翌朝、ベッドから起き上がろうとして、キヌがガッチリと俺に抱き著いているのに気付いた。

一昨日【レッドネイル】を締め上げてからというもの、キヌの接度は飛躍的に上がった。「俺の大事な」って言ったことが要因だろう。

これに関してはヤツらに謝しなければならないかもしれない……

ただ、次に同じようなことが起きたら、その時はゾンビの餌にしてやる。

「ん……おはよ、阿吽」

「起きたか？　俺はそろそろ起きるが、キヌはどうする？」

「……おきる」

最近分かったのだが、キヌは朝が弱い。

そしてベッドから起き上がった時に、寢癖が付いてボーっとしている姿が最高に可い。絵畫にしてフォレノワールに飾っておきたいくらいだ。

……どこかに良い絵師は居ないか……いや、でもこの姿を誰かに見せたくない。どうしたものか。

俺がジレンマに苛（さいな）まれながら立ち上がると、キヌもベッドから立ち上がり、トコトコと近付いてきて小指を握った。

「阿吽、ごはん……」

「んだな、食堂行くか！」

食堂に著くと他の３人は既に食堂におり、朝食の準備を済ませて俺たちを待っていたようだ。

「すまん、待ってたか？」

「おはようございます。阿吽様、キヌ様」

「おはようっす！　兄貴、シンクねぇさんって凄すぎないっすか？　毎回、兄貴達が食堂に來るタイミングでピッタリ食事の用意が整うんっすよ！」

「何を言っているのですか？　メイドならこれくらい出來て當然でございます」

「いや、それはさすがに分かんないっすよ……」

「阿吽、ちょっと良いか？」

「ん？　どうしたネルフィー」

「食事をとりながらで構わないのだが、私の戦闘方法について話しておこうと思ったのだ。今日はシンクと私の裝備を一緒に見に行ってくれるのだろう？　先に伝えておこうと思っていたんだが……」

「確かにな。ただ、ここだと周囲に人も居るし、食事が終わってから俺たちの部屋で話そう」

「それもそうだな。では、そうするよ」

そうして朝食を取り終わって部屋に集まると早速ネルフィーが口を開いた。

「では戦闘方法を話す前に私のステータスを見てほしい」

「おう、ちょっと手出してくれ。ステータス」

＜ステータス＞

【名前】ネルフィー・ガーデン

【種族】ダークエルフ族

【狀態】

【レベル】47

【屬】樹

【HP（力）】2900/2900

【MP（魔力）】600/600

【STR（筋力）】40

【VIT（耐久）】32

【DEX（用）】70

【INT（知力）】60

【AGI（敏捷）】95

【LUK（幸運）】25

【稱號】従屬者

【スキル】

・至妙（しみょう）：INT値の30％をDEXとAGIに上乗せ　（MP消費30）

・リーフカッター：樹屬攻撃魔法（MP消費30）

・フラワーポイズン（Lv3）：毒、痺れ、睡眠の任意の毒を生（MP消費30）

・ポイズンエンチャント：生した毒を武に付加し攻撃時に狀態異常を引き起こす確率を上げる（MP消費40）

・観察眼：罠の発見、敵の弱點を見抜く

・隠：気配を遮斷し対象に気付かれにくくなる。一度認識された狀態では効果が薄い。

・弓（Lv.4）：弓での攻撃時に命中とダメージ補正

・短剣（Lv.2）：短剣での攻撃時にクリティカルヒット率とダメージ補正

「ど、どうだろうか？　私は……阿吽達の足手まといにならないだろうか？」

あー、そういう事か。なんか焦ってるなーと思っていたが、昨日のドレイクの戦いを見て何か思う事があったんだろう。

それにしても超暗殺特化型のステータスだな。ここまで暗殺に必要なが揃っているのが奇跡なレベルだ。

「ネルフィーで足手まといなら誰がパーティーにれるんだよ。

それにしても超特化型だな！　凄いぞこれは……」

「そ、そうか？　なら安心した。

スキルが特化しているのは種族と年齢が関係していると思う。……私は、今年102歳だ」

「……え？　確かに長壽種って聞いてはいたが、どう見ても17～18歳だろ」

「エルフやダークエルフは種族の総數がない代わりに長壽だからな。

人間でいう15歳～20歳くらいの構造の期間が長いんだ。

長壽であるが故、スキルの習得も時間をかけて行える」

「そういう事なんだな」

確かに人間はそんな簡単にスキルが増えたりしない。

俺もゾンビになった時にスキルが増えてかなり驚いたし……

それにしてもネルフィーは、相當な努力をしたのだろう。

「そして私の種族はダークエルフ……今では、ほとんどこの世に居ない種族だ。

『2000年前の人魔大戦』以降にダークエルフが魔族側ではないかという風評により、一族が迫害をけた歴史があると聞いたことがあるのだが……それは一旦置いておこう。

ダークエルフは、生まれた時から、しずつ家族やその里の仲間たちに師事し、スキルを習うという風習がある。

私も生まれてから50年は々な師匠に付いてスキルや戦い方を習ったが、もともと我が家は諜報に長けていた一家だったんだ。だから私のステータスはこのようになっている」

「このステータスからいくと、武は弓と短剣か？」

「その通りだ。普段のクエストでは基本的に矢にエンチャントで毒効果を付け、バレないように隠狀態から仕留める。

もし敵にバレた場合は、近距離と遠距離を駆使して攻撃をけないように戦っていた。

しかし大會では隠狀態にはなれないだろう。普段の力が出ないかもしれない……」

「あー、だから焦ってたのか」

「それも……ある。

だが、実は……なかなか皆のの中にれないのではと……

ここ20年ほどは、基本的に単獨行だった。だから、あまり話し上手ではないのだ。

それに私自の事をみんなに知ってもらいたいと……」

「ん？　もうの中にってるだろ？

それに無理してまでは話す必要もないぞ？　話したい時に話せばいい。信頼しているのは変わりないしな！

それに、必要な時は今みたいに話してくれるんだろ？」

「阿吽は、本當に“人たらし”なヤツだ……人が言われたいセリフを恥ずかしげもなく直球で言ってくる」

「ん。阿吽は……仲間の事を最優先に考えてる。だから、私たちも阿吽の事を最優先に考える」

「そうだな。今話してみてハッキリ分かった。

それなら私も、背びせず一緒に居させてもらうよ。もちろん仲間を最優先するのは私も同だからな」

うん。良い表するようになったな。

俺もソロが長かったし、人間の時に同じことで悩んでたからネルフィーの気持ちはよく分かる。

よし、んじゃこれからみんなで、買いといきますか！

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