獣人行商人のバルバルと別れてから數十分後、狩りをしながら進んでいると、いつの間にか目的のダンジョンの口付近に到著していた。

このダンジョンを見つけたのは本當に偶然だった。蒼緑の平原でのクエストを終え、レクリアへ帰っている最中、巖に寄りかかり休憩をしていると、その巖がしだけいた気がしたのだ。

確認するためにいた方向へ思いっきり押してみると巖の下に小さな魔法陣があった。

その時と同じように巖をかしていくと、地面にる魔法陣が現れた。

「ダンジョンにる前に、なんとかキヌのステータス確認したいんだけどな……アルスに聞いてみるか」

≪アルス、聞こえるか？≫

≪おぉ、聞こえておるぞ？　どうしたのじゃ？≫

≪実はキヌという魔獣と従屬契約をしたんだけど、キヌのステータスをなんとかして見れないか？≫

≪契約をしたのは知っておるぞ？　ダンジョンの機能の一部じゃからな。従屬者のステータスを見るときは、従屬者のの一部にれながらステータス確認をすれば見ることができるのじゃよ≫

≪マジか！　助かった、ありがとな！≫

≪うむ！　では頑張るのじゃ！≫

さすがアルスだ。一瞬で問題解決しやがった。あいつめちゃくちゃ優秀なんじゃ？　あ、でも寢ててレッドオーガ召喚しちゃったんだったか……

「キヌ、ちょっとステータスってのを確認したいから、頭にれるけどいいか？」

するとキヌは『コォン！』と一鳴きし、顔を摺り寄せてくる。はぁ、カワイイ……モフりたい……

おっと、危ない。本題を忘れるところだった。

俺は軽くキヌの頭をでながらステータスを確認した。

＜ステータス＞

【名前】絹（キヌ）

【種族】智狐

【狀態】—

【レベル】15

【HP（力）】553/1100

【MP（魔力）】210/350

【STR（筋力）】10

【VIT（耐久）】15

【DEX（用）】5

【INT（知力）】35

【AGI（敏捷）】15

【LUK（幸運）】10

【稱號】迷宮従屬者

【スキル】

・エネルギーボール：無屬攻撃魔法（MP消費5）

・ヒーリング：無屬回復魔法（MP消費20）

・エネルギーウェイブ：無屬範囲攻撃魔法（MP消費20）

「おー、見えた……うわぉ！　これは、とんでもないステータスとスキルだな」

『コォン？』

「いやいや、良い意味でだよ。そうか、グレーウルフに囲まれて耐えることができたのも納得できた。もともと耐久とHPが高かったんだな！　スキルも凄いな……キヌは前衛でも戦える魔法職ってじか。何それ、ズルい」

『キューン？』

「いや、褒めてるんだって。全然ダメじゃない！　むしろ最高！　それで、キヌはこれから、できるだけ“知力を上げたい”って考えてみてくれ。もっと良くなっていくかもしれない」

できるか分からないが、従屬者になったんだし俺みたいにステータスのびが変わる可能もある。やっておいて損はないだろう。

「あと、自分に向けてヒーリングって魔法使ってみてくれないか？」

『コォン！』

おー、った！　HPはどんだけ回復したかなーっと…………1回で200近く回復してる！？

もしかして知力で回復量も変化するのか？

いやいやいや、さすがにそれは……でも、そうだとしたら今後進化していったら伝説級の魔になっちゃうかもしれない。

すげー！！　キヌすげぇぇぇ！！

「キヌ、凄いぞ！　俺と一緒に伝説級を目指そう！　誰にも負けないくらい強くなろう！」

『コォォォン！！』

俺とキヌ、二人での目標も決まりだな！

「んじゃあ、さっそくダンジョンに毆り込みに行くかぁ」

俺はキヌの頭を片手ででたまま魔法陣にれると視界が切り替わった。

キヌも隣にちゃんと居る。し混しているようだけど不安ではなさそうだ。

前にも來たことがあったが、このダンジョンもフォレノワール迷宮と同様で1階は通路型のダンジョンだ。明かりは所々にトーチが設置されている。

まずはキヌに説明と確認しておくことがあるな。

「えっとな、ここはダンジョンって言って魔がたくさん出る所だ。だからレベルを上げるのにも都合が良い。とりあえず出てきた魔は全部倒していく。あと食えそうな魔が居たらを食っていくけど、キヌも魔のを食うのは大丈夫か？」

『コンッ！』

「よし、んじゃあ進むぞ」

歩いてみて分かったが、ここはフォレノワール迷宮より、かなり複雑にり組んでいる。

そのため曲がり角が多く、急に魔が出てくる可能がある。さらに目印もなく、壁に傷をつけてもそのうち修復される可能がある。

魔の骨なんかを一応置いておくけど、これも吸収されてしまいそうだ。

左壁に沿って行けば階段にたどり著ける可能も高いため、なんとかなりそうだが……フロアの中央に階段があった場合、見つけるのに時間がかかるだろう。思ったより厄介かもしれない。

ただ、出てくる魔はゴブリンやグレーウルフだ。俺もキヌも一撃で倒せるので今のところ問題はない。

最初にグレーウルフが出てきたときはキヌが暴走して滅多打ちにしていた……やっぱりあの時は悔しかったんだな。

「そういえば、前はここに寶箱があったんだけど……今はないな。そして行き止まりか」

ここで自分のステータスを確認してみると【レベル】が29となっていた。今まで進化したタイミングはレベル10でグール、20で鬼人だった。となると30レベルで次の進化がある可能が高い。

「キヌ、言っていなかったんだが、実は俺も魔なんだ。それでそろそろ進化する可能がある。その時は數分けなくなるだろうから、その時は頼んだ！」

『キューン！』

“任せて！”ってじだな。頼もしい！　やっぱりキヌと契約できてよかった。安心して進もう。

その數分後、ゴブリンを數倒すとが痺れた。前方からはグレーウルフの群れが來ているが、今のキヌならば問題ないだろう。

「っぐ……キヌ、進化がきた。あとは、任せた」

『コォン！』

ゆっくりと目を閉じ、の力を抜く。……すると脳裏に報が流れてきた。

≪自己の屬を選択してください。條件を満たしているため、2屬選択が可能です≫

・水屬

・樹屬

・闇屬

・雷屬

…………は？　進化じゃなくて屬選択！？　考えてなかった！　時間的な猶予はどれくらいある！　ゆっくり考えたい！

2屬って言ったか？　えーい、もう直だ！！

（雷と闇！）

≪確認しました。次に進化先を選択してください。條件を満たしているため特殊進化が可能です≫

・人間（特殊進化）

・鏡鬼ドッペルンゲンガー

・雷鬼（特殊進化）

あかーーん！　報量が多すぎる。冷靜に考えられる気がしない！

ってか【人間】！？　は？　人間ってあの人間？　ヒューマン？？

とりあえず【ドッペルンゲンガー】は除外！　魔としては強いし厄介だが、魔図鑑で見たじだと能力が使いにくそうだ。うん、こうやって1つずつ考えよう！

あとは【雷鬼】だが、これも鬼人同様やはり魔図鑑には載っていない。あー、もう！！！

…………いや、待て。そうだよ。俺は何を目指してる？

俺は、“キヌと何を約束”したんだ！！

あー、スッキリした！　最初から答えなんか出てるじゃないか。

俺が選ぶのは……

「……雷鬼だ！！」

目を開き答える。その視界にキヌを映しながら……

直後、周囲は閃で埋め盡くされた。

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