《「魔になったので、ダンジョンコア食ってみた!」 ~騙されて、殺されたらゾンビになりましたが、進化しまくって無雙しようと思います~【書籍化&コミカライズ】》第4話 ダンジョン発見!
レベルアップでの殘ポイントは攻撃力を上げるために【STR(筋力)】に全て振り分け、再び森を駆け回った。しかし魔との遭遇はなく、倒したのはスケルトン數。しかも探し回っているうちに結構奧深いところまで來てしまっている。
「それにしても腹が減った。ゾンビになってから木の皮しか食ってないからな……」
この森に生息しているはなく、魔に関してはほとんどがアンデッドだ。さすがにアンデッドの魔を食べることはできない。
キノコも生えてはいるがほとんどが毒キノコだ。安全に食べられそうなものは見つけられず、危険ではあるが、最後の手段としてマジックバッグにアンミンダケを大量にれておいた。
俺の場合、一応スキル【鉄之胃袋】でおなかを壊す事はないが、狀態異常にはなる。アンミンダケは量であれば睡眠導薬として使用されたりもするが、許容量を超えれば睡眠の狀態異常にかかってしまう……これがゴミスキルと言われていた所以だ。
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(ん? この音は、川か! 魚が食える!)
川にたどり著くと魚が泳いでいる。
「この爪なら魚も突き刺せそうだな!」
ザブザブと川にっていき魚を取ろうとするが、なかなか捕まらない。徐々にムキになり、魚を追いかけていくうち、太ももが浸かる水深まできていた。
「この! 捕まれ、俺の飯!!!」
――ツルっ ゴスッ!! ザバーン――
「おぶっ、ゴホッ……ゴボボボボボ……」
(やばい、溺れる! ぬお!? 急に川の流れが速く……うわぁぁぁぁー!)
俺は、なすすべもなく激流に吞まれ滝壺に飲み込まれていった。
◇ ◇ ◇ ◇
気が付くと窟のような場所にいた。後ろを見ると滝が流れ、轟音を響かせている。
「危なかった。運が悪かったら死んでたな……流石に2度目の奇跡は無いだろうし、気を付けよう。とりあえず窟の奧に進むか」
窟の中は暗闇だった。ぼんやりと周囲が見える程度だ。
「ん? あのは?」
しばらく進むと地面にうっすらとる魔法陣を見つけた。この魔法陣は以前にも見たことがあった。
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「ダンジョンか! 中がどうなっているかは分からないが、ダンジョンの中なら食える魔もいるかもしれない!」
魔法陣にれると景が急変する。ダンジョンの中に転移させられたようだ。
目に映るのは、跡のように規則正しく切り出された壁や天井。床には石畳の隙間から生えるコケや花がりを放ち、辺りを照らしている。通路は大人が4人くらいなら並んで歩けそうな広さだ。
HPを確認すると半分程度は殘っていた。
「戻ってもどうせ滝壺だし、進むしかないな」
歩き出してから5分ほど経った頃、唸り聲と共に魔が現れた。でっぷりと太った軀で二足歩行。全にが生えている。イノシシの顔に巨大な牙。
「オークか。Eランクの魔……」
魔は、強さや賢さで討伐の難易度が大きく変わる。そのため、800年前の冒険者ギルドが創設された際に、魔の種類をランクで分類し、新種や変異種は発見され次第ランクを付けられた。
その膨大な資料は図畫と解説付きで種類ごとに編集・製本され、各街にある冒険者ギルドに保管されている。この通稱"魔図鑑”が俺は大好きで、暇さえあればギルドの書室で閲覧し自分ならばどう戦うかをイメージしていた。
魔のランクは、F~SSS(トリプルエス)までの9段階であるがSランク以上の魔が出ることは稀であり、そういった強い魔は、魔素の集まりやすい土地や50階層を超える大型の超高難易度ダンジョンに出現する。SS(ダブルエス)やSSSランクに関しては伝説や神話での話の中でしか聞いたことが無い。
冒険者のランク付けも魔と同じF~SSSで分けられ、同ランクの魔を1パーティー(4~5人)で討伐できる強さが求められた。要するに、Cランクの魔はCランクの冒険者4人分の強さがあるということだ。
ちなみに【グール】もEランクであり【オーク】と同格なのだが、腹が減りすぎているのか、覚が魔寄りになってきているのか、今の俺には旨そうなにしか見えない。
「おとなしく俺に食われろ、豚!」
『グゴォォォ!』
お互い勢いよく飛び出すとオークは大振りで毆りかかってきたが、それよりも速く俺の爪がオークの両目を切り裂く。視界を奪われたオークは、後ろによろめきながら両手を振り回している。こうなってしまえば、もう勝負はついていた。
しばらく様子を見ながらオークが暴れなくなるのを待つ。止まったタイミングを見計らい、腹部や顔面を3発毆ったところでオークは倒れてかなくなった。
「さて、飯にありつけたわけなんだけど……」
マジックバッグから解用のナイフを取り出し、絶命したオークを素早く解していったものの、火を起こせそうな木材は、このダンジョンの中には無い。
「仕方ない、このまま食うか」
……結構味しかった。
驚いたのは、オークまるまる1匹を5分程度で食べきってしまったことだ。骨付きもグールの歯であれば骨ごと噛み砕いて食えた。
「全然腹が満たされない。オークは飲み……いや、これ以上は考えるのをやめよう」
1階の魔は単のオークしか出てこなかったため、遭遇次第すべて食料に変えていった。オークの相手に慣れ切った俺は、空腹も相まって最終的にマジックバッグからオークを取り出し、食べながら探索するという暴挙を行っていた。
「お! 階段か。上に向かっていくタイプのダンジョンなんだな」
無警戒に階段を上るとすぐに、かなり広い部屋があった。部屋の奧にはオークや一回り大きな軀のオークファイターが“大量に”居る。
一斉に振り向いたオーク達の視線は、俺の右手に集中し…………2度見した。
「あー、その……お邪魔しました!」
『グゴォォォー!!』 『ブムォォォォ!』
なく見積もっても20匹は居るであろうオーク達が一斉にびながら襲い掛かってくる。
咄嗟に右手に持っていた骨付きをマジックバッグにれ、階段を駆け下りた。後ろを見るとオーク達も1匹ずつ順番に階段を下りてくる。
それを見た俺はを反転させ、拳を構えた。
「1匹ずつなら、食べ放題の食堂と変わらねぇんだよ!!」
先頭で降りてきたオークの腹に拳を捻じ込み、きが止まったところで首筋を嚙み千切る! 絶命したオークを橫にぶん投げ、次に襲い掛かってきたオークファイターの顔面にハイキックをぶち込む。その後即座にローキックで片足の骨をへし折り、顎に拳を叩きこむ!
階段からオークの集団が姿を現さなくなるまで、最速で殲滅できる方法を瞬時に考え実行し続けた。
「ふぅー、さすがに焦ったぁー!!」
オークの集団を全て塊にすると一息つく。
「集団を相手にするとなると攻撃力が足らないな。今後は筋力と敏捷のステータスを重點的に上げよう」
ステータスを確認すると、レベルが18まで上がっていた。殘ポイントを全て【STR(筋力)】と【AGI(敏捷)】に振り分ける。
<ステータス>
【名前】百目鬼 阿吽
【種族】喰鬼グール
【狀態】空腹
【レベル】18
【HP(力)】170/400
【MP(魔力)】310/310
【STR(筋力)】29
【VIT(耐久)】10
【DEX(用)】4
【INT(知力)】31
【AGI(敏捷)】37
【LUK(幸運)】35
【稱號】—
【スキル】
・鉄之胃袋
・痛覚耐
・空腹
・捕食(Lv.2):HP回復効果(小)追加
・(Lv.2):で與えるダメージと衝撃が強くなる(補正値向上)
「あれが噂の“湧き部屋”ってやつか。たしかにあの數の魔が一斉に襲ってきたら、死人もでるわな……。経験値はめちゃくちゃおいしいけど。ん? スキルレベルも上がってる!! とりあえず……お食べよ」
大量のオークを胃袋に流し込みながらHPの回復を待っている間、不思議と人間の時より魔になってからの方が楽しく生きている事を実していた。
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