《「魔になったので、ダンジョンコア食ってみた!」 ~騙されて、殺されたらゾンビになりましたが、進化しまくって無雙しようと思います~【書籍化&コミカライズ】》第25話 冒険者登録

翌日、俺とキヌはレクリアの街にった。

結果から言うと心配していた事は全く起きず、門番の人達に冒険者ギルドに行くように催促をされたくらいだ。

和裝で角や獣耳がある二人組ってのは他に居ないし、道中でめちゃくちゃ目立っていたがまぁ仕方ない……

冒険者ギルドにると、中に居た冒険者やギルド職員が一斉にこちらへ注目した。

ここでも「面倒事になるかなぁ」なんて考えていたが、「スタンピードの時は助かったぞ!」と數人にお禮まで言われた。

さらに冒険者登録をしようとすると、ギルドマスターの部屋に通される事になった。

トントン拍子に話が進んでいくのが、怖いくらいだ……

そして現在、俺たちの目の前には額から右目にかけて大きな傷跡がある50代の怖いオジサマがいる……。

まぁギルドマスターなんだが。

「おぉ! お前さん達が噂の旅人か! 俺はこの街のギルドマスターでスパルズってモンだ。よろしくなぁ」

「あ、はい。初めまして阿吽とキヌと言います。冒険者登録をしに來たのですが、何やらみなさんの反応が予想と違って困しております」

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「がっはっは! スタンピードで大暴れしてたって聞いたぞ? 相當強えぇってなぁ。

そん時に助けられた冒険者たちもいて、噂になってたんだ。

で、だ。冒険者登録をする前に、一度強さを見せてもらいたくてな!

本來ならFランクからのスタートになるんだが、その強さ次第で上のランクから冒険者を始めさせてやってもいい! どうだ?」

これは思わぬ展開だ。

いきなり飛び級なんか滅多にない。これは乗っておくべきだろう。

「では、それでお願いします。的に何をすればいいんですか?」

「そうだなぁ。今からBランク冒険者と手合わせってのはどうだ?

もちろん殺したり必要以上に傷つけたりしない。

あー、あと敬語なんか別に使わなくてもいいぞ。俺も元冒険者だ。普通に話してくれ」

「……わかった。キヌは魔法がメインだが、どうするんだ? 冒険者相手に向けて撃つようなレベルではないと思うぞ?」

「おぉ、そこまでの火力が出るのか。それじゃあ、ギルドの地下訓練所に魔法用の的を用意するから、その的に向かって撃ってみてくれ。火力は魔法を見れば大わかる」

「わかった。さっそく向かうか?」

「そうだな。Bランク冒険者も數人ロビーに居ただろうし、適當に聲かけてから向かう。先に行っててくれ」

そう言ってスパルズは部屋から出ていった。

部屋に殘された俺たちは職員に案され、地下の訓練所に向かう事となった。

訓練所は俺が人間だった時に使っていたが、『阿吽として』來るのは初めてだから知らないことにしておいた。

「キヌ、火力を抑えるために【聡明】は使わずに魔法を撃ってくれ」

「ん。わかった」

バフスキルを使ったら壁ごと破壊しかねないからな……さすがにそれはやり過ぎだ。

俺もバフスキルは使わず、武もなしで戦ってみるつもりだ。

數分すると10人の冒険者を引き連れたギルドマスターが現れた。

冒険者達は噂の新人の力試しと聞きつけ結構な人數が集まったようだ。

中には俺たちがベテランに負けて悔しがる姿を見に來ている奴らも居るだろう。

ギルドマスターのスパルズに促され、まずはキヌの魔法を見せる事になったのだが……

「【フレイムランス】」

――ドッゴーーーーン!

的をぶち抜いて壁が軽く焦げている。

「んなっ!? なんちゅう威力してんだ……あの的は魔法用に強化されてるやつだぞ……」

人はみんな目を見開いて驚愕している。

「阿吽、私より……強い」

キヌの言葉にさらに驚愕し、そのまま俺の方を全員が見てくる。

「じゃあ、次は俺の番だな、相手は?」

「Bランク、【鉄壁のグレイザー】と呼ばれている冒険者なんだが……。

いや、ちょっと変更だ。

強度がオーガクラスの鉱石で作った理攻撃用の的を用意するからそれを攻撃してくれ」

「それって破壊してもいいのか?」

「がっはっは! 大きく出たな! 破壊できるなら破壊しても構わんぞ?」

數分後、柱のような的が用意された。

まぁ予定通りバフスキルは使わずに毆るか……

「いくぞー」

――ッシュッ、ドガーーーーン!!

オーガクラス強度の理攻撃用の柱が真ん中からバッキリ折れている。

冒険者達はキヌの時以上に驚愕していた。

【鉄壁のグレイザー】に関しては涙目だ。

「これでいいのか?」

「あ、あぁ。大丈夫だ。こいつぁ手合わせなんかさせられんな。

今の攻撃で二人の強さは分かった。正直、ここまで強いとは想像していなかったがな……」

「ん? そうか? それなら良かった。で、ランクはどうなる?」

「……Cランクだ。Fランクからは最高でもCランクまでしか飛び級させられんのだ。まぁお前らならすぐに上がっていくだろ」

「分かった、これで冒険者登録は済んだのか? なんならグレイザーさんと手合わせもするが」

「や、やめてやってくれ……帰りに付でCランクの冒険者カードを渡す。

それで晴れて冒険者の仲間りだ。

あと、申し訳ないが、この後もう一度俺の部屋に來てくれないか?」

「あぁ、分かった」

それからギルドマスターに付いていき、部屋へと通された。

「単刀直に聞く。お前さん達は何者だ?」

「あぁ、やっぱり気になってたか……

キヌは『狐の獣人』で、俺は『鬼人族』という種族だ。

心ついた時から二人で森で暮らしていた。

レベルが高いのは生きていくために魔を倒さなければならなかったからだ。

二人ともある程度戦えるようになったから、森から出て旅をしていたんだ」

「……そうか。まさか、鬼人族とは……」

「俺の種族について何か知っているのか?」

「いや、詳しくは知らん。そういう人種がいるという事くらいしかな。

それであの怪力も理解できた。

まぁ悪い奴らじゃなさそうだし、心配はあまりしていなかったがな。

これからよろしく頼む」

「あぁ、こちらこそよろしく」

考えておいた俺とキヌの生い立ちはもうし詳しく設定してあるが、この程度で納得されたのならラッキーだ。

また詳しく聞かれたら答えればいいか。

その後ギルドの付でCランクの冒険者カードをけ取り、アイテムやキヌの裝飾品などを見に街を散策していたのだが、その道中で“とある再會”が起きる事となるのだった。

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