《「魔になったので、ダンジョンコア食ってみた!」 ~騙されて、殺されたらゾンビになりましたが、進化しまくって無雙しようと思います~【書籍化&コミカライズ】》第10話 運命の出會い

「う……ん……ここは? あー、そうだ。ダンジョンコア食って、寢てたんだった」

目覚めて大きくびをすると、白く長い指にし尖った爪が見える。

「夢じゃなかったんだな。あ、そういえば夢の中でもゾンビ先輩が親指立てて微笑んでた……」

「寢坊助、起きたのじゃな」

「アルスか。俺はどれだけ寢てた?」

「軽く3日は寢ておったな。どうじゃ? 居心地は良いじゃろ?」

「そうだな、不思議と安心する場所だ。この部屋はアルスが作ったのか?」

「そうじゃよ? コアルームの橫に小部屋を作っておいたのじゃ。マスターが眠りやすいようにな。おかげでダンジョンポイントはもう空じゃ」

「そうか、ありがとな。あと、そのマスターってのむずいからやめてくれよ。アウンでいい」

「わかったのじゃ! それでアウンは別のダンジョンに行くんじゃったか?」

「そうだな。ってかアルスとしては俺が他のダンジョン攻略しに行くってどうなんだ? その……大丈夫なのか?」

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「何も問題ないのじゃよ? ダンジョンはコアが破壊されれば、また別のところにダンジョンができるだけじゃし、わらわと同じように取り込めばそのダンジョンもアウンがマスターじゃ」

「そうか。なら問題ないな! よし、早速行ってくるわ。何かあったら念話で會話できるんだったな。あと、帰ってくるときは迷宮帰還」

「バッチリじゃな。外へ出るための転移魔法陣はコアルームに作ってあるからそれを使うとよいのじゃ。気を付けて行ってくるのじゃよ」

「おう!」

コアルームの端に外への魔法陣を発見し、手をかざす。すると視界は急変し、常闇の森の中にある川のほとりに転送された。

転送先に魔法陣はなく、出口は一方通行になっているようだ。

「この川は……俺が流された近くか? 外への道は……うん、分かるな。誰かに見られてもいいようにフードは被っておこう。目指すは蒼緑平原!」

森の魔は全部無視しながら走ると數分で蒼緑平原にたどり著いた。

「ここからは適當に魔を狩りながら行きますかねっと」

まっすぐにダンジョンの口がある方向へ歩いていく。途中向かってきた一角兎やゴブリンは一撃で仕留めた。

「ん? あれは、グレーウルフの群れか。相手は……狐の魔獣?」

1匹の魔獣が6匹のグレーウルフに囲まれまみれになっていた。しかし、狐も必死に反撃し威嚇している。

「あいつ小さいなのにめっちゃ據わってるな。格上を複數相手にしても諦めてねぇ……気にった!」

俊敏を発させて一瞬で移し、グレーウルフと狐の間に立つ。

「よぉ、助けはいるか?」

『キューン……』

驚いた様子を見せているが、敵ではないと分かっているようだ。こいつ頭がいいな。

振り向きグレーウルフの群れを見據える。

「悪いな、狩りの最中に。敵対しないなら見逃すけど……どうする?」

『グルルル……』 『ヴォン! ヴォン!』

グレーウルフが一斉に襲い掛かってくるが、きは遅い。俺はマジックバッグから赤鬼の金棒を取り出し橫薙ぎに一振りした。

……瞬殺だった。

もともと素手でも力の差は歴然だったが「赤武の威力も試してみたいなー」と思って使ってみたは良いものの、6のグレーウルフは全てが弾け飛んでいた。正直……ちょっと引いた。

「剛腕使ってないのにコレか。予想以上にヤバい攻撃力だな、この武……。ん?」

『キューン』

足元を見ると狐の魔獣が俺の足に頭を押し付け、嬉しそうにしている。

よく見ると尾が2本あった。

「珍しいな、お前二尾か。あ、そうだ、マジックバッグに回復のポーションが……あった!」

ポーションを狐の魔獣に振りかけると傷が癒えていく。も洗い流されていき、が薄い金に反している。

ブルブルッと水分を払っている姿がカワイイ……

「見たところお前一匹のようだけど、一緒に來るか? 俺の仲間になれよ」

二尾の狐はこくっと頷き『コンッ!』と一鳴きすると、り俺との間に繋がりができた気がした。

「お、繋がったような気がする。初めてだから分かんなかったけど、これでできてるみたいだな。よろしくな! えっとー、名前なんだ?」

『キィン……』

「ん? 無いのか? んじゃー……【キヌ】だ! 爺ちゃんの故郷に、お前のみたいに綺麗な布があるって聞いたことがある。鳴き聲の響きとも似てるし、いいよな?」

『コン!』

「よし、じゃあキヌ、行くか! まずはお前のレベル上げからだな!」

そこからしばらくは蒼緑の平原で一角兎やゴブリン、ミドルラットなどをキヌが倒していった。思っていたよりも強い。グレーウルフもあんだけの群れじゃなかったら倒せていたかもしれない。

レベルが上がったからかビクッとを震わせている。もう進化か?

「俺が周りを見てるから大丈夫だぞ。力抜いてし休んでろ」

キヌは眼をゆっくりと閉じると、しずつが変化していく。さっきまでは一角兎と同じくらいの軀だったがしずつ大きくなり、グレーウルフくらいのサイズになっている。尾は三本に増え、し金が濃くなっている気がする。

『キューン!』

「無事進化できたようだな! キヌけるか?」

キヌは立ち上がり、こくっと頷く。

「よし、じゃあレベル上げの続きしながら目的地に向かうか!」

そこからキヌが魔を殲滅する速度は一気に上がった。なんと魔法を使いだしたのだ。

俺の顔くらいある半明な玉を空中に作り出し、魔に向かって飛ばす。當たった魔かなくなる。戦闘終了。

え? 強くね? ズルい……俺も魔法使いたい。人間の時はし水を出すくらいなら使えていたが、今試してみてもそれはできていない。

羨ましそうにキヌを見ていると嬉しそうに『コンッ!』と鳴いている。……うん、カワイイ。

そうこうしながら、魔を一方的に殲滅していると、前方から馬車が近付いてきた。どうやら行商人の馬車のようだ。

「いやー、遠くから見ていましたが、お強いですね! テイマーの方ですか? あ、申し遅れました。私は行商人をしております、バルバルと申します」

馬から降りて挨拶してきたのは、男の獣人だった。頭からモフモフの耳が生えている。的特徴からは……何のだ?

「あ、気になりますか? 私はレッサーパンダの獣人です。というかあまり驚かれないのですね?」

「すまん……俺まじまじと見てたか? 獣人には會った事もあるからな。そんで何か用か?」

「お察しが良いですね! 実は先ほど倒していた一角兎のを買い取らせていただきたいのです」

? 皮とか角とかじゃないのか?」

「あー、それはですね、ここから南東に進んだ所に『ニャハル村』という私の故郷があるのですが、今年は村の周りに強い魔が出現するようになりまして、狩りがあまりできず食糧が不足しているそうなんです。それでしでも多くの食料を運びたくて……し相場より高く買い取ります。いかがでしょうか?」

「そうか、そういうことならタダでいい。困ってるんだろ? その代わり、今度俺が困っていたら助けてくれよ。な?」

「うぅ……なんて優しい方なんだ!! 必ずお約束します! お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

「アウンだ。よろしくな!」

『ハウゥン!』

橫を見るとキヌが“アウン”と言おうとしている。そういえばキヌにも俺の名前を伝え忘れてた……ごめん。ってか、やっぱりなんとなく會話分かってるんだな。本當に頭がいい。そしてカワイイ。モフモフしたい……。

「アウン様ですね。よろしくお願いします! この恩と約束は忘れません!」

「アウンでいいよ。一角兎は荷車に積めばいいか?」

「あ、はい! お願いします! あと呼び捨てはできませんので、アウンさんとお呼びしてもよろしいですか?」

「うん。まぁ、それくらいなら……」

そう言いながら15匹の一角兎をマジックバッグから取り出した。

バルバルは驚いていたが、たぶんマジックバッグの容量に対してだろう。「緒にしてくれよな」と言うと首を激しく上下に振っている。

「ありがとうございました! それではまた! アウンさんも道中お気をつけて!」

「またな!」

別れの挨拶をして、バルバルは馬車を走らせていった。

「さて、俺たちも行くか!」

『コンッ!』

一人と一匹は、また魔躙しながら平原を進んでいくのだった。

<ステータス>

【名前】百目鬼 阿吽

【種族】鬼人

【狀態】—

【レベル】28

【HP(力)】1000/1000

【MP(魔力)】610/610

【STR(筋力)】47

【VIT(耐久)】20

【DEX(用)】10

【INT(知力)】61

【AGI(敏捷)】74

【LUK(幸運)】35

【稱號】迷宮の支配者

【スキル】

・鉄之胃袋

・痛覚耐

(Lv.2)

・大食漢

・剛腕

・俊敏

・品評眼

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<裝備品>

・赤鬼の金棒

・迷宮探索者のシャツ

・ブラックバイソンのレザーパンツ

・暗殺者のクローク

・ダークコンバットブーツ

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