《12ハロンのチクショー道【書籍化】》エピローグ:誰かの畜生道

人類が宇宙と呼ぶ空間。その天頂にその存在は眠っていた。

"それ"は魂の廻と浄罪を監視する存在であった。

ふいに、穢れた魂の気配を察知した。

宇宙を顕微し、小宇宙の辺境銀河、第三星の青い星を映し出した。

なるほど。確かに多くの魂に穢れをじる。しかし何故だろうか。

疑問を抱いた"それ"は、経験測からこういった問題の解決には、無作為に魂を選び出し、聞き取りを行う事が最適であると知っていた。無用な殺生を避けるため、選出した魂を複寫し、複寫した魂を目の前につれて來た。

そして問うのだ。

「何をむ?」

複寫された魂は思うが侭のんだ。

"それ"は嘆いた。なんと穢れた魂かと。このような穢れが青い星には蔓延しているのかと思うと、いっそ彼らの救いの無さには哀れみすら覚えた。

こうした魂に人間道は必要ない。四足の姿こそが相応しい。

穢れた魂を畜生道に加え、疲れから"それ"は再び眠りに付いた。

試練の気配に目を覚ました。

何某かの魂が、厳しい試練に挑もうとしている。

気配を辿れば、いつかの青い星だ。

魂は、修羅道に墮ちた人の魂であった。戦いを稱賛し、快楽の糧とする穢れた魂。

修羅道の人間らしい、自己矛盾と厳しい選択の間に煩悶していた。

驚くべき事に、その傍らにはかつての権化とすらじられた、畜生道に生きるあの穢れた魂も居るではないか。浄罪が進んでおり、健全な輝きを放ち始めていた。

そして"それ"は全てを見屆けた。

修羅は試練に打ち勝った。

畜生は人の輝きをそのに宿した。

戦いを稱賛し、快楽を見出す修羅の救済はった。

を憧憬し、溺れる畜生の救済もった。

である。

しい魂が二つ、出來上がった。

廻の暁には、修羅道に拠らず。畜生道にも拠らず。人として生を迎える事であろう。

"それ"は満足して頷いた。澱んだ魂の巣窟であった青い星が、僅かに涼やかな狀態を取り戻したのだから。

しかし、こうも思ったのだ。

もまた、輝きであった。

天道に非ず。

人間道こそが相応しい。

以上を持ちまして本編完結です。

報告の方に完走した想とこの後の更新についてまとめてあります。

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