へびている。
「壁の外か……」
なにもないといいけど。遠くの森から獣の鳴き聲がして、ちょっとをすくませてしまった。
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